俊信「・・・・・・・・・・これは」
研究員「二年前に回収した時の目を持った少女です」
俊信「時の目?」
研究員「ええ、それは合成魔法タイムウォーカーの三倍の時間を止める事のできる魔眼です」
俊信「なるほどな・・・・・して、この少女の元の名前は?」
研究員「もとの名前ですか?」
研究員は何を言っているのか分からないというような目をする
なので俊信はもう一度言った
俊信「殺戮天使になる前の名前だよ、本名だ」
研究員「ああ、それですか・・・・・」
そう言って研究員は一枚の資料を見せる
そして・・・・・
研究員「彼女の名前は川名みさき、二年前に破壊されそうになった少女です」
と、言ったのであった
桜散るこの島で・・・
【殺戮天使ト青年】
研究ラボを出て、俊信は苦い顔をする
その顔には冷や汗が垂れていた
俊信「我々はなんて研究をしていたんだ・・・・・」
研究員「江碕さん?」
研究員の呼びかけにも答えず、俊信は独り言を呟く
俊信「何が殺戮天使だ・・・・・あれはただの少女を強化しただけじゃないか」
そう、俊信が思っているのは研究されている殺戮天使のこと
川名みさきと呼ばれた少女と女性の中間点にいる人物は人間なのである
俊信はこの研究を始める時には別の存在を対象に行うものだと思い切っていた
それが現実にはどうだろう、まだ20にも満たない少女が実験台になっているのである
俊信は唇を噛み、そして一人悔しがる
どうして自分は今まで研究データの隅々まで見渡していなかったのかと・・・・・
俊信「これは・・・・・一旦影森君たちに報告しなければ」
彼らなら、そう、影森裕也と折原浩平ならば、きっと打開策があるはずだ
そう思い、俊信はギルドに向かって車を出すのであった・・・・・
これが後に大変なことになるのだが・・・・・
それは、まだ先のお話である
〜???〜
「ここは・・・・・どこ?」
緑色の光に包まれて私は眼を覚ます
両手両足は鎖で繋がれ、身動きが取れないようにされている
そして体中には何かが取り付けられ、そこからかすかに電磁波を感じる
ああ・・・・・私、壊れちゃったんだっけ
今は何年なんだろう?と私は思う
薄く目を開けることが出来た、だから私は辺りを見た
「・・・・・・・・・・あ」
壁に掛けられていたカレンダー、年月日を確認
あぁ・・・・・もう、二年も経っているんだね、あの時から
私は目をつぶって思いふける
そう、二年前、私はあの人に壊されかけた・・・・・不慮の事故だけど
二年前、私はある人と一緒に行動をしていた
彼は私よりも強くて、そしてかっこよかった
恋、と言ってはいけないかもしれないけど、私にそう感じられた
彼も私と一緒にいると楽しいと言ってくれていたから、だからそれでよかった
でもある日、それは一瞬にして崩れ去ってしまう
彼は魔の気を持っていた・・・・・そしてそれが暴走してしまった
そのとき私は彼の傍でずっと立っていた
彼が暴走していたのに、ただただ立っているだけ、悔しかった
彼の暴走した力が私に当った時、その時の彼の悲痛な目は今でも脳裏に焼きついている
"やめてくれ、どうして、俺はみさきを殺したくないのに!"
そう、今でも彼の言葉を覚えている
彼のあの悲痛な叫びも、目も、表情も、全て覚えてる・・・・・
だから私は動かないといけない
彼に、大丈夫だからって・・・・・言わないといけない
そう思って私は腕を動かす、しゃん、と鎖が揺れる
そのとき、頭上から何か音が漏れていた
研究員「なっ、整備班は制御装置を外していたのか!?」
研究員「いや、正常だ・・・・・これは殺戮天使が勝手に動いているだけだ!」
研究員「なっ・・・・・全員、避難を!」
私の前を白衣を着たおじさんたちが逃げ惑いながら走っていく
私も一緒に行こうとしたけれど、自分が薄い布しか纏っていなかったので、近くにあった白衣を着る
まだ寒いから魔法で暖める・・・・・うん、感覚は残っているみたい
それで、体についているチューブとかもいらない、だから外した
「・・・・・んっ、けほっ!」
口から久しぶりに酸素を吸う・・・・・なんか、ここの空気はまずい
やっぱり尾根の空気のほうがおいしいよ
そんなことを思いつつ、私はそのまま外に出ることにした
もうこの場所に居たくない・・・・・ただそう思ったから
〜桜寮〜
連打される玄関のチャイムによって俺は昼寝から起こされ、玄関に向かう
居間には暦さんがいるのだが、テレビを見ているから行って来いとのこと・・・・・厳しいなぁ
ちなみに白河さん達女性陣は料理の真っ最中
どうやらお菓子作りに挑戦しているようだ・・・・・まったく、休日の午後だねぇ
そんなことを考えながら俺は玄関を開ける
そして、そこには江碕さんが息を切らして立っていたのであった・・・・・
裕也「それで・・・・・どうしたんです?」
俺は江碕さんを落ち着かせながら話を聞くことにする
いつの間にか俺の膝には聡美が、俺の周りには浩平と朝倉が座っていた
俊信「これは極秘事項なんだが、君達に関係がありそうだと思って報せに来たんだ」
浩平「極秘事項?」
俊信「ああ、我々中央局では以前から魔族対抗用に兵器を作っていたんです」
そう言って江碕さんは一つの絵を見せる
そこには一機の機械兵器が載せられていた
裕也「・・・・・これは?」
俊信「これは試作用殺戮天使NO−190Va、通称ノヴァです」
純一「ノヴァ?」
俊信「ええ、NOとVaからノヴァと付けられました」
そう言いつつ、江碕さんは一枚の研究データを見せる
俊信「そしてこれが第二期目の殺戮天使です」
裕也「なっ!」
純一「・・・・・なんか、グロテスクだな」
研究データには動物を模した生物兵器が描かれており、とてもグロテスクだった
こんなのを作る研究者の人格が疑われそうだ
浩平「こんなのが出来たら大変だな」
俊信「本当の絵がこれならばね」
純一「本当なら?」
濁した言葉の部分を朝倉が聞く
俊信「これに描かれているのはダミー、本当の写真はこっちだ」
そう言って江碕さんは一枚の写されたばかりの写真を見せる
裕也「みさき!!」
浩平「みさき先輩!?」
同時に俺と浩平が叫ぶ
浩平「・・・・・裕也、知っているのか?」
裕也「まあ・・・・・な」
俊信「どうやら君達に話して正解のようだね・・・・・彼女は川名みさき、二年前に研究所に入れられたらしい」
裕也「・・・・・・・・・・・・・・・二年前、か」
浩平「たしか二年前って、裕也が一時期消えた時か・・・・・」
純一「何か知っているらしいな」
朝倉が俺のほうを見てそういう・・・・・鋭いなこいつ
まあ、話さないといけないってのは分かっているからなぁ・・・・・しょうがない
裕也「分かった分かった、話すよ・・・・・祐一たちもそれでいいな?」
俺はドア越しに話しかける
すると、ドアが遠慮深げに開かれる
祐一「・・・・・気付かれてたか」
裕也「聡美がどうも落ち着かなくてな、たぶんそうなんじゃないかなってな」
聡美「うぅ〜」
ぎゅーっと抱きついてくる聡美をなでながら俺は祐一のほうを見る
祐一「わかった・・・・・皆、出てこいよ」
佐祐理「ゆ、祐一さ〜ん」
みさお「あ、あはは・・・・・」
どうやらみんな勢ぞろいのようだな・・・・・
ことり「話しづらいなら、話さなくても・・・・・」
さくら「だめだよことりちゃん」
アリス「裕也さんは話そうとしています、だから、そのようなこと、言ってはダメです」
ことり「そ、そこまで言うなら・・・・・」
さくらとアリスの剣幕に負けたのか、白河さんはたじたじだった
裕也「さて、話そうか・・・・・一人の少女と哀れな少年の話を」
二年前、俺はみさきと一緒に行動を共にしていた
目的が一緒だったので、その関係で行動することが多かったのだが、俺はそれでよかった
みさきのほうも俺と一緒に居ると楽しいといってくれたので、それでよかった
出会ったのは依頼を一人でこなしている時だった
俺と同じように一人で依頼をこなし、同じような依頼を受けていた俺と意気投合
そして一緒に依頼を受けることが多くなったのである
月日も流れていき、3ヶ月ほど経つ
俺もみさきも依頼をこなし、日々成長して行くのが分かっていた
みさきとこれからも一緒に依頼をこなしていきたい
一緒に歩んで生きたいとも思った矢先に、それは起こってしまう
二年前のある日、俺とみさきが一緒に依頼をこなしている時
俺とみさきの前に一体の魔族が現れた、そして俺たちと戦闘になったのである・・・・・
俺とみさきの剣技や魔法によって魔族は撃退される
しかし魔族は苦し紛れに俺に向かって魔法を放ってきたのだった
そして見事命中、俺は思い切り打ちのめされた
体中から血が吹き出て、そのまま地面に倒れ付す
近くでみさきが泣き叫んでいることに気がつく
みさきは俺のほうを見て泣いていた、俺が傷ついていたから、だから泣いていた
俺は魔力によって体中の治療を試みた
しかし結果は失敗、魔力の暴走が起きてしまった
なんとかして俺は暴走を止めようとする、しかしそれは叶わなかった
だから俺は逃げた、みさきを死なせたくはなかったから
逃げて、逃げて・・・・・でもみさきは追ってくる
だから俺は一か八かに出た、みさきを思いきり引き離し、俺は魔力を解放、そして全快した
しかし賭けは負け、俺の暴走した魔力は怪我を治すだけでは治まらず、あたりを消す
その火の粉は追いついてきたみさきにまで襲い掛かったのである
"やめてくれ、どうして、俺はみさきを殺したくないのに!"
俺の悲痛の叫びは届かず、俺の魔力はそのままみさきに命中、その瞬間、俺は意識を失っていたのである
目が覚めたときには既に俺は普通に生活をしていた
みさきがいなくなった事は知られていたが、俺のせいでいなくなったとは誰も言わなくなっていた
怖かった・・・・・だから、人との関係を絶っていた
でも・・・・・それでも、浩平は仲良くしてくれていたな・・・・・これは感謝だ
裕也「・・・・・・・・・・これが、俺の過去」
浩平「そう、か・・・・・一時期お前がいなくなったのはそれが関係していたのか」
みさお「そのときって瑞佳お姉ちゃんも私もかなり慌てていた記憶が・・・・・」
裕也「帰ってきたときの二人の剣幕は忘れられないな」
簡単に俺はそう言ってのけるが、かなりの剣幕だったな
上級精霊に匹敵する殺気というかそういう感じの気を放っていたし
俺は話し終えてそのまま俊信さんのほうを向く
彼にも知っておきたいことがあったはずだから
俊信「・・・・・とんでもない過去だね」
裕也「まあ・・・・・ね」
俊信「・・・・・すまない、この私がいるにも関わらず、このような狼藉」
浩平「おいおい、頭を上げろって江碕さん」
裕也「ああ、別にまだみさきが死んだわけじゃないんだ、それだけでいい」
俺はそう言って江碕さんに頭を上げるように言う
ほっとしたような空気のなか、江碕さんは何度も謝って帰っていった
江碕さんが帰った後、俺は身支度を始める
どうやら夢楽園どころではなくなってしまったな、今回は
浩平「おい、本当に探しにいくのか?」
裕也「ああ、たぶんまだこの初音島にいるはずだからな」
浩平「んじゃ、俺もついていく・・・・・心配だからな」
どうやら浩平も心配らしいな、すでに支度を始めているし
浩平「ところで・・・・・俺とお前だけで十分なのか?」
裕也「ん?」
浩平「俺としては美絵さんか聡美ちゃん辺りについていってほしいんだが」
裕也「ふむ・・・・・なら、俺としては聡美だな」
戦力的に美絵姉さんは後衛タイプ、それに比べて聡美は前衛だ
俺が後衛、浩平が前衛なので聡美と浩平が頑張ってくれれば大丈夫
浩平「なるほどな」
裕也「んじゃ聡美と一緒に行きますか」
こうして俺と浩平は聡美を連れて初音島を探索し、みさきを見つけることになったのであった・・・・・
〜後書き〜
藤祭:切ったきったキッタ
浩平:・・・・・なんか、スケールが大きくなってきたな
藤祭:いつの間にか裏の魔界って設定出てきてますからね
浩平:だな
藤祭:さてと、次回はみさき先輩に再会します
浩平:早いな
藤祭:ついでに言うとあのヘタレ魔族たちも出てきますよ
浩平:ってことは戦いか
藤祭:もしかしたら二話か三話に分かれるかも
浩平:まあ、それは頑張れ
藤祭:ええ
浩平:んじゃ、次回も俺様の活躍を見てくれよな!
藤祭:結構役立ちますからね
浩平:ああ
藤祭:ではでは
<人物紹介>
川名 みさき「かわな みさき」出演:ONE〜輝く季節へ〜+オリジナル
年齢 :18歳
使用武器:神剣『ヴィラド』
ランク :SS
二つ名 :黒髪の聖者or殺戮天使
属性 :黒髪の聖者『水、風、火』 殺戮天使『全』
今回の物語における最重要人物で、裕也の恋人に近い人である
裕也は否定をしているが、両思い状態なので、近いうちにはなるであろうとされている
彼女の使用する神剣『ヴィラド』は彼女しか使用者と認めていない。
「ここは・・・・・どこ?」