目の前の少年が口にした、ありえない台詞に思考を全て持っていかれる。

  いや、後から落ち着いて考えれば全然ありえないわけ無いのだが。

  なんてったって、ホームレスのオレ達3人を、同じように誘った大物なんだからな――

 

 

 

 

  かていL  新しい家

 

 

 

 

 

「ああ、いいとも。一緒に住もう」

  そんな手塚のびっくり発言を目の前にして、彼――不法侵入してた2人の男の方は事も無げに頷いた。

  何故、そんな落ち着いていられる――?

  普通なら、後ろにいる女みたいに顎くらい外したって罰は当たらない。

  せめて、オレ位は驚いたって良いと思うのだが。

  最初、手塚に誘われた時はさすがにオレだって驚いた。

  そして、この台詞を聞くのが2回目なのに、またもやオレは言葉を発せない。

  まるで、この空間の空気が振動しないと思わせるくらいに、誰も喋らないし、誰も動かない。

――手塚と、この男を除いて、な。

 

 

「ちょっとよく考えろ」

  とりあえず、色々な事を整理して、やっとオレは喋る事ができた。
 早速、今さっきの発言を打ち消す発言をしなければ。それが今、オレに課せられた使命!

「オレはこいつらを家に入れるのは反――」

「この家の家主は、君じゃぁ……無い」

  た、と言おうとして大きく開いた口に、彼の台詞が入ってくる。
 それに喉を詰まらされたのか、オレは言葉を続ける事ができなくなってしまった。

「決定権は、君じゃなく、豊にあるんだよ。家主の豊がそうしたい。
 なら、客人である君は、家主の言うことを受け入れる。それが、道理ってもんじゃないか?」

  ん? と笑いかけてくる顔をぶん殴ってやりたい。

  なぜ、オレが一番言われたくなかった事を、こう、こいつはすらすらと……
 思っていたより頭の回転は速いやつらしい。

  The、正論。 をここまで言われるとは思ってなかった。
 先制攻撃を食らわせれば黙って出て行かせられると思っていたんだが……完全にオレの読み違えらしい。やられたな。

「……ん。その通りだ、な」

  首を振って参ったのポーズ。

  それにまた満面の笑みを返して、彼は手塚に握手して、女と一緒にお辞儀をした。
 女の方は展開の速さについて来てなかったらしく、男がグイッと頭を下げさせたのだが。

「では、ヨロシク。みんな。これから、仲良くやっていこう」

「お、おおきに、な」

「いいえ、気にしないで下さい!」

「みんなで、住むのカ?」

「そう……みたいだね」

  各々、整理ついたみたいだ。

  ふむ……ま、さらによく考えてみればこの家は充分広い。

  互いに干渉することなく過ごすには充分だろう。

  それに、働き口が多いことは純粋に利益に繋がる。

  ここに居る、学校に行かなきゃならん奴を除いて全員働けば充分な生活費ができる。

  そう考えれば、この人数で住むのは悪くない考えとなる。

  確かに、オレのバイト代だけでこの人数を養うのは無理があるってモノだった。

  ま、部屋割り、役割分担をちゃんとしてしまえば、他人と関わる事は少なくてすみそうだ。

 

  さて、新しい家での、新しい生活の始まりだ。

  これから、忙しくなりそうだな。

 

 

 

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