太陽をカイルと同行するコトになって、初めての夜が来た。

  オレ達はすでに次の街に向かって歩いていた。

 

 「今日はこの辺で野宿しましょうか」

 マースがそう言って、それに皆が同意する。

 彼は背負っていたテント一式を降ろし、広げ始めた。

 

 「それじゃ……えっと、今日は私とリースが料理当番だね」

 サンが木を拾いに行き、リースは水を汲みに行った。

 

 皆もう慣れたもので、オレとマース、そしてユリはテントをすばやく完成させた。

 その間にディーネは地面に座るためのシート等を敷き終わっているようだった。

 

 「中々手際がいいものだな」

  カイルがその一様を見て。

 「まぁ、結構長いことしてますからね」

  そう言って、ふと横を見ると、太陽が落ち着かないように目を左右へ動かしていた。

 「あの……あす、私何したらいいの?」

  なるほど。

  何もしていないというこの状況が、サボっているように思えて嫌だったのだろう。

  なんとも太陽らしい発言だ。

 「そうだな……、まぁ今日は初めての夜だし、大人しくしてたらいいんじゃねーかな」

  どうせ、飯を食い終わったら、皆からの質問攻めになるんだろうし……。

 「明日からはちゃんと仕事振りに入れていくから、安心しろ」

  そういうと、うん、と素直に言うことを聞く。

  どこかの同じ顔の奴とは全然違う素直さで助かる。

 

  そうして、サンとリースの作った飯が完成し、全員で飯を囲むのだった。

 

 

 

 

 

STORY32  色んな思い

 

 

 

 

 

 「で、タイヨウさん」

  まぁ、いつもどおりだ。

  会話を切り出すのはいつもディーネである。

  皆それを分かっているのか、ディーネ本人も分かっているのか、一つのルールみたいになってしまっている。

 「アス様のご友人、ということは、タイヨウさんも……えっと、違う場所? から来られたんですの?」

  その質問に太陽は少し考える風に指を顎に当てて。

 「そう……なるのかな。最初は過去かと思ったんですけど。月、じゃなく、衛星が二つもありますし。違う星なんでしょうね。ここは」

  うん、オレと同じ考えでそこまでは整理していたみたいだ。

 「とは言っても、もしかすると、歴史の本にも残らないような遠い過去か、それとも、遠い未来なのかもしれませんけどね」

  少し困ったように照れ笑いをする彼女だが、きっとその線はほぼ無いと思っているからの笑いなのだろう。

  未来、というなら、この技術力はおかしい。

  オレ達の時代から更に未来になり、しかも葉術なんて魔法みたいなものまで使えるのなら、もっと発展していておかしくないはずだからだ。

 「なるほど……アス様を疑っていたわけではありませんが、やはり間違いないことなのですね」

  ディーネを含め、他の面々も同様に頷き、考えふけるような格好を。

 「一つ質問してもいいっすか?」

  ユリが珍しく質問があるらしい。

  オレがそれに少し驚いたのをよそに、太陽は笑顔で頷いていた。

  恐らく、この時間で皆との距離が近くなるのを感じているのだろう。

  きっと、クラス替えの後の、クラスレクみたいな感覚で。

 「お二人は、なんでこの世界に?」

  ん……、そう、いえば……

 「言ってなかった……っけ」

  なんてこった。

  普通はまず最初に言っておくべきことをオレは言っていなかったみたいだ。

  そりゃ、信じようも無い話になってしまうのも仕方ない。

  とは言っても。

 「言ったところで、理解も出来ないし、信じられない話になっちゃうんだけどな」

  タイムマシン、なんて、この世界にはありえないであろうものから来ました、なんて言っても、意味が分からないのは明白だ。

 「とりあえず、オレの時代には、時空間? まぁそんなのを移動できるものがあって、それの事故でオレはここに来ちゃったんだよな」

  そして、オレはふとあの時の事故のことを思い出す。

  突然通信機が鳴り出して……

 『私……死に…くな…よ……』

  そう、そう確かに、聞こえたんだ。

 

 「んじゃ、タイヨウさんは?」

  オレのその考えは、そこで中断される。

  まぁ、考えても分かるものでもないし、今は無視しておくしかないだろう。

 「私は……」

 「ふふっ、キユリー、そんなもの、考えなくたって、分かることじゃないの」

 「そうだな、聞くのも野暮というものだ」

  まぁ、太陽がこっちに来たのは、間違いなくオレを追って来たんだろう。

  それが理解できないのか、ユリは少し困っているようだった。

 「はは……ま、まぁ、きっと皆さんが思っている通りです……」

  照れたようにはにかむ彼女を見ながら、とりあえず、皆と打ち解けることは出来たように感じられた。

  ただ、

 「ってことは……タイヨウって、アスと、えっと……仲良いの?」

  サンだけはまだ聞き足りないようだった。

 「そりゃまぁ、昔からの仲だからな。そこらの奴よりは仲はいいだろうさ」

  ふーん、と、聞いておきながら、興味なさそうに頷く彼女。

  一体なんだっていうんだ。

 

 「とりあえず、改めてよろしくお願いしますね」

  と、太陽が締めて、今日の夜は終わった。

 

  テントに入り、寝転がる。

 

  この旅も、長くなって来た。

  そろそろ、終わりが近いのだろうか?

  いつがゴールなのかも、オレは知らない。

  でも、オレはこの時間、この世界、この仲間が。

  ずっと続くことを、どこかで願っているのかもしれない。

 

  

 

 

  どんなモノにも終わりはあるもので。

  それに例外はありえなくて。

  オレがそれに気づくのは。

  全てが終わった時になる。

  本当に、皮肉なものだ。

 

 

 

 

 

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