施設給付の見直し/泣いた高齢者とその家族が裏にはたくさんいる・・・。

 昨年の10月に殆ど何の事前説明もなく開始されたのがこの改正。この改正についての国の言い分は
「在宅で生活している方は居住費や食事にかかる費用を自己負担している。一方施設入所者は居住費や食事は介護保険から給付されている。在宅の方が介護にかかる負担が大きい。不均衡なので在宅と施設とのバランスを取るために今回の改正を行った。」
・・・国が金出したくないだけだろう、というのは邪推なのだろうか?

で、この改正が適用されるのは、以下のサービス
・居宅サービスの
○短期入所生活介護(特別養護老人ホームのショートステイ)
○短期入所療養介護 (老人保健施設や介護療養型医療施設のショートステイ)
○通所介護
○通所リハビリ
・施設サービスすべて(特養・老健・療養型)

 具体的には、これまで負担の無かった滞在費を徴収(通所系サービスを除く)することと、介護保険から一部負担のあった食費を、全額負担にする、ということである。それだけなら反響が大きい、と判断したのだろうか、利用者負担段階も設定されている(第1段階から第4段階まで設定。これまでのケースを見ると殆どが3〜4段階が多いと推測される)。これについては入所施設から申請することが必要。

  自分はちょうどこの頃在宅のケアマネの仕事をしており、利用者はデイケアやショートステイを使っている方がかなり多かったのですが、それで質問されたのは
「食費を払うのはもったいないから、食べないでデイケアを使うことは出来ないの?」
「ここまで高くなるなら、もう自分ちからおにぎりと佃煮持ってきて食べようと思うんだけど、それは良いのかな?」
「午前中のリハビリと入浴だけ参加して、食事前にもう帰る、というのは駄目?」
「これまで午前中迎えだったショートステイを、一食浮かせるために午後からの利用にしたいけど?」
国はこれで良い、と思って出した改正だったのでしょうが、利用者としての本音は、
「いきなり俺たちの負担が多くなる改正をしやがって・・・困るよね」
と言うものだったのは容易に想像できます。この訴えに対しては、デイケアでそういう要望は飲めないこと(デイケアでの食事もある意味リハビリである点、緊急時を除いてデイケアの途中帰宅は不可能であることなど)を説明、何とか納得され今に至っています。

 依頼する方も大変だったのですが、もっと悲惨だったのは依頼される施設側。家族への早急な説明と同意、同意されない家族の今後の受け入れ先(殆どがこの改正で影響を受けない有料老人ホームでしたが)の設定、在宅へ返すための担当ケアマネへの依頼など、大混乱でした。自分のいた施設はそれに加えて市からの指導などが重なってまさに阿鼻叫喚。ケアマネやリハ担当が疲労で倒れましたから。

 施設側も料金の上昇により儲ける、と言うことは全くなく、逆に在宅に戻る利用者が増えたため採算が取れなくなりつつある現状がある。少しでも安い方が良いと言うことはありますから。しかし、逆に帰ったことにより家庭崩壊が起こった例もあり、良いことづくめではない。なぜこれを準備期間もなくいきなり施行を開始したのか非常に疑問に思う。そんなに急いで行うことだったのだろうか?厚生労働省の何らかの意図を感じるのだが・・・


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