秋と言えば何を思い浮かべるだろうか


読書の秋?


芸術の秋?


いえいえ、家のお姫様は違いますよ

え・・・・・なんの秋かって?


「うー、小骨嫌い」

「しょうがないさ、秋刀魚は骨が多いんだ」


そう、家のお姫様は、食欲の秋なのだよ






〜好き?嫌い? ○○の秋編〜
夏休みも終わり、本格的に涼しくなってきた十月 相原家では秋刀魚が焼かれている・・・・・まあ俺が焼いているんだが 「けほ、けほっ・・・・・煙くさいよぉ」 「しょうがないだろう、外でも箱庭っぽいし」 そう、特別に許可をもらって俺は庭で秋刀魚を焼いている うーん・・・・・そろそろ出来上がりか 「やっぱり秋は秋刀魚だよな・・・・・脂が滴って旨そうだ」 「・・・・・・・・・・うわぁ」 てらてらと光り、滴り落ちる脂を見て美帆はにへらぁっと頬を緩ませる そんな美帆を見ながら、俺は微笑んだ 「ほら、そろそろ戻るぞ」 「・・・・・うっ」 「ん? どうした?」 「な、なんでもないっ」 いきなりぷいっと顔を背ける美帆・・・・・ああ 近所の人が帰ってきたのか 部屋に戻り、皿に秋刀魚を置く 一匹丸ごとだが、おいしいので食べれられるだろう 「いただきまーす」 「ああ」 今日の夕飯はご飯と秋刀魚、豆腐の味噌汁に漬物だ あまり多いと美帆が食べられないからな、量の調節はもうお手の物だ 「うー・・・・・小骨、嫌い」 「まあ・・・・・魚には小骨が沢山あるな」 「・・・・・・・・・・でも、美味しい」 えへへと笑って秋刀魚をつつく美帆 そんな微笑ましい光景を見つつ、俺も箸を進める 途中で美帆がテレビをつけ、特番を見ていた 内容は秋の味覚スペシャル・・・・・今食べているんだけどな 「うわぁ・・・・・梨かぁ・・・・・美味しそう」 「・・・・・まだ食べられるのか」 「えっへっへ・・・・・甘いものは別腹だよ?」 にへらっと笑いながら美帆は秋刀魚をつつく 少々ため息を吐きながら、俺は自分の秋刀魚を攻略するのであった・・・・・ 夕食が終わり、のんびりと過ごす ・・・・・・・・・・ってか最近美帆ってこっちの家に入り浸ること、多いよな 「なあ美帆」 「んー?」 「本当に和夫さんたちはいいのか?」 「うんー、ちゃんと団欒はしてるから大丈夫だよ?」 えへへーと俺に抱きつきながら美帆は言う まあ・・・・・美帆がそういうのなら、文句は言わないが 「お父さんも言ってたもん、大好きならずっとくっついてろーって」 「・・・・・・・・・・・・・・・あの人は、なんなんだ」 「あはは・・・・・」 苦笑いの美帆と一緒に特番を見続ける うーん・・・・・どうやら秋刀魚の話題もやっているようだなぁ ・・・・・・・・・・ん? この秋刀魚、俺たちの食べたものと一緒の店のものか ・・・・・ってかこの店有名だったのか・・・・・知らなかったな 「ん? ・・・・・そーや、電話鳴ってる」 「電話? ああ・・・・・了解」 番組に集中していたのか、電話の音が聞こえなかった 美帆に言われるまま俺は電話のそばにまで向かい、受話器をとった 「はい、相原です」 「はろー、宗谷」 「・・・・・・・・・・新聞の勧誘はいりません」 「っておい、何で切ろうとするのよ・・・・・この京香様がわざわざ電話をかけているのに」 むすっと言ってきたのは斎場京香、プールでの人物は姉の麗香さんである ・・・・・で、いったい何のようなんだろうか 「ねえ、そっちに姉さん行ってない?」 「・・・・・・・・・・なんで京香の姉さんが俺の家知ってるんだ?」 「あ、あはは・・・・・元旦の時さ、車に乗ってたんだよねー」 あははと笑いながら言う京香・・・・・なら納得できるか ・・・・・だが、なんで麗香さんを探さないといけないんだ? 「まあ俺のところには来ていないが・・・・・なんでだ?」 「えーとね・・・・・宗谷の料理が絶品だって言ったら・・・・・家から、ね」 「・・・・・・・・・・全ての根源は京香かよ」 「あ、あはは・・・・・」 姉が来たらよろしくーと言い残して京香は電話を切った ・・・・・・・・・・まったく、なんで厄介ごとを残していくかな 電話を切って俺はため息を吐きながらリビングでくつろいでいる美帆の隣に座る 我先にといった感じで美帆は俺の胴部分に抱きついてくる 「んー・・・・・・・・・・あったかい」 「まあ、食べたばかりだからなぁ」 「違うのっ、そーやの体は元々あったかーいの」 「・・・・・そか」 えへへと笑って抱きついてくる美帆に幸せを感じつつ、俺はテレビを見る いつの間にか寝ていたのか、美帆はすやすやと寝息を立てていた・・・・・太るぞ? しばらく寝顔を長めていると、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴る 一体誰が来たのだろうかと思考をめぐらし、すぐに硬直 ああ・・・・・あの人か 一発で分かってしまった自分が嫌になる、ほんっとうに、嫌だ 「・・・・・・・・・・どちら様で?」 「夜分にすいません、そしてお久しぶりです、相原さん」 「・・・・・・・・・・どーも」 扉を開けて入ってきたのは京香の姉の麗香さん 何故か着物を着ている・・・・・ってか本当に何故だろうか 「京香から話は聞きました・・・・・でも何故ここに?」 「美味しい秋刀魚が食べたかったんです」 「・・・・・・・・・・・・・・・は」 「ですから、美味しい秋刀魚が食べたかったんです」 ふふふと笑う麗香さん・・・・・おい、本当に秋刀魚が食べたいだけなのか 京香以上に扱いづらい人かもしれない 眠っている美帆をベッドに寝かせ、俺はもう一度庭に出て秋刀魚を焼く 何故か無言の圧力に屈してしまう・・・・・これが男の性なのか・・・・・うぅ 「・・・・・・・・・・けほっ、煙が・・・・・」 「しょうがないさ、これが七輪の怖さだ」 はっはっはと笑いながらパタパタと団扇で扇ぐ そして数分も焼いているうちに、香ばしい匂いと共に焼きあがる 「・・・・・・・・・・さて、もう一度作るのか」 「ふんふんふーんっ♪ ふふふ♪」 秋刀魚を目の前にして鼻歌を歌っている麗香さん 可愛いのだが、やはり目が怖い・・・・・だって獲物を狙う目つきだから そんな麗香さんに恐怖しつつ、俺はご飯を茶碗につけて、漬物を用意する やはり味噌汁も用意してしまうあたり、主夫なのだろうと実感する 「こんなに用意してもらってすみません」 「いや、一人も二人も変わらないからな・・・・・気にしなくていいさ」 この分は京香に今度なにか奢ってもらおう そんなことを考えつつ、俺は箸を麗香さんに手渡した 「・・・・・では、いただきます」 「どうぞ」 少々緊張しつつ、そして嬉しそうに麗香さんは箸を手にとって秋刀魚に添える そして中心部分から脇にかけて身を広げ、尻尾のほうから骨を取り去った うーん、意外と難しいんだよな、骨抜きって・・・・・上手いなぁ そんな感じで感心しつつ、麗香さんを観察していることに気が付く ・・・・・・・・・・人が食べているのを見るのは少々勇気が居ることだなぁ ってかよく美帆はこんな風にして俺の食べているところを見ていられるなぁと考えてみたり 「・・・・・・・・・・美味しい、です」 「そう、そりゃよかった」 「相原さん・・・・・斎場家の専属シェフになりませんか?」 「あー・・・・・就職場所がなかったら、お願いしておきます」 「はい、いつでも空きを用意しておきます」 ふふふともう一度笑って麗香さんは料理を食べ始める うーん、やっぱり笑顔で食べてもらうのは気持ちの良いものだなぁ 十五分ほどかけて麗香さんは全てを食べ終え、口元を拭いて一時休憩していた ・・・・・ってかここまでの量をよく食べられるよな 「大変美味でした・・・・・ありがとうございます」 「いやいや、こちらとしても美味しいって言ってもらえてよかったよ」 「はい・・・・・では、そろそろ迎えが来ますので」 「・・・・・・・・・・は?」 先ほどの京香の会話では姉がこちらに来ていないかという内容だった ならば何故麗香さんの迎えがこちらに来るのだろうか そんな疑問を感じ取ったのか、麗香さんはまた笑顔になる ・・・・・・・・・・何故だ 「京香とは別の専属ドライバーが居ますので、その人に連絡をしておいてあるんです」 「あー・・・・・なるほどね」 納得も納得、大納得(?)だ やはり金持ちは違うねぇ・・・・・一人一台の専属ドライバーか しばらくすると外でクラクションを鳴らす音が聞こえる それに反応するかのように麗香さんは玄関まで移動していた 「それでは相原さん、今日はありがとうございました」 「いやいや」 「では、また今度お会いしましょうね」 「・・・・・ああ、また」 にこり、とお嬢様のように微笑んで麗香さんは扉を開けて外に出て行く 扉が閉まった後、俺はため息を吐いてリビングに戻る 「あー・・・・・・・・・・疲れた」 そう、美帆との会話などは慣れているのだが、他の女性との会話はあまり無い 京香などは例外だったりする・・・・・あれは友人というか悪友の一人だ 他にも友人には男子ばかりなので、やはり女性への免疫が無いのだろう ・・・・・うん、きっとそうだ 「うー・・・・・・・・・・そーや」 「ん? ああ美帆・・・・・起きたのか」 「・・・・・・・・・・・・・・・ん?」 きょろきょろと辺りを見回し、先ほどまで麗香さんが座っていた席に近づく そしてばっと俺に振り向き、こちらに向かってきた 「・・・・・・・・・・・・・・・誰が居たの?」 「プールで以前一緒になったろ? 斎場麗香さん・・・・・京香の姉さんだよ」 「・・・・・なんで?」 「京香から俺の料理の話をしたらしくてな、押しかけてきて夕食食べていったんだ」 「・・・・・・・・・・そっか」 ほっと胸を撫で下ろしている美帆・・・・・まったく、俺の心は動かないぞー ・・・・・美帆一筋だからな 「・・・・・・・・・・そーや」 「なんだ? 急に抱きついて」 「そーやは私だけのそーやだからね?」 「・・・・・ああ、分かってる」 「・・・・・・・・・・浮気はダメだよ?」 「浮気なんかしたら和夫さんたちに殺されるだろう?」 はっはっはと笑いながら俺は食器を片付ける まだ納得していないのか、美帆はずっと俺の後方から抱きついていた うーん・・・・・仕方がないな・・・・・これは恥ずかしいんだが 「・・・・・美帆」 「ん? なに、そーや」 「俺が好きなのは美帆だけだぞ?」 そういって、小さな唇に、そっと口づけをした ・・・・・あー恥ずかしい
〜後書き〜 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・な、なに考えているんだ私っ(;y=ー(゚д゚)・∵. ターン ・・・・・ああ、なんか後半から妄想爆発だった好き?嫌い?です 秋と言えば読書の秋!というよりも食欲の秋!のほうが魅力的 題名の○○にはやはり美帆という名前が入るのでしょう 『〜好き?嫌い? 美帆の秋編〜』・・・・・・・・・・おい さて、何故か今回は新キャラだった麗香さんが登場しています 本当は京香を絡ませようと思っていたのですが・・・・・出しにくいんです、あの人の立ち位置 だってお嬢様に見えないお嬢様とかお嬢様学校とか別設定多すぎやんっ まっ、そんなことで既に社会人っぽい麗香さんを起用してみたわけですよ では、今回はこんな感じでした・・・・・ではでは〜 NG集 「・・・・・では、いただきます」 「どうぞ」 少々緊張しつつ、そして嬉しそうに麗香さんは箸を手にとって秋刀魚に添える そして中心部分から脇にかけて身を広げ、尻尾のほうから骨を取り去った、が・・・・・ 「・・・・・・・・・・・・・・・こ、これはちゃうねん」 「キャラ違っ!?」 見事に中心の部分で骨が真っ二つ、これほど神業は無いだろう そう感じてしまった俺だった(ぉ


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