同じ夢を見ていた ゆらゆら揺れる暗闇の中、私はずっと漂っている あなたは誰? どこにいるのかな? 私は誰? どこを漂っているのかな? 分からない、分からない・・・・・全て、分からない そうだ、暗いなら、明かりをつければいいんだよね・・・・・ そう・・・・・日常から、非日常への灯火を
D.C.O.S.W 〜思いはいつまでも〜
第一章「 不安指数 」
Side―理乃 嫌な予感を感じ、理乃は起き上がる 体中から汗が噴出し、寝巻きが肌に直接張り付き、不快になる 起きてもなお、まだ嫌な予感が残っている 額から零れ落ちる玉の汗をぬぐい、理乃は立ち上がった 「・・・・・・・・・・気持ち悪い」 ふらふらと体が揺れて、平衡感覚がつかめない 理乃は低血圧ではない、なのにこの感覚はおかしいと、本人は思っていた 揺らぐ視界を見ながら理乃は壁に手をつく 少々息を整えると、不快感が全て消え去るのを、肌で感じた 「・・・・・・・・・・なんだったの、今の」 不快感が無くなって考えるのは今の現象のこと 春になってから謎の夢を見る回数が増えていたが、このような現象は初めてであった そんな初めての現象に不安を覚えつつ、理乃はゆっくりと歩く 階段を下りるのがここまで大変だったのは初めてであろう リビングでは昨日と変わらず姉の雅が朝食を作っている 今日は和食らしく、こんがりと焼き色が付いた紅鮭が皿に乗っている 空腹を覚えつつ理乃は食卓に着く そんな理乃を発見し、雅は口を開いた 「おはよ、理乃・・・・・って大丈夫? 顔色悪いよ?」 「・・・・・うん・・・・・ちょっと、夢見が悪かった」 「そう・・・・・あまり無理しちゃダメだからね?」 「・・・・・うん」 不覚まで追求してこない姉に対して感謝し、理乃は茶碗に盛られた白米を食べる 雅が食べ終わるまでには既に理乃の茶碗の中は空になり、皿に乗っていたおかずも消え去っている 満腹感を覚えた理乃はそのまま洗面所で服を着替え、自室に戻る 「・・・・・・・・・・あれ、何これ」 部屋で学園の支度をしていた理乃はベッドの上に何かが乗っているのを発見 近くまで移動し、その何かを拾い上げた 「・・・・・・・・・・真っ赤な桜の、花びら?」 理乃の手に握られているのは血のような色をした桜の花びら どのようにしたらこのような色が出るのだろうかと言うぐらい、真っ赤な花びらである その花びらを神妙に見ながら、理乃は腕時計を見て慌てる 時刻は既に学園に向かわなければいけない時間、そんな時間になっていたのだ 「・・・・・追求は、帰ってからでいいかな」 桜の花びらを机の上に置き、理乃は鞄を持ってぱたぱたと駆ける そして既に用意が終わっていた姉と合流し、学園に向かうのであった Side―理乃End Side―裕也 ゆさゆさと誰かに揺すられている感触を覚えながら裕也は目を覚ます 外では満開の桜の花びらが咲き誇っているのが分かる その花びらから目線を移すと、少々頬を膨らませた最愛の人が居た 「起きて早々私を無視って・・・・・裕也君、ひどいよ」 「あー・・・・・ことりさんや、この体勢、一体どういうことよ?」 「どういうことって・・・・・普通に私は裕也君を起こしてるだけだよ?」 にっこりと微笑むのは裕也の恋人である白河ことり 裕也に馬乗り状態でそのことりは微笑んでいるのである 「・・・・・・・・・・あー・・・・・・・・・・おはよう、ことり」 「うん、おはよう、裕也君」 軽く唇が触れ合うくらいのフレンチキス、それが彼女の毎朝の挨拶 砂糖がこれでもかというくらいに盛られた甘さをかもし出している雰囲気には入れる人は居ないだろう 入れるとしたらその人はそれ以上な人物であると予測できる 「ってかなんでここにいるんだ?」 「なんでって・・・・・佐代子さんから普通に合鍵貰ってるから、起こしに来れるんだよ?」 「・・・・・・・・・・母さんか」 事の元凶は母である影森佐代子の仕業であり、それを甘んじているのがことりである 裕也はこの二人の奇妙な連携に毎回頭を抱えているのである 「さてと、朝の挨拶は済んだから・・・・・今度は朝ごはんだね」 「・・・・・ああ、着替えていくから先に行っててくれ」 「了解っす・・・・・ふふふっ」 かわいらしい笑顔を浮かべてことりは部屋を出て行く そんなことりを見送りつつ、裕也は布団の暖かさを名残惜しむようにして立ち上がる 「なんか・・・・・より一層甘くなったな・・・・・俺」 先ほど彼女と交わしたばかりの唇に触れ、鏡を見る すると、柄にもなく少々顔が赤くなっているのが分かる どうやら恥ずかしいという気持ちが現れているようだった 「・・・・・・・・・・表情をあまりださない俺がここまで変わるとはな」 元々照れるなどという概念を持ち合わせていなかった裕也がここまで変わるのも珍しい それほど白河ことりという人物の存在が大きいということであろう 「さて・・・・・いくか」 身支度を済ませて鞄を持ち、裕也は自分の部屋を出る そしてリビングに向かい、朝食を一緒に食べるのであった・・・・・ Side―裕也End Side―理乃 学園に到着した理乃と雅は別れて自分のクラスに足を運ぶ 自分の席に座った理乃は終始先ほどから気になっていることを考え出す そう、一体どうして自分は変な夢を見るのだろうかと 「・・・・・・・・・・・・・・・うぅ」 考えても考えてもなにも考えが浮かばないのが事実 こういうときは何をしても思い浮かばないというのが現実であった 「理乃、おはよう」 「おはようございますーっ!」 「美春にアリス・・・・・おはよう」 考え込んでいた理乃の真正面にはいつの間にか友人である月城アリスと天枷美春の姿がある 二人とも元気そうであり、相変わらず美春は手にバナナを所持していた 「理乃ちゃんどうしたんです? なんか元気がないみたいですけど」 「それは同感、一体どうしたの?」 「えーと・・・・・やっぱり分かる?」 どうやら理乃の元気がないことは誰にでも分かってしまうことであるようだった アリスも美春も心配そうに理乃の表情を伺っているのが分かる そんな二人に理乃は笑いかけた 「大丈夫大丈夫・・・・・ちょっと夢見が悪かっただけだから」 「ならいいんですけど・・・・・昨日みたいに寝たらダメですよ?」 「それは美春にも言えることだけど・・・・・理乃も寝ちゃだめだよ?」 「りょうかーい」 あははと笑って三人で笑顔になる、これが友人関係の楽しさ 不安だった心もいつの間にか元気になり、笑顔になっている 二人に感謝しつつ、理乃はいつも通りに過ごそうと心に決めるのであった・・・・・ 授業も滞りなく終わり、理乃たち三人組は商店街に向かうことになる 理由は簡単、風歌堂に新しいメニューが増えたということなのだ 元々甘いものが好きな三人なので一言で向かうことになっていたのである 「うわぁ、見てくださいよこれっ! こんなにバナナがあるなんて美春は感激ですーっ!」 「・・・・・・・・・・・・・・・うわ、特大だぁ」 「理乃、あまり感情が入っていないような気がするんですけど」 「・・・・・気のせいだよ、うん、きっと」 三人の目の前に置かれた物体は50cmほどの大きさをしたパフェ その名もジャンボデラックスパフェ、バナナトッピング大盛りバージョン 値段は3000円、食べきればタダという超難関のデザートである 「美春はバナナ担当だから、他のは私たちで担当しようか、アリス」 「・・・・・・・・・・はい」 甘いものが好きだといってもこれだけ大きなものを三人で食べるにはかなり無理があるだろう ただでさえ多いのにバナナが大盛りでトッピングされているのだ、きっと美春でも無理だろう そう感じつつ、理乃はスプーンを手にとって冷たいアイスクリームから攻略していくのであった・・・・・ 「・・・・・・・・・・も、もう、無理」 「理乃、諦めないでください・・・・・あと半分なんです」 十五分ぐらい経っただろうか、途中までは雑談を交わしながら食べていたが、途中から無言になっていた そしてアイスクリームを攻略し終え、ほかの果物に取り掛かっていた理乃はテーブルに突っ伏す 隣ではその小さな体のどこに食べ物が入るのだろうかというぐらいのアリスが黙々と食べている 「んーっ、バナナが美味しくて、生クリームと絶妙でっ・・・・・美春は幸せですーっ」 「・・・・・・・・・・・・・・・美春、まだまだ入りそうだね」 「大丈夫ですっ、まだあとバナナ十本分ぐらい入りますからっ」 「・・・・・・・・・・それ、異常」 ぐったりとしている理乃はもう一度スプーンを手にとって攻略しようと考える だが、手に取ったあと、前方のパフェを見て硬直した 「・・・・・・・・・・あれ?」 「・・・・・なんです、理乃?」 「・・・・・・・・・・いや、うん・・・・・なんでもないよ」 見る限り、先ほどの量よりかはるかに減っているのが分かる 美春はバナナと生クリームばかり食べているのでほかの果物は食べていない 他のを食べているのは理乃とアリスのみ、そこからはじき出される答えは、簡単だった 「・・・・・アリス、たくさん食べるんだね」 「・・・・・・・・・・甘いものは別腹ですから」 「それ、違う」と言いながら、理乃は突っ伏す そんな理乃を一瞥した後、アリスはそのままスプーンを使って最後の果物を口に入れるのであった あれから三十分ほど休憩した後、三人は別々に分かれて帰路につくことになる 理乃はまだもたれているお腹をさすりつつ、休憩のために桜公園に足を運んだ 「・・・・・・・・・・・・・・・うぅ、まだ気持ち悪い」 あれだけの量を三人で食べてしまうところ、やはり若い学生はすごいのだと感じさせられる だが、理乃は一般の中でも小さい部類に入るので、やはりあの量はきつかったのだろう ベンチに座り込み、ぐったりとうな垂れる 「・・・・・体重計に乗るのが怖いよ」 ベンチの背もたれに寄りかかり、空を見上げる 雲がゆっくりと流れており、視界の端ではだんだんと夕日が姿を見せ始めていた そんな風景を見ていると、視界に映る人の姿を見つける、そして、その方向に顔を向けた 「・・・・・・・・・・あれ、お姉ちゃんと・・・・・杉並先輩?」 前方にはなにやら桜の木に寄りかかっている杉並と、理乃の姉である雅の姿がある 会話をしているようだが、雅の顔が真剣なのが理乃にも楽々分かってしまう そのような風景を見ていた理乃は、ふと、考えをめぐらせた 「・・・・・何の話、なんだろう?」 そう、杉並という男に話さなければならない内容というのはかなり気になることである そして自分の姉という存在が話しかけているのだから、より一層気になっていたのだ そんな好奇心から理乃はそっと杉並たちに近づいていく、そして、聞こえるか聞こえないかの場所で会話を聞いた 「・・・・・それでですね・・・・・疑問なんですが」 「ん? ああ、疑問か・・・・・それなら話は早いではないか、鶴ノ瀬嬢よ」 「・・・・・え?」 「言えばいいのだろう、面と向かってな」 後半部分だったのだろうか、かなり断片的にしか分からない内容である 理乃にもかなり分からないことが多かった 「・・・・・・・・・・帰ろうっと」 話を聞いても訳が分からないので、理乃はそのままきびすを返して帰宅することにする だが、これで正解だったのか、間違いだったのか、それはあの後の杉並の言葉が重要だった 「面と向かって言えるのは、姉妹だからこそだ・・・・・まあ、拒否すれば、終わりだがな」 帰宅した理乃はすぐに着替えるために自室に戻る 扉を開けてすぐ目に飛び込んできたのは、一面にばら撒かれている真っ赤な桜の花びらたち 一瞬目を見開いて、理乃は硬直し、手に持っていた鞄を床に落とした 「・・・・・・・・・・・・・・・なに、これ」 精一杯の勇気を振り絞って出た言葉がそれだけ、かなり小さな言葉だった 自分が朝見かけた桜の花びらは二枚ほどだったにも関わらず、現在はなぜか部屋中に落ちている 何者かが入った形跡はなく、謎が残るだけだった 「・・・・・・・・・・・・・・・と、とりあえず・・・・・掃除、だね」 なんとか落ち着きを取り戻した理乃は、納戸に仕舞ってある掃除機を取り出して全て花びらを吸い始める 途中で紙パックが一杯になったが、なんとか変えて、全て吸い込むことに成功した これで姉にばれることはない、そう思いながら、理乃はほっと胸を撫で下ろし、動きを止める 「・・・・・・・・・・なんで、安心してるんだろう」 そう、どうして自分は姉にばれないということに安心感を覚えているのだろうか 本当は逆ではないのか、姉に知らせてしまえば楽になれる、そうではないのだろうか だが、現在の理乃ではそれは考えられなかった、どうしてかといわれても、その答えはまだ不透明だった 「やっぱり・・・・・知らせたほうが・・・・・いいの、かなぁ」 誰に、とも言わず、どうやって、とも言わず、理乃はただ一人呟く 理乃の目線の先には桜の花びらを振りまいている桜の木々が見えている その桜の花びらは、一瞬だけ・・・・・真紅に染まって見えたのであった
〜後書き〜 ことりと裕也のらぶらぶはどこへ行ったのかと小一時間問い詰めたい(ぉ 理乃をメインにして動かそうとすると、なぜかシリアス風味になってしまうorz 保険としてアリスや美春などを起用していますが、うーん、難しいですね、絡ませるの(ぇ まあ・・・・・次回ぐらいかららぶらぶを入れていければよいかと・・・・・むりかもしれないけ(;y=ー(゚д゚)・∵. ターン で、では、次回でっ!


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