魔法少女リリカルなのはA's ―― Knight Of Gale ―― Case1:夜天の主と疾風の騎士 ずっと君と一緒に居よう、そう誓ったのはいつだっただろうか 傷つき、嘆き、悲しみ・・・・・痛みを乗り越えて、今、ここにいる 思いは力となり・・・・・そして、闇を打ち払う、一陣の希望の旋風となる これは、一人の青年と一人の少女を取り巻く、普通とは一歩違った、そんな物語・・・・・
present by 藤祭(since2007/06/08)
3.5.[番外編] リンカーコア吸収による闇の書の項集め それは簡単なようで、かなり時間のかかる行為である 敵を倒し、リンカーコアを摘出、そして闇の書に吸収させる この動作を行うだけで軽く30分近い時間を費やすことになる それはなぜか、一般の人間だけでは1ページにも満たない場合が多いからである なので吸収させる対象は、魔力の高い巨大生物や、魔導師たちなのだ 「はぁぁぁっ・・・・・そこだっ!」 「ふっ・・・・・甘いぞ晴樹、こっちだ」 「・・・・・・・・・・っとぉ!?」 ギンッ、ギンッ、と砂漠地帯の中に金属音が響き渡る 空気と砂ぐらいしか存在しない世界の中、晴樹とシグナムが互いに打ち合っているのだ 否、打ち込んでくる晴樹の攻撃にシグナムが自分のデバイスを打ち合わせているだけだった 「晴樹、お前の持ち味は初速度と防御力だ」 「・・・・・要するに、スタートダッシュと打たれ強さってことだな」 「ああ・・・・・お前の防御力は私達のシールドより堅固、故に攻撃する機会が多く訪れるということだ」 相棒であるレヴァンティンを構えつつ、シグナムは晴樹にアドバイス 現在シグナムは晴樹をベルカの騎士として相応しい人材に育て上げるために稽古をしているのだ 一方晴樹は一つ一つのアドバイスを聞き逃さないよう、真剣な眼でシグナムを見ていた 「避けるのではなく、あえて相手の攻撃を受け、そしてカウンターで反撃する・・・・・これがお前の戦法になるはずだ」 「なるほどね・・・・・肉を切らせて骨を絶つっていう言葉が一番似合う攻撃方法だ」 『マスターにはそれぐらいが一番いいのかもしれませんよ』 「かもな、思い切りぶつかるのは、苦手だ」 パラドクスの言葉に同意しつつ、晴樹はぐっと足元に力を入れる 砂地のためあまり踏ん張りが利かないので、力の配分が問題視される けれどもこれも慣れなのか、晴樹は不安定な地盤のなか、きちんと立っている 「行くぞ、レヴァンティンの一撃・・・・・見事防いでみろ」 「おうよっ!」 どんっという衝撃と共に、シグナムが肉眼では捉えられないほどのスピードで肉薄 パラドクスの警告に反応し、晴樹は目の前に障壁を展開 そしてレヴァンティンの一撃が障壁に喰らいついた 「くっ・・・・・でぇぁぁ!」 『Katzbalger起動します』 「っ・・・・・いいぞ、反応スピードはまあまあだ・・・・・だが・・・・・はっ!」 「うぉっ!?」 シグナムの攻撃を防御し、出来上がった隙をつくようにして攻撃 だがシグナムは晴樹の攻撃が当たる前に真横に移動 そして晴樹の障壁を一撃で斬り裂いた 「っと・・・・・い、痛い・・・・・ってかバリアジャケットがボロボロだ」 『今のダメージで三割ほど破損しています』 「流石、守護騎士のリーダーって感じだな」 「ふっ、何を言う・・・・・お前の防御力、ザフィーラに近いぞ」 「・・・・・そうなのか?」 「ああ、さすがに今の攻撃で八割以上は削れる計算で打ち込んでいたからな」 「・・・・・・・・・・ひ、酷いぞシグナムっ!」 容赦が無いシグナムの言い草に晴樹は嘆く だが、これも強くなることで必要になると言われてしまえば意味が無い 故にされるがまま、というのがあっているのかもしれない 「さて、今日はここまでにしよう・・・・・次はヴィータが担当する」 「了解・・・・・んじゃ、部屋に帰って反復しとく」 「それがいい」 シグナムとの訓練を終え、晴樹は次の日、ヴィータと訓練をすることになる 訓練と言っても、ヴィータの場合は実戦が主になっているのだが 現在も、魔導生物たちが存在する世界で戦闘を行っている 一時間ほど前に訓練を開始、今回の訓練内容は魔導生物の撃破だ 限られた時間の中でいかに多くの敵を撃破し、リンカーコアを蒐集できるか それが今の騎士たちに求められている最低条件なのだ 「ふぅん、シグナムが認めるだけはあるな・・・・・たったこれだけの時間で二体仕留めるか」 「ヴィータには負けるさ・・・・・俺と同じ時間で六体だろ? まだまださ、俺は」 「そう言うなって、これでも結構助かってるんだ・・・・・いや、かなりな」 「・・・・・そうか」 一時間戦っての結果、相手が巨大な魔導生物だったからにしろ、かなりの戦果である だからだろうか、ヴィータは少々恥ずかしそうにしつつも晴樹を褒める そんなヴィータに笑いかけている晴樹は、自分の力が少しでも役に立っていると実感する そして、そっぽを向きながら言うヴィータに対し、晴樹は苦笑い その後、可愛いやつだなーと言いながら、くしゃくしゃと頭を撫でる だが、それがいけなかった 「くっ・・・・・こんのぉっ・・・・・調子に乗るな!」 「うげっ!?」 『自業自得です、マスター』 「ちょ、そんなこと言わずに障壁――」 「いっぺんぶっ飛んでいきやがれーっ!」 回転しつつ遠心力をつけ、一気にグラーフアイゼンを振り抜くヴィータ ラケーテンハンマー、これがその技の名前 シグナムの攻撃とほぼ互角の威力があるのか、咄嗟に出した障壁は簡単に壊れてしまう 「がはっ・・・・・こ、こんなのありかーっ!?」 『ですから、自業自得です、マスター』 「げほっ、げほっ」 かなりの距離を吹っ飛ばされた晴樹は軽く咳をしながら遠方にいるヴィータを見る 吹っ飛ばしたほうは吹っ飛ばしたほうで、何故か後方を指差して何かを叫んでいる そして晴樹は、後ろを見て、絶句した ≪グォォォォォ!≫ 「んげっ・・・・・ま、まだリンカーコア蒐集してないやついたのかっ!?」 『ここはヴィータに習った教訓を生かすべきかと』 「・・・・・・・・・・教訓?」 『当たって砕けろ、以上です』 「っておいっ!」 相棒のバッドエンド直行な助言に突っ込みを入れつつ、晴樹は後方に飛びずさる そして先ほどまで晴樹の居た位置に巨大な尾が打ち込まれる かなり冷や汗ものだった 「とりあえず、あいつの弱点は今までの戦闘で分かってるわけだから・・・・・簡単だよな」 『ええ、一撃で仕留めます』 「了解了解っ」 飛行魔法を展開し、相手を徐々に誘導していく そして小さな魔力弾を作り出し、目くらましとして活用 相手の視界が一瞬悪くなったのを見計らい、晴樹は後方まで移動した 「喰らえっ・・・・・アーティクルブラスト!」 『Article Blast発動、誘導及び集束魔法陣展開・・・・・攻撃、開始します』 晴樹の周囲に数個の魔法陣が展開され、そこから複数の魔力弾が形成される そしてその魔力弾は数を増し、そして一つに集束 その後、砲撃となって巨大魔導生物の背中部分を抉り、打ち倒した 「おい、はるきっ・・・・・大丈夫か!?」 「ああ・・・・・なんとか大丈夫だ、弱点を知っていたのが良かったな」 「・・・・・だな・・・・・よし・・・・・蒐集」 闇の書をかざし、倒れこんでいる生物からリンカーコアを摘出、そして喰わせる その光景に少々罪悪感を感じつつも、はやてのためだとヴィータは嘆く はやくこのような行為を終わらせなければ・・・・・そのような気持ちが晴樹に芽生えていた ヴィータとの訓練も終わり、攻撃面ではかなりの強さになってきた晴樹 だが晴樹の一番得意な分野は防御、それを鍛えるために晴樹はザフィーラと訓練をする 基本的な防御魔法の展開からその時間延長や強化までの訓練だ 「基本的に、お前の防御力は俺と互角だ・・・・・いや、堅固な障壁が出来れば、俺以上か」 「・・・・・・・・・・なるほど、防御面では自信が持てるってことだな」 「ああ、だが基本を怠ると応用が崩れる・・・・・精進することだ」 「おうよっ!」 ザフィーラが人間形態になり障壁を展開するように、晴樹も障壁を展開 訓練の内容的には、デバイス無しでの展開と、全方位に対応できる障壁の展開 そして片手での展開と、幅広い訓練内容になっている 「これから俺がシグナムの半分以下のスピードで攻撃をする、それを全て防御しろ」 「分かった・・・・・んで、どこから攻撃するんだ?」 「どこからでも攻撃する、全方位だからな」 「・・・・・・・・・・なるほどね」 デバイス無し、バリアジャケット無しの状態で晴樹はリラックスした形で立つ そして一瞬にして消えたザフィーラの気配を察知し、片手で右側に障壁を張る だが・・・・・ 「がはっ・・・・・い、一発で壊れるとか、反則だろっ」 「反応はいいみたいだが、まだ構成が甘い・・・・・デバイスに頼りすぎだな」 「ああ、多分というか、本当に頼りすぎてたみたいだな・・・・・もう一回頼む」 「承知した」 ザフィーラの攻撃場所に展開できたのはいいが、強度がかなり低かった パラドクスという規格外のデバイスの恩恵が強いらしく、構成が甘くなる それを強化すれば一人でも行動が出来る強みになるのだ 「では、行くぞ」 「おうよっ!」 「ふんっ・・・・・せぁっ!」 「っと・・・・・ごほっ・・・・・こっちだ!」 一発目を防御し、二発目で破壊され、三発目でまた展開 そのような繰り返しを経て、少しずつではあるが構成が硬くなっていく その光景を眺めながら、ザフィーラは攻撃をやめた 「・・・・・はぁ、はぁ・・・・・ど、どうしたザフィーラ」 「いや、ここまで持続するとは思わなくてな・・・・・毎日展開する訓練を怠らなければ大丈夫だろう」 「・・・・・そ、そうか?」 「ああ、何せシグナムの半分のスピードとは言ったが、攻撃力はそのままだからな」 「そうかそうか・・・・・っておいっ! ってことは俺ってずっとシグナムと戦ってたみたいなものなのか!?」 「その通りだ」 ザフィーラの言葉にどさりとうつ伏せに地面に倒れ伏す晴樹 そしてごろりと仰向けになり、大きくため息を吐く 近寄ってきたザフィーラは苦笑いだった 「これほどの障壁が出来るのならば、問題はなかろう」 「そうか・・・・・でも、訓練ありがとな、ザフィーラ」 「なに、新しい仲間のためだ・・・・・当然のことだ」 ザフィーラとの訓練も終わり、既にかなりの日にちが過ぎていた 次第に自分が強くなってきているという実感を得た晴樹だったが、関門が待ち受ける そう、シャマルという最大の難関だった 「えーと、シャマルさんが教えるのって・・・・・支援系統だっけか?」 「とりあえずはそうですけど、一番最初に教えたいのは・・・・・これですね」 「・・・・・・・・・・・・・・・弾丸?」 シャマルの手に握られていたのは一発の弾丸 拳銃などで使われるものより大きく、つい最近見かけたことのあるもの つまり、シグナムたちが使うようなカードリッジシステム用の弾丸だった 「弾丸の生成は私が出来ますから大丈夫ですけど、魔力を込めるのに時間が掛かるんです」 「なるほどね、だから俺にも手伝ってもらおうってことか」 「はい」 「・・・・・でも大丈夫か? 俺って結構魔力低いぞ?」 「大丈夫です、使うとしても一回で二発ほどですから、それぐらい生成できればいいんです」 シャマルの言葉に、なるほどと頷きつつ、弾丸に魔力を込めるやりかたを教えてもらう だが言葉では簡単に"込める"などと言われるが、実際にやるとかなりの難しさ 涼しい顔でやっているシャマルに、晴樹は尊敬の念を覚えた 「弾丸の底から先端まで魔力が水のように溜まっていくイメージで込めるとか・・・・・難しいな」 「ようは慣れなんですよ、これは」 「なるほどね・・・・・イメージイメージ・・・・・うぬぬぬ」 「ふふっ、そんな顔しなくても目を瞑れば簡単に想像できますよ、晴樹さん」 「そ、そうか・・・・・あはは」 ゆっくり、ゆっくりとだが、弾丸に魔力が込められるようになる晴樹 だが、晴樹が一発込め終えるまでに既にシャマルは五発以上込めている 実力の差、というものもあるが、実際には魔力の量にも問題があったりもする そして目標である三発を完成させるまでには、シャマルの目の前には二十発ほどの弾丸が それを見て晴樹はがくりとうな垂れることになる かなりショックだったのだろう 「で、でも初めてでここまで出来るとは思っても居ませんでしたから、大丈夫ですって」 「しゃ、シャマルさんまで・・・・・初めてでそこまで高みを目指さないでくれっ!」 「私までって・・・・・もしかして」 「シグナムもヴィータもザフィーラも・・・・・三人して最初からかっ飛ばしてきたからなぁ」 『それに対応できるマスターもマスターだと思いますが』 「言うな、結構驚いているんだ・・・・・自分でも」 パラドクスに突っ込みを入れられながらも晴樹は自分で自分の能力に驚いている それはそうだろう、前までは一般人だったのだ、それが今ではここまで出来ている ありえない、そう思ってしまうのが当たり前だった 「とりあえず出来る限りスピーディに生成できるよう、訓練しましょう」 「了解、シャマルせんせっ」 「こらっ、おだてても何も出ませんからねっ!」 「あははっ」 守護騎士たちとの訓練もひと段落し、晴樹はつかの間の休み時間をリビングで過ごす ぐてーっとソファで伸びている晴樹はかなり疲労が溜まっていたようだ そんな晴樹を車椅子で移動してきたはやてが覗き込んでいた 「晴樹さん、そんなとこで寝てると風邪ひくよ?」 「あー、はやてか・・・・・ちょっと疲れててさ、眠い」 「あはは・・・・・なんか最近、シグナムたちに護身術ならってるみたいやもんね」 「ああ、シグナムには結構勉強させられたよ」 リンカーコア蒐集の事実をはやてには伝えていないので、誤魔化している最中 あちこち青あざが出来る護身術の勉強とは一体どんなものなのだろうか そう思ってしまうのも無理ないのかもしれない 「でも過激なものはダメやで? ここ最近青あざばっかやんか」 「あ、あはは・・・・・ごめん」 「頑張るのはいいんやけど・・・・・無理はダメだから・・・・・約束や」 「・・・・・了解・・・・・約束だ」 ふふふと笑ったはやてと小指と小指を絡ませあう いわゆる指きりというやつだ それをした後、はやては何かを思いついたかのように、ぽんと手を叩いた 「そうや、そろそろお夕飯の準備やった・・・・・晴樹さん、手伝ってくれる?」 「おうよ、これでも主夫歴は長いんだ・・・・・喜んで手伝わせてもらおう」 「あはは・・・・・シグナムたちには護身術訓練、そしてわたしにはお料理の訓練やね」 「はははっ・・・・・違いない」 こうして晴樹の訓練は順調に進んでいくことになる それと平行し、はやての体にも徐々に変化が現れ始めることになる だがそれはまた後のお話・・・・・ここでは語ることではないだろう 「晴樹さん、今日はシチューを作ろう思うんやけど・・・・・どうかな?」 「そうだなぁ、結構寒くなったし・・・・・ヴィータなんか風邪ひきそうだよな」 「あはは、ヴィータのこと悪く言っちゃあかんよー・・・・・まあ、一理あるかもしれんけどっ」 「あっはっは」 今はただ、この平和なときを・・・・・幸せな時間を過ごせたらいい そんな風に晴樹は心の中で思いつつ、はやての車椅子を押す そして・・・・・物語の歯車は・・・・・徐々に、スピードを上げていく・・・・・・・・・・・・・・・
〜簡易後書き〜 はい、完成しました番外編、いかがだったでしょうか? シグナム、ヴィータ、ザフィーラ、シャマルの四人から指導を受ける晴樹くん 真面目だったり大ボケして吹き飛ばされたり、成長に自信を持ったり 彼の成長が少しでも分かったら幸いです さて、次の番外編はあまり出番の無かったあの執務官のお話になるかと そしておまけで無限書庫に入り浸りになるあの人物のお話です ではっ!


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