『The happiness that is inherited』

 

 

 高校の昼休みの教室

 授業から解放される学生にとっての至福の一時だ

 俺も例外なく親友たちと弁当を食べながらこの貴重な時間を楽しんでいる

「もうすぐクリスマスだね〜 卓史、クリスマスどうする?」

「あ?」

 俺にそう聞いてきたのは優未

 俺はこいつと幼なじみなんだが一年ほど前から付き合っている

「どっか行きたいのか?」

「当たり前じゃない クリスマスなのよ? 恋人たちの大イベント! どっか連れていってよ」

 優未は一度言い出したら聞かないからな

 まぁ俺もクリスマスはその予定だったから頼まれなくても誘うつもりだったが…

「そういえば了と香織はどうすんだよクリスマス」

 俺は若干話をそらす感じで横に座っている二人に話しをふった 

 了と香織は中学からの友達

 こっちは付き合って三年くらい経つ

 俺の質問を聞くと二人は顔を見合わせて微笑んだ

「さぁどうするんだろうなぁ〜 俺と香織はお前らと違ってもう予定は立ててあるんだけどな」

「私たちはクリスマスもイブもイブイブも一緒に過ごすんだよん☆」

 あ〜……何だこのラブラブぶりは

 付き合い始めなら分かるがもう3年だろ

 マンネリ化しても言い頃じゃないか?

「ったく…イブはともかく23日はクリスマスとは関係ねえだろ…」

 天皇誕生日がなぜめでたい部類に入るんだよと思った

「ホント、二人はいつも仲良いよね〜 うらやましいなぁ〜」

 優未が俺の意見に便乗してくれたみたいだけど

「うらやましい」に皮肉がこもってた気が……

「当たり前よ〜 私たちは死ぬときも一緒に死ぬんだから ねぇ了?」

「そのとーり! わかったかね? 新米カップル諸君?」

 別に新米ではないと思うのだが……

「はいはい ごちそうさまでした〜」

 ホントに二人は毎日毎日世界で一番幸せなんじゃないかってくらい笑ってた

 そんな二人を見るのはどこか微笑ましかったし

 羨ましくもあった

 そんな二人を見る度

 4人いつまでも変わらず生きていいなと思っていた







−12月25日−


「これ買って〜」

 結局俺と優未は映画を見たり買い物したりとぶらりと過ごすことにした

「自分で買え」

「クリスマスだよー 彼女にプレゼント買わない男がいるか〜!」

「分かった買います買えばいいんでしょ買えば」

「やったー!」

 しかし何でキリストの誕生日が恋人の大イベントなんだ?

 それに日本は仏教国だろ……

 

 まっ、いっか

「優未、そろそろ帰るぞ」

「あ、うん」

 俺たちは二人家に向かって歩きだした

 昼間から降り続いてる雪が今日をホワイトクリスマスというさらに特別な日に彩っていた

 いつも通りたわいない会話をしながら歩いていると優未が俺の手を握ってきた

「……優未?」

「……ありがとう、卓史」

「………」

 俺は優未のその言葉に気恥ずかしくなってそっぽを向いた

 何だこの三流ラブコメみたいな展開は……

 どういう態度をとればいいのかわからん


 俺がそんな風に焦っているその時だった

 少し離れたところで救急車のサイレンが鳴っているのに気付いた

「クリスマスなのに…何かあったのかな?」

 優未もサイレンに気付いたようでまたいつもの具合に話しかけてきた

「どーせ誰かが雪で滑って頭で打ったんだろ」

「はー……卓史みたいにどんくさい人もいるんだねぇ」

「俺はそんなんで運ばれたことはねぇよ!」

 そして聖なる夜空の中

 サイレンの音は飲み込まれていった






「ただいまぁ〜」

 俺は9時半くらいに家に着いた

 服や頭に積もった雪を手で払い落とし 

 続いて玄関に雪が積もった靴を脱ぎ捨てる

 するとリビングのほうから母さんが慌てて飛び出してきた

「卓史!」

 何やらかなり慌てていた様子だった

「何だよ、お化けでも見た顔して」

「今……了くんのお母さんから電話があって……さっき了くんと香織ちゃんが交通事故にあったって!  車に引かれたって!」




「……えっ…?」


 持っていた鞄は力無く床に落ち

 
 次の瞬間俺は無我夢中で走りだした









 病院に着いてまず了の部屋に行った

 部屋はドアが開き

 そこから室内の光が漏れていた

 中を覗くとそこでは了の両親と弟が泣き崩れていた

 
 ああ……死んだのか…


 俺はその部屋の中に入ろうとはしなかった

 入ることができなかった

 あいつの死んだ姿を見ると

 ほんとに死んだことを受け入れなきゃいけないから

 でも俺にはまだその覚悟はできなかったから



 香織の部屋に行った

 了の時と同じ光景が目に入った

 やっぱり俺は部屋には入れなかった


 近くの長椅子に優未が座っていた

 夜も遅いせいか、周りにほかの人はいない 

 俺は自然とそっちに行き、隣に腰を落とした

「二人とも……死んじゃったんだって…」

 優未の声は微かにしか聞こえなかった

「ああ……」

 俺はそう答えただけで

 あとに続ける言葉は出てこなかった


 暫くの間二人の間に沈黙が舞い降りた

 俺も、優未も

 必死に心の中で戦っている

 今の現実を受け入れようとしている

 

 そこで俺の脳裏によみがえったのは

 香織のあの言葉

『私たちは死ぬときも一緒に死ぬんだから』

 まさかあの言葉がホントになるなんて誰が思っただろう
 
 しかもこんなに早くに

「ホントに一緒に逝ってどうすんだよ……あのバカップル…」

 沈黙を破ったのは俺のその一言だった


 あの二人は死んだ

 短い人生だったけど

 二人で死ぬと言っていて

 本当に二人で死んだ

 あの二人は幸せなんだろうか?

 それとも不幸なんだろうか?

 それはわからない

 でもやっぱり生きているときのあいつらは

 世界で一番幸せだったと思う

 俺も 優未も

 まだ生きている

 これから先いろんな困難が俺たちを襲うだろう

 時に哀しみ 時に嘆き

 でも

 最後にはやっぱり笑っていたい

 世界一の笑顔でいたい 

 最後にはやっぱり幸せでありたい

 世界一幸せでありたい  

 だって幸せは死んだ人から

 生きている人へ受け継がれるものだから

 俺たち二人は

 あいつら二人の

 世界一の幸せを

 世界一の笑顔を

 受け継いでいくのだから……





Fin

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〜あとがき〜

 どうも! フェンリルっす!

 この度文学喫茶というサイトをオープンしました〜

 月詠さんとリンクさせてもらっております〜

 その記念に今回の作品を送らせていただいた次第でございます!

 最近短編書くのに慣れてきまして、この作品も思いついてざっと書いたものでございます

 よく「死んだ人の分まで幸せになる」って言うじゃないですか?

 これをちょっと見方を変えて「死んだ人の幸せを残された人が受け継ぐ」

 っていうのを趣旨に書いてみましたがどうだったでしょうかね?

 もしこの作品を読んでいただけたら掲示板などに感想を書いていただけると嬉しいです、はい

 では星姫様

 これからもお互いにがんばっていきましょう〜

 以上、フェンリルですた〜(_ _)


 

どうも、こんにちわー

管理人の天川星姫です ( ノ゚Д゚)

まず最初に、この度は開店おめでとーございます!!

そして、相互ありがとうございます!

さらには記念小説までありがとうございますです!

いやはや……ここに載せてくれている方がサイトを作るというのはなんとも感慨深いものがあります

まぁ、嬉しいってことですw

では! これからもお互いに頑張っていきましょう!

末永く宜しくお願いします

でわでわー

                               天川星姫

 

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