魔法少女リリカルなのはA's ―― Knight Of Gale ―― Case1:夜天の主と疾風の騎士 ずっと君と一緒に居よう、そう誓ったのはいつだっただろうか 傷つき、嘆き、悲しみ・・・・・痛みを乗り越えて、今、ここにいる 思いは力となり・・・・・そして、闇を打ち払う、一陣の希望の旋風となる これは、一人の青年と一人の少女を取り巻く、普通とは一歩違った、そんな物語・・・・・ present by 藤祭(since2007/08/14)
11.[今君の元に、私達は思いを届けに行こう、それが悲しみであっても・・・・・なんであっても] 真っ暗だった夜空には、白く美しい光が漏れ出している それは夜天の主、闇の書と呼ばれていた魔導書の持つ、一人の少女・・・・・八神はやてのものだった その顔にはもう迷いは何もなく、強い意志のある表情をしている 「リンカーコア送還、守護騎士システム破損修復・・・・・おいで、私の騎士たち」 光があふれ出し、一つ一つを形作っていく シグナム、シャマル、ヴィータ、そしてザフィーラだ 全員が騎士甲冑に身を包み、悠然と目を閉じていた 「 我ら、夜天の主の下に集いし騎士・・・・・ 」 「 主ある限り、我らの魂尽きる事なし 」 「 この身に命ある限り、我らは御身の下にあり 」 「 我らが主、夜天の王、八神はやての名の下に 」 四人は実態を取り戻し、はやての傍に出現 そう・・・・・夜天の王の名の元に召還されたのだ そして彼女が唱えるのは、終わりと・・・・・始まりの言葉 「 夜天の光よ、我が手に集え! 祝福の風、リインフォース! 」 はやてが掲げる杖が、主の命令に呼応する。 黒の光と、白の光・・・・・そう、晴樹と同じ、黒き光と、はやてを表す白き光 混ざり合った光がはやてを包み込む そしてそれが収まった時、中心にいたはやては明らかに違う格好をしていた 漆黒の翼――スレイプニール――に、白の騎士甲冑。 そして手には闇の書を模した十字が先端についている杖 真の夜天の主としての八神はやてが、ここに・・・・・誕生した 「はやてちゃん!」 「はやて!」 「・・・・・はやて」 傍まで飛んで来たなのはと闇の書から脱出したフェイト、そして晴樹が、はやてに声を掛ける それを発見して、はやては申し訳なさそうな顔をした後、晴樹に笑いかけていた そして違う方向に振り向いて・・・・・にこりと笑顔を浮かべる なぜならば、自分が一番望んでいた彼らが、帰ってきたから すまなそうな顔をして、寂しそうな顔をして、自分を見ていたから だから彼女は、安心させるために・・・・・自分も嬉しいから、笑顔を浮かべた 「・・・・・はやて」 いつもの元気も無く、ただ、弱弱しく呟くヴィータ 他の守護騎士たちも、申し訳なさそうな顔をしている ただ一人、晴樹だけは・・・・・少しだけ遠くで微笑んでいる 「・・・・・すみません」 「あの、はやてちゃん・・・・・私達・・・・・」 「・・・・・・・・・・」 はやてを裏切り、偽って行動していた事がたくさんあった どのような理由があったにせよ、それは主に対しての反逆であり、許されることではない 四人が俯き、じっと・・・・・沈黙を保っていたが、はやてはただただこう言った 「ええよ、みんな分かってる・・・・・リインフォースが、教えてくれたから。 そやけど、細かい事は後や」 「・・・・・はやて」 「今は・・・・・・・・・・おかえり・・・・・みんな・・・・・それと、ありがとうな、晴樹さん」 優しい笑みを浮かべて、ヴィータたちに微笑みかけるはやて そんなはやてに我慢の限界を感じたらしく、涙を流してヴィータははやてに抱きつく そんなヴィータを、はやては優しく抱きしめた・・・・・ 「はやてっ! はやてぇっ!」 「甘えん坊さんやな・・・・・ヴィータは」 やさしく、やさしくはやてはヴィータを抱きしめる そして皆は・・・・・再会を喜び合うのであった・・・・・ つかの間の再会を喜び合う皆に一人の少年が気まずそうに割り込んでいこうとする けれどもそれは一番大切なことで、これからのことを決めるための重要な一言だった それが分かっているからであろう、晴樹はそっとクロノに道を譲る 「水を差すようですまないが、時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。 時間が無いので、簡潔に説明させて貰う」 クロノの言葉に皆が反応し、一瞬であたりは静まり返る ここまでスイッチの切り替えが出来る彼らに感心しつつ、クロノは口を開いた これからの作戦を、考えていたのだ・・・・・ 「闇の書の防衛プログラムが、後数分で暴走を開始する。 僕らはそれを、何らかの方法で止めなければならない」 眼画の澱みはゆらゆらと光を放ち、怪しくうごめいているのが分かる あの光の中に闇の書の防衛プログラムが今も力を解放しようともがき苦しんでいる しいて言うならばこれをどうにかするには、無力化、それか消滅をさせなければいけない・・・・・ 「停止のプランは、現在二つある・・・・・」 クロノは皆を見ながら、宣言した 緊張した面持ちで皆はクロノの言葉を待っている 「一つ・・・・・極めて強力な氷結魔法で停止させる、その場合はこれを使わなければならない」 この手段を実行する場合、事前に受け取ったデュランダルというデバイスをクロノが使用することになる 凍結させるだけなので時期を引きと延ばすだけなのだが、比較的簡単なプランではある けれども、いつ暴走するかは分からない・・・・・メリットの少ないプランである 「二つ目、危険も承知だが、軌道上に待機している艦船アースラの魔導砲・・・・・アルカンシェルで消滅させる」 これはこの世界から消し去るという、消滅の選択肢 軌道上にあるアースラからアルカンシェルを放ち、全てを破壊するということ 艦船に付いているほどの魔導砲ならば防衛プログラムといえど、消えてなくなってしまうだろう 弊害として周辺と地形はことごとく変わり、生態系への影響もかなり大きい。 失うものも、得るものも大きいという、積極的で、後先考えない方法でもある しかし、これが一番の上策であった 「これ以外に・・・・・他に良い手は無いか? 闇の書の主と、守護騎士の皆に聞きたい」 クロノは皆を見回して、他に意見が無いかを確かめる 管理局側ではこれぐらいのプランしか思い浮かばないのだが、長い間闇の書と関わってきた彼らなら、と クロノはそれを確信しつつ、問いかけていた だが、そのようなクロノの確信は脆くも崩れ去ることになる 長い間関わってきた彼らだから言えることでもあり、彼らだからできないことがある そんな答えが、クロノに帰ってくる 「えっと、最初のは多分難しいと思います・・・・・主のない防衛プログラムは、魔力の塊みたいなものですから」 「凍結させても、コアがある限り再生機能は止まらん」 「アルカンシェルも絶対ダメ! こんなとこでアルカンシェル撃ったら、はやての家までぶっ飛んじゃうじゃんか!」 全てのプランにダメだしを出す守護騎士達 このようなこと、以前までは無かったのだから、いいプランが浮かぶわけが無い 一同、首をかしげて考えをめぐらせているだけだった・・・・・ 「すまない・・・・・あまり役に立てそうもない」 「暴走に立ち会った経験は、我らにも殆ど無いのだ」 「でも、何とか止めないと・・・・・はやてちゃんのお家が無くなっちゃうの、嫌ですし」 「・・・・・・・・・・いや、そういうレベルではないんだが」 どのプランも問題点がありすぎて、実行に移すことができない 凍結魔法も先延ばし、消滅も後先考えていないので無理 議論は熱を帯び、次第にクロノは焦りを隠せていなかった 「・・・・・・・・・・どうすれば」 「・・・・・そうだなぁ・・・・・なぁんかいい方法があれば、一発で終わるんだが」 「晴樹とか言ったな・・・・・そう簡単に済む方法じゃ――」 「あーもう、まどろっこしいっ! みんなでズバッとぶっ飛ばす訳にはいかないのかい!?」 我慢の限界だったアルフはクロノと晴樹の会話に口を挟む その言葉を聞いていた皆は、かなり呆れたような表情をしていた それはそうだろう、ただのだだっこのようにしか見えなかったのだ 「あ、アルフ・・・・・」 「これはそんなに単純な話じゃないんだ・・・・・」 「・・・・・・・・・・うーん」 ユーノとクロノに否定されつつ、アルフはうーんと唸る しかしそのアルフの提案に、三人の少女は顔を見合わせる なにか名案でもあるのか、それともただただ唸っているだけなのか 「ズバッと、ぶっ飛ばす・・・・・?」 「ここで撃ったら被害が大きいから、撃てへん・・・・・」 「でも、ここじゃなければ・・・・・・・・・・あ」 そう思考するなのはとフェイト、そしてはやては、そこまで考えてはっとする もしかしたら、という気持ちが三人の中で生まれ、代表としてなのはがクロノに声を掛けた 「ねえ、クロノ君! アルカンシェルって、どこでも撃てるの?」 「どこでもって・・・・・例えば?」 クロノの疑問視する問いに答えたのはフェイトとはやて 真剣な眼差しで、二人は答えた 「アースラのいる場所・・・・・」 「軌道上・・・・・宇宙空間で!」 なのはたちを見ながら、晴樹はぼーっとそれを見続けていた 自分はいったいどれだけ役に立てたのだろうか、本当にここにいてよかったのだろうかと そんなことを考えていたら、隣にいつの間にかシャマルが立っていた 「どうかしたんですか、晴樹さん」 「んー・・・・・ちょっと、な・・・・・」 「そう言えば・・・・・お礼がまだでしたね、私たちの代わりにはやてちゃんを見守ってくれて・・・・・ありがとうございます」 「やめてくれ・・・・・死の瀬戸際まで行って、最後まで見守ることが出来なかった俺には、礼を受ける資格はないさ」 「大丈夫ですよ晴樹さん・・・・・はやてちゃんをみてください」 にこにこと微笑んで、シャマルは晴樹にはやてを見るようにという 視線をシャマルからはやての方向に移動させると、丁度はやてを目が合う形になる ぽっと顔を赤くして、はやてはこちらに手を振ってきた 「ほら・・・・・やっぱりはやてちゃんには、貴方も必要なんですよ」 「・・・・・・・・・・・・・・・そう、だな」 「無論・・・・・・・・・・私たちにも、ですけどね」 「・・・・・・・・・・そう、か?」 「ええ」 『マスター、悲観のしすぎはいけませんよ・・・・・もっと笑顔で、笑顔でですよ』 「・・・・・ああ、分かった」 デバイスとシャマルに諭されながら晴樹は事の成り行きを見守っていく 自然と手には力が入っていたようで、カチャリとダブルセイバーが音を立てていた 「闇の書の防衛プログラムのバリアは、物理と魔力の複合四層式・・・・・まずは、それを破る」 「バリアを抜いたら本体に向けて、一斉砲撃でコアを露出」 「そしたらユーノ君達の長距離転移魔法で、アースラの前に転送!」 画面の向こう側では皆がなのはたちが出した案を検討している かなりアバウトな方法だが今はこれが有力候補だったのだ 「・・・・・・・・・・彼らが転送してくれたら、後はアルカンシェルで蒸発、と」 「・・・・・これがうまくいけば、これがベストですね」 「・・・・・・・・・・解析結果は、どう?」 「可能と出てます・・・・・これで成功すれば、いいですね・・・・・艦長」 通信をしながらエイミィは納得する 危険なアルカンシェルを地上に放つより、宇宙空間で放てばよいだけのこと 発動と共に空間を歪曲させながら消滅を起こさせる主砲は、必ず防衛プログラムを葬り去ってくれる筈である 現状調査による暴走臨界点までの時間をはじき出しつつ、エイミィはコンソールを叩く手に力が入っていることに気づく 緊張しているのは皆も同じ、そう自分に言い聞かせ、心の中で苦笑する そしてはじき出された結果を、あとは皆に伝えるだけだった 「みんな! 準備はいいね? 闇の書の暴走臨界点まであと――二分!」 エイミィが幾分か緊張した声で、通達する リンディはアルカンシェルの発動キーを手に握り締め、スクリーンを見つめる 黒のドームの周りの海から、激しい水の柱が何本も沸き上がる 一同が息を呑む中、その中から巨大な最悪の根源が姿を現す そう・・・・・防衛プログラムの、暴走した姿だった
〜簡易後書き〜 簡易後書きと書いてちょっとじらしの回と言ってみるテスト(ぁ 今回は全部のお話の中で一番短いお話になりました・・・・・ってか切るにはここが丁度良かったんです なので戦闘は次回のお楽しみと言うことになりますね 一週間以上も待たせておいてこんだけかよっ、とかいう突っ込みはなしということで(ぉ では、次回でお会いしましょうっ・・・・・・・・・・いつになるのかなぁ(ぁ