俺とことりはアレからライブ会場の音楽室に向かった

出迎えてくれた佐伯さんと上原さんはご立腹だったが、何かを奢るということでお咎めなしになった

まあ、これぐらいしてあげないと腑に落ちない点が多いからな


絵美「影森君、なに立ち止まってるの?」

「ん、ああ・・・・・ごめん、ちょっと考え事」


それから何でもないよと言い、俺はヴァイオリンの準備をした

ことりたちも準備は万全だったようだ

こうして・・・・・ライブが始まる






D.C.O.S 〜桜の魔法と恋物語〜
第九幕「新たな一歩」
まず最初はことりの歌 伴奏に俺が当てられていたが、途中で上原さんと佐伯さんにバトンタッチ ヴァイオリンだけだと表現しきれないものがあるからな まあことりの歌は皆期待していたから大成功に終わった いってみれば頑張って練習して良かったと言えるだろう んで最後に俺のヴァイオリンでの演奏なのだが・・・・・一体全体どうなってんの? 「上原さん・・・・・ソロって何故に?」 絵美「だって影森君練習サボッてばっかだったから、その罰だよ」 智子「そうですね、頑張って」 「・・・・・・・・・・ことり」 ことり「うーん、いくら私でもこれだけは無理だね」 ずばっと即答されてしまった・・・・・はぁ 曲名は上原さんが選んでくれた曲、これはピアノとの共演だった 曲名は『第二ボタンの誓い』 一旦弾きはじめるとあとはリズムに乗って自分の思うように弾いて行くだけ 周りの事は気にしない、自分のことだけを思って弾き続けるのである 最後まで弾き終え、現実に戻ってくると、拍手喝采で迎えてくれた 後ろを振り向くと、驚いたような顔をしていることりや佐伯さん、上原さんがいた ことり「すごいっすね」 絵美「うんうん、選曲は間違ってなかったみたい」 あははと笑って上原さんが言う 佐伯さんも笑顔だった・・・・・まあ、これにてライブは大成功ってことだな ライブが終り、これにて卒業パーティーはお開きになる 皆各自で帰り支度をし、どんどん帰って行く 俺もライブの片付けを終えて屋上でタバコを吸っていた 最近吸っていなかったが、今日は何故か吸いたい気分だったのだ 「・・・・・・・・・・ふぅ」 空に向けて吐き出した煙は一瞬にして消えていく ・・・・・なに感傷的になってんだか そう思いつつも俺は一つの考えをめぐらせていた それは自分の中にある魔法の力のこと 一時的な封印状態を保っているが、いつ封印が解けるかは分からない 完全に封印するためには恋をするということが条件だった ならばその条件はすでに揃っているのではないか? そう考えていたのである ??「あー、やっと見つけたと思ったら・・・・・タバコはダメだよ」 「・・・・・ことり」 背後にいたのは頬を膨らませていたことり ことりはすぐさま俺の口からタバコを取り、踏んづけた 「・・・・・・・・・・勿体無い」 ことり「体に毒、よりはいいです」 どうだ、というような感じでことりは言う どうやらこちらのほうが不利のようだな 「・・・・・まあ、いいか」 ことり「そうそう、その調子でタバコをやめていきましょう〜」 笑顔で俺の腕を取ることり・・・・・ってかこんな性格だったか? ことり「女の子は恋をすると変わるものですよ」 「・・・・・・・・・・そっか」 一瞬脳裏をよぎる聡美の姿、やはりあの聡美も変わっていたのだと思う 俺に、こんな俺に恋心を抱いていたのだから・・・・・ ことり「さぁて、帰ろっか」 「だな・・・・・流石に冷えてきた」 俺は身震いをする真似をしながら屋上の扉を開ける 無論ことりは腕を組んだままだったがな・・・・・ 昇降口で待ち合わせ、俺たちは一緒に桜並木を歩いてく いつの間にか夕焼け空は夜空に変わり、星が瞬いていた 「すっかり暗くなったな・・・・・」 ことり「そうっすね・・・・・でも、こんな日もいいじゃないですか」 「・・・・・・・・・・まあ、な」 そんなことを思いつつ俺はことりの暖かさを感じながら歩いていく そして俺はふと立ち止まる、そう、前方に見慣れた姿があったからだ ことり「あ・・・・・・・・・・」 「聡美・・・・・」 聡美「こんばんわ、お二人さん」 そう、俺の幼馴染にして、俺に恋をする人、そして俺に二度も振られた人 そして・・・・・俺が最初に心を開いた人物でもある・・・・・神風聡美 聡美「やっぱり・・・・・ことりちゃんには敵わなかったなぁ」 ことり「でも私だって必死だったんだよ?聡美ちゃん、いろいろなことしそうだったから」 聡美「あれ、ばれてた?」 あははと笑う聡美、もう何もかも吹っ切ったような顔つきだった 悲しいとは思っているだろう、悔しいとも思っているだろう・・・・・でもその笑顔は綺麗だった ことり「ねえ聡美ちゃん・・・・・」 聡美「んー?」 ことり「ありがとう」 聡美「・・・・・・・・・・え?」 俺もこのことりの言葉には疑問だった、なんでありがとうなのだろうかと ことり「だって聡美ちゃんは私に勇気をくれた、一歩を踏み出す勇気を・・・・・だから、ありがとう」 聡美「・・・・・・・・・・うん」 「二人の間で何があったのかは知らないが、ここで決着はついたってことでいいのか?」 聡美「うん、決着はことりちゃんの勝ち、私の負けだよ」 ことり「聡美ちゃん・・・・・・・・・・」 だからね、と聡美は俯いていた顔を上げてことりのほうを見る 聡美「ゆうちゃんと幸せにならないと、許さないからね」 ことり「聡美ちゃん・・・・・・・・・・うん、約束するよ」 聡美「うん・・・・・ゆうちゃんも、ことりちゃんみたいな綺麗な子に好かれたんだから、逃がしちゃダメだよ?」 「分かってるさ、まっこれは全て聡美のお陰でもあるんだがな」 そう、ことりとこうやって腕を組んで歩けるのも聡美がいたからなのかもしれない 聡美「ん?」 「要するに、聡美がことりに何かを言わなければ事は進展しなかった、だから俺のほうからも感謝だな」 聡美「えへへ・・・・・」 「なぁに心配するな、俺よりもいい男がきっと現れる、聡美は美人だからな、保障するよ」 ことり「んんっ!」 ぎゅっと俺は足を踏まれる・・・・・い、痛いって 聡美「あはは、ことりちゃんジェラシー?」 ことり「あ、あはは・・・・・まあ、ちょっとは」 顔を赤くして言うことり・・・・・やっぱ変わりすぎだって 聡美「さぁてと、私はこっちだから・・・・・じゃあねお二人さん」 「ああ、またな」 ことり「またね、聡美ちゃん」 走っていく聡美を見ながら俺とことりは聡美が見えなくなるまでその姿を見ていた そして姿が見えなくなったのを確認し、歩き出す ことり「あーあ、最後の最後まで聡美ちゃんは強い子でしたね」 「ああ・・・・・あれがアイツのいいところなんだが、玉に瑕ってところだな」 ことり「あはは、幼馴染さんのお墨付きですか」 「あいつは筋金入りさ」 少し笑って俺は言う・・・・・そう、本当に自分よりも他人を優先させてしまうやつ それが神風聡美、俺の幼馴染にして最高の妹分だ 「さて・・・・・今日はここでお別れだな」 ことり「え?」 「久しぶりに本署に顔を出さないと忘れられそうでね・・・・・仕事ってこと」 ことり「えーっと、警視庁だっけ?」 「ざっつらいと」 俺はそう言ってことりと別れようとする だがことりは一行離れていく事はしなかった 「・・・・・・・・・・何故に?」 ことり「こんな夜道を一人で行かせるなんて・・・・・お姉ちゃんが怒るよ?」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 ことりに万が一のことがあったら俺の命は無い 次に目を覚ましたら体の一部が無かったり、一部が改造されているのかもしれない うわ、マッドサイエンティスト暦、強い ことり「へぇ、そんなこと考えてたんだね」 「べ、別に暦先生が悪いってわけじゃないけど・・・・・イメージが」 まあ・・・・・ことりを家に送ってからでも時間はあるか 「それじゃ、お送りいたしますよお姫様」 ことり「護衛は任せました、ナイトさん」 俺たちは笑いながらあと少しの道のりを歩いていくのであった・・・・・ ことりを送り終え、俺は本署に顔を出していた やはり久しぶりだったので顔を忘れられているかと思ったら玄関に入る前から歓迎されていた ??「やあ裕也君、久しぶりだね」 「宗谷おじさん・・・・・こんばんは」 俺の前に姿を現したのは宗谷武彦、現役警部である 俺と一緒に組んでいたこともあり、ゴールデンコンビとも言われていた 武彦「それにしても、大きくなったなぁ・・・・・僕も追い抜かされてるし」 「まあ、育ち盛りですし・・・・・・・・・・そうそう、薔薇って誰です?会ってみたいんですけど」 武彦「こ、こらこら・・・・・こんなところでいう話じゃないだろう?」 多少焦っているが嬉しそうにしているおじさん、やっぱり嬉しさは一押しなのだろう やっと結婚か・・・・・まあまあってことろだな おじさんと話しつつ俺は中に入る 中では各部署の職員がせっせと働いていた 武彦「さてと、これといって仕事は無いが・・・・・なにか報告は無いか?」 「報告ねぇ・・・・・強いて言えば彼女が出来たってことぐらい」 武彦「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」 「なんでそんなに驚く?」 武彦「いやいやいや・・・・・別にそういう意味じゃないんだけど、裕也君がねぇ」 やっぱり驚きは隠せないようだった まあ俺もそうだけどな・・・・・自分に恋人ができるなんて思いもしない出来事だ 武彦「まあ、裕也君はもてるからね・・・・・相手、美人だろう?」 「ああ、学園のアイドルとか言われてるよ・・・・・関係ないのにな」 武彦「そっか・・・・・んじゃまあ頑張って」 そう言っておじさんは出て行ってしまう 俺は久々の自室を見渡しながら道具の整理をしていく 中にはいろいろなものが詰まっており、整理しにくかった なになに・・・・・鍵開け専用ナイフに、拳銃三丁、弾丸が少々に 「・・・・・・・・・・何故手榴弾?」 ってかいつのまにこんな場所にあるんだ? 俺はそんなことを考えつつもその手榴弾を仕舞う こんなの見せたらやばそうだ これといった時間もかからず道具整理は終了、書類もほとんどないのでこれでオッケーだ 戸締りを確認して俺は部屋から出る、そして家に向かって歩き出した 家に到着すると両親が揃って首を長くして待っていた いや、首は実際には伸びてないけどな 佐代子「聞いたわよぉ、恋人できたんだってぇ〜?」 靖男「そうか、裕也にも春が来たか・・・・・早いのか、遅いのか、分からないがな」 はっはっはと笑う父さん、母さんはすでに出来上がっていた 佐代子「早く孫の顔が見たいよぉ〜」 「母さん、早すぎ」 靖男「そうだとも、まだまだ経験しないことが沢山あるからな・・・・・なぁ裕也?」 「・・・・・・・・・・そこで俺に振るな、父親よ」 こんなことをしつつも少しずつ話を掘り起こされる俺 まったく、この二人には敵わないな・・・・・ 佐代子「今度呼んできなさいな、たっぷりと可愛がってあげるから」 「父さん・・・・・身の危険を感じるので、排除命令を」 靖男「うーん・・・・・・・・・・それはダメだな」 「・・・・・・・・・・・・・・・悩むのかよ」 まったく、自分の息子に母親排除命令を下そうとする父親ってどうよ? 靖男「それより裕也、アレはまだ起こってないな?」 「・・・・・アレ?」 靖男「そう、アレだ」 佐代子「アレアレってさ、アレリーマンじゃないんだから・・・・・キッチリと言ったらどう?」 靖男「・・・・・・・・・・」 アレリーマンってのはアレとアレで会話するサラリーマンのことだ アレという言葉ばっかりを使っている人は右脳の力が弱っている証拠だぞ? 佐代子「まあぶっちゃけて言えば、魔力暴走はないの?ってこと」 「まだ無いけど・・・・・たぶんそろそろ起きるな」 佐代子「それまでに完全封印できる?」 靖男「それは無理だろう、いくら恋をしていたところで封印できるとは限らない」 うーむと腕を組みながら唸る父さん 母さんは楽観的だった 佐代子「まあ考えても仕方が無いわよ、今夜は寝ましょー」 そう言って自分だけ寝室に引き揚げてしまう母さん 残されたのは俺と父さんだけだった 靖男「まったく・・・・・・・・・・」 「ははっ、でもあれはあれで母さんらしいな」 靖男「そうだな・・・・・・・・・・だが、お前もよく笑うようになったな」 「・・・・・・・・・・ああ」 靖男「あの時のお前は正直見てられなかったし、親として失格だったからな」 ここで言っておく、俺は影森家の本当の子どもではない ある人に育てられていたが、魔力の暴走で殺してしまった・・・・・それで影森夫妻に拾われたのである 裕也という名前は元々俺が持っていた名前なのでそのままであるが この名前がある限り、罪は償わなければならない・・・・・ 靖男「だが、もう大丈夫だろう?」 「まあ・・・・・ね」 靖男「なら安心だ・・・・・んじゃ、良い夢を」 「ああ・・・・・おやすみ」 寝室に引き揚げていった父さんを見ながら俺は考える 過去の自分と今の自分を比べるとずいぶんと違うと感じる 拒絶していた自分と、受け入れている自分 人とのかかわりを避けた自分と、受け入れた自分 どれも正反対の位置を示していた まったく、俺も変わっていくんだな・・・・・ 「まっ、これからどうにかなるか・・・・・おやすみ」 俺は自分に言い聞かせ、布団に入って眠りにつくのであった
〜後書き〜 藤祭:ふぃー、聡美とかの話がこれにて終了 純一:次はどうなるんだ? 藤祭:次からは春休みですね、そのあと桜が枯れるってやつ 純一:物語も終焉か 藤祭:ええ・・・・・実質あと4、5話で終わりそうです 純一:まあ、頑張れ 藤祭:はい 二人:では、次回で


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