とある日、聴いた話
第一話(10/2)
アメリカでは、億万長者は
ガレージで生まれる。
サンフランシスコ郊外のガレージの中で、
二人の若者が相談していた。
「おい、会社を作ろうじゃないか」
「でも、借金をして失敗したら?」
二人とも、無一文だった。
「確かにお金を失う可能性はある」
その次のひと言で、二人の人生は変わった。
「でも、会社を作るのは、
一生に一度、あるかないかのことだ。
たとえ失敗しても胸を張って言えるじゃないか。
オレは、会社を作ったことがあるって」
スティーブ・ジョブズのこの言葉に、
スティーブ・ウォズニャックは、興奮した。
こうして、アップル・コンピュータが、生まれた。
今日も、伝説が、ガレージから生まれている。
第二話(10/5)
昔、D・カーネギーというおじさんが、
僕たちに「道は開ける」と教えてくれた。
でも、それは少し間違っていた。
カーネギーおじさんが嘘を言っていたのではなくて、
大切なことを言い忘れていたのだ。
それは、道が開くのは、“ある日突然”だということ。
この違いは大きい。
少しずつ開く場合、毎日毎日がゼロだとやりきれない。
だけど、“ある日突然”開くのなら、毎日がゼロでも頑張れる。
ある日突然、君のところに電話がかかってくる。
それが、君の夢の実現する時だ!
第三話(10/10)
南青山高校で教師をしている、日色
一平、甲斐 拓実、不破 誠の
三人が、校舎の屋上で話をしていた。
拓実が、想い続けていた人に告白をした、その数日後のことだ。
金網に寄りかかり、遠くを見つめながら拓実は言った。
「俺もまだまだガキだってことかなぁ・・・」
「どしたよ、急に?」 と誠。
「なぁ・・・、女にとって一番いい恋愛ってのはどういうんかな?
俺はな、男がめいっぱい好きになってやるのが、一番の幸せだ
と思ってたんだわ」
「俺、逆だったな。
女ってのは、誰かを好きでないと片時も生きていけないから、
男より女の愛情が強い方が、その恋は長続きするってな・・・」
黙って聞いていた一平が言った。
「だから、お前らダメなんだよ」
「じゃあ、お前は?」
「男と女の間にはなぁ、“ときめき”っていう木があるんだよ。
それは、どっちかが水をやりすぎると根っこが腐っちまうし、
どっちかが水を忘れると、枯れちまうんだよな・・・」
「だから・・・」
言いかけた一平は、ふたりの真剣な眼差しに思わず言葉を止めた。
「何だよ?」
「いや、別に・・・」と、笑顔で誠。
照れ笑いを浮かべた一平は立ち上がり、校庭の生徒達に叫んだ。
「ヘイッ! 愛しあってるかい?!」
「・・・愛しあう、か」と誠。
「・・・か」と拓実。
穏やかな秋の日の、午後のことだった。
第四話(10/24)
「こんな話を知っているかい?」
彼は、そんな風に唐突に話し始めた。
「“ノミ”って知ってるだろ?
ちっちゃいくせに、自分の体長の何十倍の高さにも
飛び上がるやつだ」
「そのノミを、ガラスのビーカーに入れてフタをする。
そうすると、ノミは最初、必死になって飛び上がるんだ。
なんせ、ジャンプ力はすごいからね」
「ところが、ノミの奴がいくら飛び上がっても、
フタに頭をぶつけるだけで逃げられない。
そうすると、やがてノミは飛ぶことをやめてしまう」
「じゃあ、逃がしてやろうとフタを取ってやるだろ?
ところが、ノミの奴、ビーカーから逃げようとしない。
何故だかわかるかい?
ノミは自分の限界を勝手に判断してしまって、自分はもう
ここから逃げ出せないと、決めつけてしまっているんだ。
何度ジャンプしても頭をぶつけてしまったことでね」
「このノミの習性って、人間にも当てはまると思わないかい?」
彼はゆっくりと話し続ける。
「何度かトライするけど、ダメだとすぐに諦めてしまう。
そして、二度とチャレンジしようとしない。
いつの間にか、頭の上のフタは開けられているのにさ」
最後に一言だけ、彼は問いかけた。
「君は、ノミじゃないだろ?」
第五話(11/15)
現「アイランドプロジェクト」代表、高橋歩さん。
“20代のカリスマ”と呼ばれ、数多くのヒットを飛ばした
「サンクチュアリ出版」の社長を辞め、愛妻とともに世界一周
の旅に出た彼は、自らの旅について、こう書いている。
世界中の「風」を感じ
世界中の「星」を見上げ
世界中の「海」に溶け
世界中の「夕焼け」に頬を染め
世界中の「酒」に酔い
世界中の「人間」と笑う
ただ、それだけでいい。
ただ、それだけがいい。
彼は、最高にカッコイイ「自由人」だ。
第六話(11/30)
もし、世界が沈む時がきたとして、次の動物の中から1匹だけ
一緒の船に乗せることができるとしたら、どれを選ぶ?
その動物とは、「虎」、「孔雀」、「馬」、「羊」の4種類。
君に30秒、時間をあげよう。
これは割とポピュラーな心理テストだ。
選んだ動物によって、その人にとっていちばん大切なものが
わかるのだという。
「虎」はプライド。
「孔雀」はお金。
「馬」は仕事。
そして、「羊」は愛情 だそうだ。
君の選んだものは、なんだったかな?
第七話(12/24)
今年一年を締めくくる、競馬の祭典、第46回有馬記念。
12月23日。中山競馬場。
その名のとおり、日本競馬界の帝王として君臨し続けた、
名馬テイエムオペラオーの引退レースだった。
このレースで有終の美を飾れば、皇帝シンボリルドルフ
を抜いてG1最多勝利となり、名実ともに日本一の名馬の
称号を手にするはずだった。
しかし・・・。
圧倒的な1番人気におされながら、最後の直線で伸びを
欠き、まさかまさかの5着敗退。
引退レースを飾ることは出来なかった。
翌日の新聞に、レース後のオペラオーについて、こんな
記事があった。
夕日に照らされた厩舎にたたずむオペラオーは
すっかり
優しい目になっていた。
競走生活が終わったことを知っているようだ。
「ご苦労様」。
原口厩務員と和美夫人がニンジンを与えようとすると、
オペラオーは顔を背けた。
その目からは涙がにじんでいた。
「泣くなよ。頑張ったじゃないか」。
そう言うと、オペラオーは原口厩務員に甘えた。
数々のタイトルを手にし続けた絶対的王者は、1頭の
優しいサラブレッドとなってターフを去った。
競馬にだって、ドラマはある。
第八話(12/31)
「ゴール トゥ ゴール」
誰かがゴールラインだと思って
立ち止まったラインを
スタートラインだと思って
走りだした奴は
いったいどんな景色を見るんだろう
立ち止まった奴が
決して見ることの出来ない景色が
その先に広がっている
第九話(2004/5/1)
〜第三話の続編
南青山高校の教師、日色一平、甲斐
拓実、不破 誠の三人は
近くの名門校とトライアスロンの勝負をすることになった。
本当は、生徒同士の勝負のはずだったが、南青山高校の生徒が
「奴等には勉強でもスポーツでも勝てるわけがない」と、勝負を
降りてしまったために、教師同士の勝負に変更になったのだ。
試合の一週間前。
拓実はバッティングセンターで、以前に「好きだ」と告白した
相手、表参道女子高校の教師・椎名吹雪 と偶然会う。
「珍しいとこで会いますね」
「先生たちが試合するって聞いて、私も何だか体を動かしたく
なっちゃって・・・」
「まぁ、本当は生徒にやってもらいたかったんだけど」
「・・ええ」
「まだやりますか?」
「私、すっごく下手なんです。お手本見せてください」
バッティングゲージに入り、鋭い打球を飛ばす拓実。
それをネット越しに見つめる吹雪。
「上手ですね!」
「高校の時、やってました」
「強かったんですか?」
「県大会で決勝までいきました」
「どうりで・・・」
「九回裏ツーアウト満塁一打逆転のチャンス!
バッター一番甲斐拓実、カウント2−3!!」
拓実の言葉に思わず息を詰める吹雪。
真剣な表情でバットを構える拓実。
しかし、ボールが飛んできても、拓実のバットは微動だにしなかった。
ネットに当たり、ゲージ内を力なく転がるボール。
言葉もなく、ボールを見つめる吹雪。
「・・・ど真ん中のボールでした・・・」
構えを解き、遠くを見つめる拓実。
やがて振り返り、笑顔で吹雪に言った。
「だから、フルスイングをしない生徒を見ると悲しくなります」
「・・・ハイ」
第十話(2004/5/1)
夢喰い人種たちよ
最大の地図を広げ
最高の武器を磨き
最愛の仲間たちと
最速で駆け抜けろ
「祭り」は、もうすぐ始まる
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