どうして俺はここに居続けているのだろう? 最近はずっとそればかりを考えていた 過去から逃げたいから? いや・・・・・違う 過去を認めたいから? それも・・・・・違う なら、俺はなんでここに居続ける? それはきっと・・・・・罪滅ぼし 俺が殺した人への償い、それしか思い浮かばない でもそれは違う・・・・・きっと、違う なんで俺はここに居続ける? それはきっと・・・・・ ことりに会わせる顔が、ないからだろう? D.C.O.S.V 〜夢の再来〜 九章「A blank page」 歌声を聴いて目を覚ます、どうやら眠っていたようだ 俺こと折原浩平は教室で目を覚ました 辺りを見回せば夕日が美しく輝いているのが見える 最近眠りが浅かったので、かなり眠っていたようだった 「起きました?」 「ん? ことりさんか・・・・・ういっす」 窓に寄りかかっていたのは裕也の恋人だった人物、白河ことり 恋人持ちの俺でも羨ましがるような綺麗な顔立ちと優しい声 けれどその顔は少々疲れているようにも思えた たぶん、心の奥底では気がついているのだろう・・・・・あいつを覚えていると そんなことりさんを見ながら俺は伸びをして立ち上がる 瑞佳は部活があってここにはいない、住井も帰ったようだな 「さてと・・・・・俺は帰るけど、ことりさんはどうするんだ?」 「私はもう少し夕日を眺めています、綺麗だから」 「そうか・・・・・なら屋上に行くといい、そこからならかなり綺麗な夕日が見れるだろうから」 「・・・・・うん」 頷いたことりさんを尻目に俺は教室を出て行く ふと何かを感じて俺は立ち止まり、ことりさんのほうを見た 「なあことりさん・・・・・」 「なにかな、折原君」 「初音島の桜がまた咲いたってこと・・・・・知ってるか?」 「・・・・・・・・・・・・・・・え」 最近ニュースになったことを覚えていた俺はそのようなことを言う その俺の言葉に反応し、ことりさんは固まった 「その分だと知らなかったみたいだな・・・・・また咲いたんだと、桜が」 「そう、なんだ・・・・・」 「あいつが居なくなったと思ったら桜のニュース・・・・・か・・・・・ん?」 「どうしたの?」 「いや、待てよ? あいつが消えたのがあの前だとして・・・・・桜がこうだから・・・・・やはり関係があるのか?」 「折原君!」 「うぉわっ!?」 思考の渦にはまっていた時にことりさんの声によって現実に引き戻される ああ、放置しっぱなしだったからなぁ・・・・・ 「すまんすまん、ちょっと思い当たることがあってな、考え込んでた」 「・・・・・桜の咲いたこと?」 「その通り・・・・・さぁて、用は済んだから早速帰って嬢ちゃんに聞きにいかないとなぁ」 そんなことを言いつつ、俺は教室を出る 教室を出るまでの数秒間、じっとことりさんが俺の背中を冷たい目線で見ていたのは・・・・・気にしないでおこう 帰りがけに音楽室を覗いたが、部活は終了していたようで誰も居なかった 少々ガッカリした気持ちのまま帰宅、そして真顔に戻って電話であの人の家にダイヤルをする 「・・・・・・・・・・はい、芳乃ですが」 「よう、久しぶり・・・・・かな?」 「折原君、だよね?」 「その通り、今日は気がついたことがあってね・・・・・だから電話した」 「そっか、こっちも考えている事は一緒かもしれないね」 あははと笑う声が聞こえ、俺は自分の顔が笑っていることにも気がつく そしてせーので言おうといったさくらさんの提案と共に、一緒に言う 「せーのでいくか」 「おっけー」 さて・・・・・まあ考えている事は一緒だろうけどさ そんなことを思いつつ、俺は言葉を言う 「せーのっ!」 「「桜が咲いたことと裕也(君)が関係していること」」 言った瞬間、二人で爆笑 シリアスな雰囲気をぶち壊しだが、たまにはいいのかもしれない そんなことを思いつつ笑いを堪え、普通の顔に戻る 雰囲気を察し、さくらさんも笑いを止めた 「そっちのほうが詳しいみたいだから、聞かせてくれ」 「うん、わかったよ」 そう言ってさくらさんは話し始める 始めは意味不明の内容だったが、聞くうちに分かってきた 影森裕也は魔法使いである、そして芳乃さくらも魔法使い まだ風が寒い三月ごろ、裕也とことりさんは出会う 互いに自分の能力を明かしつつ、絆を深めていった しかしその能力は終りがある能力だった 桜の魔法、さくらさんはそう言っていた そしてその魔法が切れる時、全てが変わった 完全に桜を枯らすためにはかなりの力が必要だった そこでさくらさんは裕也に力を借りたのだ 予定通り桜は枯れ、魔法の力は完全に消えてなくなった けれど本来の姿に戻っただけで、春にはまた咲くということ でもそれはそれで花のサイクルとしては完成しているので気にしないこと だが、その裕也が消えたことによって大半の力が失われ、桜が咲き始めたのだ 「正直言ってここまで折原君が理解できるとは思わなかったよ」 「俺もかなり意外だな、考える事は好きじゃないんだが・・・・・」 「それだけ裕也君のことを思っているからだよ」 あははと笑うさくらさん、少しは元気が出たのだろう 俺はそんなことを思いつつ、電話を切った 「ふぅ・・・・・それにしても、枯れない桜か」 「なぁに言ってるの?」 「うおっ!? 瑞佳・・・・・いるならいるで声を掛けてくれ」 「だって電話中だったでしょ? でもさっきの声、女の子だよね?」 いつの間にか居た瑞佳が俺に言い寄ってくる そりゃ彼女だから心配するのは当たり前だろうけどさ・・・・・ちょっと疑いすぎだ 「知り合いだっての、ちょっと深刻な問題があってそれを話し合ってたところだ」 「・・・・・深刻なこと?」 「瑞佳も経験したことがあること・・・・・俺に関係したことでな」 「・・・・・・・・・・・・・・・浩平が、消えちゃったってこと?」 「その通り、それが今回の問題だ・・・・・俺が消えたわけじゃないけどな」 苦笑いで言う俺に瑞佳は不安そうな顔をする そんな顔をして欲しくない、不安な顔をしたいのは俺のほうなのだ 「だが不思議だな、俺の場合はお前ぐらいしか覚えていなかったのに・・・・・あいつの場合は少人数覚えてる」 「え? 浩平も覚えているの?」 「だから相談に乗っているんだろうが・・・・・まあ、瑞佳も以前は知っていたんだけどな」 突きつける事実に瑞佳は黙る、どうやら記憶の奥底から思い出そうとしているようだ だが無理だろう、名前を言った覚えもないし、まして覚えているとは思えない 「・・・・・・・・・・一体、誰なの?」 「影森裕也、この言葉にピンと来なければ完全に忘れている・・・・・まあ、前にも聞いたけどな」 「・・・・・うん、覚えてない」 「それじゃあ、これも覚えてないのか?」 「え?」 俺は瑞佳が思いだしやすい出来事をいう・・・・・そう、これも関係しているから 俺と、瑞佳をくっつけたアイツが行ったことに、関係しているから 「お前が俺の気持ちを確かめるために告白した相手・・・・・それが、影森裕也だ」 〜Side-ことり〜 浩平が居なくなった後、ことりは浩平に言われたとおり、屋上に向かった 従うつもりはなかったのだが、何故か脚は屋上に向かっていたのだった 扉を開けると、そこからは夕日と夏の風が吹き抜けていく 軽く目をつぶりながらことりはフェンスに向かって歩く その時、ふと後ろから視線を感じて振り返る そして目を疑う・・・・・こんな人、居たのかと 「こんにちわ・・・・・ねえ、夕焼け、綺麗?」 「・・・・・・・・・・はい」 「そっか・・・・・・点数をつけるとしたら、何点かな?」 「・・・・・八十点ってところでしょうか」 「それじゃあ、かなり綺麗なんだ・・・・・うんうん」 目の前に居るのは黒髪の女性 雰囲気からしてこの学園の三年生であろうと予測された そんなことを思っていると、その女性はにっこりと微笑んでいた それにつられてことりも微笑んだ 「名前、なんていうのかな?」 「白河ことりです・・・・・一応一年ですけど」 「そっか・・・・・私は川名みさき、三年生だよ」 「川名先輩、ですか」 「うん、そう・・・・・みさきちゃんって呼んでね?」 にこにこと笑う先輩にことりは苦笑い状態だった しょうがないので妥協案を出しておく 「それじゃあ・・・・・みさき先輩で」 「うん分かった・・・・・それじゃあ、ことりちゃんだね」 あははと笑ってみさきはことりの目の前まで歩いていく そして微笑んだ 「ねえ、顔さわらせてくれる?」 「え?」 「あはは・・・・・気付いていないみたいだけど、私、目が見えないんだ」 「そう・・・・・なんですか」 「うん」 そう言ってみさきは手を伸ばしてくるので、それにあわせてことりも動く そして暖かな手がことりの頬を撫でた 「・・・・・悲しい顔してる」 「・・・・・え?」 「本当は綺麗な顔なのに、不安で不安で、たまらないって言う顔」 「・・・・・・・・・・」 「ってごめんね、知り合ったばかりの私がこんなこと言っちゃって・・・・・でも、そう感じたから」 それだけっ、と言ってみさきは手を離す その時、ことりは自然とみさきの手を握っていた 「・・・・・ことりちゃん?」 「あの、その・・・・・ご、ごめんなさい」 「ううん、いいよ・・・・・怖いんだよね? ことりちゃんは」 「・・・・・・・・・・」 「何を心の中に思っているかは分からないけど、大丈夫・・・・抱きしめてあげるから」 そう言ってみさきはことりを抱きしめる 暖かな優しさに触れ、ことりは強張らせていた体を緩める それを感じ、みさきは微笑んでことりを抱きしめた まるで母が子をあやすように、ゆっくり、優しく・・・・・ 「怖いん、です・・・・・覚えているはずなのに、思い出せないのが」 「そっか・・・・・それがことりちゃんの心の不安、なんだね」 「・・・・・はい・・・・・大切なことなのに、思い、だせない・・・・・」 「分かるよ、その気持ち・・・・・だからね、その気持ちも吐き出しちゃっていいの」 ゆっくり、ゆっくりとことりの背中をなでるみさき 初めて会った人なのに、こんなにも優しくできると不思議に思うみさきだが、それは一瞬にして消える 不安というのは人を壊してしまう、それを理解したから、こうやって抱きしめている 震えることりを抱きしめ、みさきは呟く・・・・・ことりに、ゆっくりと 「大切なことが思いだせないなら、悩み続ければいいの・・・・・どんなきっかけでも、必ず思い出せるから」 「みさき・・・・・先輩」 「あはは・・・・・ふぁいとだよ、ことりちゃん」 「っ・・・・・はい」 抱きしめていたことりを離し、みさきはことりに微笑みかける 涙を目に溜まらせてことりも微笑む、そして一筋の涙が、頬を伝った 「さてと・・・・・夕焼けもそろそろ終りかな?」 「・・・・・そうですね」 『みさきー!』 二人で夕焼けを眺めていると、遠くから誰かを呼ぶ声が聞こえてくる その声の持ち主が探しているのは自分の目の前にいる人だろうかとことりは思う 「みさき先輩・・・・・呼ばれてますけど?」 「空耳だよ」 『みーさーきー!!』 「・・・・・・・・・・なんか、怒っているようですけど?」 「・・・・・出来心だったんだよ」 苦笑い状態のみさきにことりは頭を『?』にする 何が出来心だったのだろうかと 「ちょっとノートのうさぎにちょび髭を書いただけなんだよ?」 「それはあまり怒る理由にはならなさそうですけど・・・・・」 「それじゃあきっと雪ちゃんのおでこに『命』って油性マジックで書いたからかな?」 「・・・・・・・・・・それは怒りますって」 「えー」 つまらなそうに唸るみさきにことりは呆れつつ、声の主が近づくのを感じる その時、みさきは移動していた 「私がここにいること、秘密にしててね?」 「え、ちょっ!?」 バタン! 「みさき! って人違いか・・・・・ここにぼけーっとした黒髪少女来なかったかしら?」 「いえ、ノートにちょび髭を書いたみさき先輩なんて知りません・・・・・って、あっ!」 「あ、あの子ねぇ・・・・・・・・・・まあいいわ、どこに居るの?」 「し、知りません・・・・・雪ちゃんって言う人のおでこに命って書いた川名みさき先輩なんて知りませんよ?」 完全に墓穴を掘っていることを知りつつもことりは言い続ける 何故言うのかは分からない・・・・・っていうか完全にわれを忘れていた 「・・・・・・・・・・どこに、いるの?」 「あ、あそこです」 「ありがと」 「うわーん、ことりちゃん・・・・・ごくあくだよぉ〜」 ずるずると引きずられていくみさきを苦笑いで見つめることり そんなことをしていると、夕日が沈む所を見る 一瞬にして暗くなる校舎、それを見ながらことりは帰路につくことにした いつもと変わらない帰り道・・・・・ずっとそれが続いていくと思いながら 〜Side-浩平〜 あれから瑞佳はなにも思い出せないまま帰っていった 浩平はそのまま自室に篭って、今自分は何が出来るのかを考えていた 過去に取り残されている・・・・・いや、過去に捕らわれている裕也をどうやったらこちらに連れてこれるのかと そう思いながら浩平は無意識にさくらとの会話で聞き取ったメモを見直していた そして、一文で止まる・・・・・ 永遠と現世を行き来できる少女がいる・・・・・という言葉で 「・・・・・・・・・・危険な存在であり、危険ではない存在でもある人物」 その少女は三日に一度は倒れ、永遠の世界を移動するという それを聞いた時は無意識だったのであまり頭に残っていなかったようだった もしその少女が裕也と出会っていたのなら、何かしらのアプローチがあったのだろう それを聞くといってさくらは電話を切ったのだ 「・・・・・全ては永遠を行き来できる少女が握るってか?」 メモ帳を机に置き、窓の外の景色を見る その景色は、丁度夕焼けから夜に変わる瞬間だった・・・・・
〜後書き〜 藤祭:ふぃ・・・・・やっと九章まで書き上げたか 浩平:みさき先輩と雪見先輩が出てきたな 藤祭:ええ、一応ONEが関係しているので出さないといけませんし 浩平:茜や詩子はどうするんだ? 藤祭:それは追々の予定です 浩平:・・・・・そうか 藤祭:今回の話で一番難しかったのはことりの浩平の会話です 浩平:何故だ? 藤祭:シリアス風味な浩平君にどうことりを合わせようかというのが問題でした 浩平:なるほどなぁ 藤祭:まあ結果的にはみさき先輩という保険を使わせてもらいましたけどね 浩平:屋上へ行けっていうやつか 藤祭:ええ、あれは浩平君なりの配慮があったのですよ、ことりへの 浩平:・・・・・あ? 藤祭:屋上に行けばあの先輩が居るから元気付けてくれるだろう・・・・・これが浩平君の考えです 浩平:・・・・・・・・・・おいおい 藤祭:はっはっは・・・・・では、次回で〜 浩平:・・・・・まあ、気長に見てくれや