君に出会って、自分は変わった 過去を引きずっていた自分を、君は変えてくれた そんなことはないと君は言う けれど、そんな君が・・・・・好きなんだ
D.C.O.S.V 〜夢の再来〜
E P「Geranium」
季節はあれから二ヶ月ほど経ち、すっかり冬になっていた 裕也は尾根に残ろうかと考えていたのだが、白河家の住人に強制的に初音に来させられた そして今日は初音に赴く日 裕也は隣に立っている自分の大切な人と共に、初音の地に降り立った・・・・・ 「すっかり桜、枯れちゃいましたね」 「まあ・・・・・望んだこと、だからな」 裕也が帰還し、ことりが思い出した日 その日から少しずつ桜が枯れ始め、とうとう全てが散ってしまった 魔法がまた効き始めたのだと裕也は語り、自分の力が働いたということをことりに言う そんなことを言う裕也に対し、ことりは苦笑いでその話を聞いていた 「あーあ、これで魔法の島も終わりかぁ」 「観光客はかなり減るだろうな・・・・・まあ、春になれば増えると思うが」 「でも初音島は枯れない桜があったから初音島なんだよねー」 「そうかな? 俺としては・・・・・ここにある自然全てが初音島って思っているけどな」 そう言って裕也は荷物を持ちながらことりのほうを向く 裕也を見ながら、ことりは微笑んだ 「でも、思い出せて・・・・・よかった」 「それに関しては俺も同じ意見だよ・・・・・まさか、思い出してくれるとは、思わなかったけどさ」 そう、ことりはあの日、夕闇に染まる公園の中で裕也を思い出した きっかけはどうであれ、思い出す事は奇跡だった だからだろうか、これまでの溝を埋めるかのように、ことりは事あるごとに裕也に抱きついている 以前はバカップルだったのだが、今は呆れるほどのバカップルにランクアップしているのだ 「今でも不安なんだよ? またいつか忘れちゃうんじゃないかって・・・・・」 「・・・・・まあ、忘れたら思い出せばいいだけだろ・・・・・前みたいにさ」 「・・・・・・・・・・うん」 手ぶらな裕也の右手に自分の手を絡ませる そして、腕に抱きついた そんなことりを愛おしく思いながら、裕也は微笑み、歩く そして・・・・・我が家に到着するのであった インターホンを鳴らし、住人が居るかどうか確認する すると、ばたばたと音がすると共に、玄関のドアがバタン! と音を立てて開けられた 「ゆうやぁっ!!」 「か、かあさ・・・・・げふっ!?」 「ゆ、裕也君っ!?」 ドアから飛び出してきたのは、母親である影森佐代子 息子である裕也に抱きつき、胸いっぱいに息子の匂いを吸い込んでいた ・・・・・・・・・・ある意味でおかしい光景であり、犯罪的な匂いがする そんなことを察したのか、ことりは少々慌てて裕也と佐代子を引き剥がした 「うー、裕也ぁ」 「・・・・・・・・・・心配かけてごめんな、母さん」 「・・・・・・・・・・ううん、いいの・・・・・帰ってきてくれたから、ね」 涙を流しながら佐代子は言い、もう一度裕也を抱きしめる 今度は裕也も抱きしめる・・・・・流石にことりは引き剥がす事はしなかった そのあと、影森家に入り、裕也とことりは絶句する そこには裕也を覚えていた友人たちが、所狭しと居座っていたからである 「よう、久しぶりだな・・・・・ってかもう少し早く来てくれよ・・・・・あぁ、かったるい」 「に、兄さんっ・・・・・ご、ごめんね」 「いや、いいさ・・・・・」 照れ隠しなのか、友人の帰還を喜んでいるのか、目の前にいる男――朝倉純一――はそっぽを向いていた それに対し、妹の音夢が苦笑いで謝ってくる 「・・・・・うっす親友、久しぶりだな」 「おい浩平・・・・・お前は普通に二ヶ月間一緒に居たんだが」 「つれないな・・・・・もう少しリアクションが欲しかったんだが」 「・・・・・そんな要求、どぶ川に捨ててしまえ」 はっはっはと笑いながら、親友である折原浩平に笑いかける そして、裕也はある人物たちの前で目線を止めた 「裕也君・・・・・おかえり」 「・・・・・・・・・・ああ、色々・・・・・迷惑掛けたみたいだな」 「う、ううん・・・・・いいんだよ・・・・・ボクはボクなりに、やってみただけだから」 あははと笑うのは芳乃さくら 彼女が一番傷ついていたに違いない・・・・・けれど、それを支えてはやれなかった 自分はもう選んでしまったから・・・・・大切な人を だから、心の中で・・・・・ごめんと、謝った 「・・・・・・・・・・んで、そこの三人は」 「おかえりなさい・・・・・あの歌はどうだったかな?」 「・・・・・・・・・・・・・・・ああ、助かったよ・・・・・ありがとう」 ふふふと微笑んでいたのは、永遠で幾度なく出会っていた人 そう、この世界に戻るきっかけを作ってくれた人・・・・・綾瀬愛美だ 「・・・・・えと、その・・・・・お、おかえり、で・・・・・いいのかな?」 「・・・・・・・・・・おかえりなさい」 「・・・・・・・・・・二人は、確か」 「鶴ノ瀬雅と、理乃です・・・・・覚えてますか?」 鶴ノ瀬と聞いた時、裕也の頭の中に過去の光景が思い出されていた そう、以前知り合うきっかけになった・・・・・あの事件のことを 「・・・・・・・・・・あの時の、か」 「・・・・・・・・・・覚えてた?」 「・・・・・ああ」 そう言って裕也が微笑むと、理乃はにこりと笑って裕也に抱きついた これには流石のことりも絶句しており、その後では拳が少々震えていた 「さ、さてと・・・・・靖男さんが六時頃に帰ってくるから、それまでに宴会の準備しないとっ」 「・・・・・・・・・・宴会ってなんだよ、母さん」 「聞いて聞いてっ♪ 裕也が帰ってくるって言ったら靖男さんが奮発してご馳走買ってくるって言ったのよっ!?」 「・・・・・はぁ」 「だからみんな呼んで宴会なの・・・・・どぅーゆーあんだすたん?」 「・・・・・・・・・・ああ」 にっこりと微笑んだ母に苦笑いをしながら、裕也は拳を握っていることりを見る 目が合い、ことりは少々ばつの悪そうな顔をして、視線を逸らした 「それじゃあ裕也君とことりちゃんは外に出てて」 「・・・・・は?」 「えーと・・・・・さくらちゃん?」 「なぁに、気にする事はない・・・・・準備は俺たちでやっておくから、二人だけで出かけてこいってことだ」 「・・・・・浩平」 はっはっはと笑う浩平に感謝しつつ、裕也はことりと一緒に玄関まで行く すると、後ろから純一が歩いてきて・・・・・裕也にあるものを手渡した 「・・・・・・・・・・これは」 「そっ、俺特性の栗饅頭・・・・・カロリー消費酷いんだから、味わって喰えよ」 「・・・・・ははっ・・・・・了解」 二つの饅頭を貰いうけ、裕也とことりは外に出る 一歩踏み出した時・・・・・サクっと雪を踏みしめる音がした 「雪、か・・・・・」 「この調子だと・・・・・もっと積もりそうだね」 違いない、と裕也は呟き、ことりと腕を組んで歩き出す 目指す場所は・・・・・既に、決まっていた 目的地までは簡単に歩いていける けれどそこまでの道のりを、裕也とことりは楽しんでいた 「雪が降ることは多かったけど・・・・・枯れた桜と雪ってのも、新鮮だなぁ」 「・・・・・そうなのか?」 「うん・・・・・って、裕也君はここに来てまだ一年も経ってないんだっけ」 「・・・・・・・・・・そう、だな」 はらはらと舞い降りてくる雪を手に取る すると、体温で解け、水滴に戻っていく 自分たちの日々もこういったふうに溶けてなくなってしまうのではないかと不安に駆られる けれど、隣にある温もりは絶対で・・・・・離れないものだと、確信した 「いろいろあったよね・・・・・裕也君が転校してきて、卒パがあって・・・・・」 「・・・・・恋人になって、尾根に行って・・・・・か」 「そう・・・・・それと、裕也君の過去とか・・・・・泉ちゃんとか・・・・・瑞佳とか、ね」 あははと笑ってことりは裕也に寄り添うようにして歩く そんなことりの暖かい重さを感じつつ、裕也も歩いた 「それにしても・・・・・本当に、簡単なことだったんだよね」 「・・・・・・・・・・そう、だな」 「そう、本当に簡単なことだった・・・・・ただ、お互いが好きなだけで・・・・・よかったんだよね」 「・・・・・ああ」 「私は裕也君が好き・・・・・愛してる」 「・・・・・俺も、ことりが好きで・・・・・愛してる」 「ふふっ・・・・・なんか、久しぶりに聞いたなぁ・・・・・えへへっ」 ぎゅっとまた抱きついてくることり とても幸せそうな顔をしているのが、見ていなくても、分かった しばらく歩き、裕也とことりは目的地に着いた その目的地は・・・・・物語の始まり・・・・・出会いの場所 「ここで俺とことりは出会った・・・・・ここが、出発点」 「そう、ここから私と裕也君の物語が始まったんだよね・・・・・うん、ロマンチック」 「全ては桜の魔法が起こした、単なる気まぐれ・・・・・それが、恋に発展したってことなんだけどな」 「もうっ・・・・・ムード壊さないでよぉ」 むぅと唸ることりに、裕也はそっと口付ける そんな不意打ちを受けたことりは、顔を一気に赤く染める 「これで多少はムードでたかな?」 「・・・・・・・・・・は、恥ずかしすぎて・・・・・それどころじゃないって」 頬を両手で挟み、ことりは熱を取ろうと冷やしている そんな姿が愛らしくて、裕也は微笑んでいた 「・・・・・・・・・・一応、言っておかないといけないのかもしれないな」 「・・・・・え?」 「また、枯らしちゃったからさ・・・・・枯らしたのなら、それ相応の言葉を言わない解けないから」 「・・・・・それ、相応?」 「そう・・・・・とても簡単で、とても、難しい言葉・・・・・約束なんて、守れないかもしれない・・・・・けれど言う言葉」 そう言って裕也はことりの手を掴む そして、目の前に聳え立つ老木に向かい・・・・・今までの中で、一番最高の笑顔で・・・・・言った 「また、春に会おう・・・・・約束だ」 あれから純一から貰った栗饅頭を食べ 、老木を後にし、ことりと裕也は影森家に帰宅する 時刻も丁度良く、父である靖男と玄関で再会した 「・・・・・ただいま、父さん」 「ああ、おかえり、裕也・・・・・それと、ことりちゃんも」 「はいっお義父さん」 「・・・・・・・・・・・・・・・は、ははは・・・・・お、お義父さんかっ、あーっはっはっはっ!!」 「と、父さんっ!?」 「そうかそうか・・・・・裕也・・・・・この果報者っ!!」 がしっと裕也の体を抱きしめ、父は裕也を叩く ばしばしと背中を叩かれ、裕也は困惑しながらも、そのままなすがままだった 「ちょ、靖男さんっ・・・・・裕也が帰ってきたなら知らせてよぉっ!」 「はっはっは、すまん佐代子・・・・・あまりにも嬉しかったんでな」 「・・・・・・・・・・あはは、私もそうですよ、靖男さん」 にっこりと佐代子が微笑み、靖男も笑う そんな二人に招かれながら・・・・・裕也とことりは中に入った 中では既に宴会が始まっており、料理が振舞われていた 多分ほとんどを女性陣が作っていたようで、男性陣は皿並べだけだったようだ 「それでな、瑞佳が言ったらしいんだよ・・・・・裕也が好きだってなっ!」 「なぁにぃ〜!? 裕也のやろぅ・・・・・羨ましいぞぉっ!!」 「・・・・・・・・・・に〜い〜さぁん!?」 「ちょ、まっ・・・・・ふげっ!?」 勝手に人の過去を大暴露している浩平 そんな浩平の言葉を聞き、ことりは少々般若の顔をしていた 「そう言えば・・・・・瑞佳に、告白されてたんだよねぇ?」 「・・・・・・・・・・あ、ああ」 「なぁんで・・・・・断らなかったのかなぁ?」 「え、ちょ・・・・・俺にまで矛先が!?」 「確か・・・・・キスまで、されたよね」 「・・・・・・・・・・おいおい、なんでそこまでっ!?」 後ずさる裕也に対し、ことりはえっへっへと笑いながら近寄っていく そんな裕也に、小柄な物体が抱きついてくる 「・・・・・・・・・・おい」 「・・・・・・・・・・あったかぃ」 「ゆ・う・や・く・ん?」 「・・・・・誤解だ・・・・・ってか理乃、酒くさい」 自分の鼻をつままないで理乃の鼻をつまんでいるのを見る限り、混乱しているようだ そんな裕也に対し、母である佐代子はコップ一杯のジュースを渡す 「はい、理乃ちゃんに飲ませたブツ」 「・・・・・・・・・・思いっきり、酒だろ」 「うん、アルコール度数1%にも満たないノンアルコールビールだけどね」 「・・・・・ごめん、理乃ってば、お酒弱いから・・・・・」 そう言って姉の雅が両手を合わせて言う そんなことはお構いなしなのか、ことりは理乃を引き剥がし、裕也に抱きついていた 「裕也君に抱きついていいのは・・・・・私だけなんだから」 「・・・・・・・・・・恥ずかしい言葉いうなぁ、ことり」 「だって・・・・・本当なんだもん」 すりすりと顔を擦り合わせてくることり こんなことりは見たことない、と言った風に純一が物珍しそうに裕也達を見ていた そんなこんなで波乱というか、混沌とした宴は終了 各自床で深い眠りについていた・・・・・ 目が覚めた裕也は、自室からベランダに出る ずっと降り続いていた雪は小さくなり、けれど地面に積もっていた 「・・・・・・・・・・帰って、来たんだな」 ひとり呟き、空を見上げる 今まではずっと下ばかり見続けていた・・・・・否、後ろばかり見続けていた 過去、過去、過去・・・・・そればかり だから・・・・・これからは前を向いて、歩いていこうと、裕也は誓う 「こんな所にいたんだ・・・・・家中探したんだよ?」 「・・・・・・・・・・ことり」 裕也の部屋に入ってきたことりは、ベランダに出ていた裕也を見つけ、隣に立つ さらさらと流れる長い髪からは、ことり特有のいい匂いが流れてくる そんな匂いに身を任せながら、裕也は空を見上げる そして、裕也に倣うようにして・・・・・ことりも空を見上げた 「そろそろ・・・・・夜が、明けるね」 「ああ・・・・・日の出を見るのも、また一興か」 「うん・・・・・・・・・・日の出を見るのは、久しぶりだなぁ」 うーんと伸びをしたあと、ことりは裕也の腕に抱きつく そんなことりの体温を感じながら、裕也は太陽が顔を出してくるのを見つめていく 「ねえ裕也君・・・・・・・・・・聞いていい?」 「・・・・・ん? なんだ?」 「裕也君は・・・・・今、どこに居るの?」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 ことりの言葉に一瞬裕也は固まる まさか、ここで言われるとは、という気持ちが大きかった けれど、裕也は答えなければならないと、自分に言い聞かせる そして・・・・・だんだんと顔を覗かせ、暖かい陽射しを運んでくれる、太陽を見ながら、言った
「俺は今・・・・・日のあたる場所に・・・・・いるよ」 第三部 D.C.O.S.V 〜夢の再来〜 『Fin』 and to be next story

〜後書き〜 ・・・・・・・・・・・・・・・今回は後書きの形式を変えてやってみようかと まあ、第三部のエピローグということで、ここから形式変えてもOK? と言ってみたり さてさて、プロローグをあわせて計十八話という長さまで続いた第三部、どうだったでしょうか? 少々、裕也君をうじうじさせすぎたという反省点もありますが、まあ、良い出来栄えだったかと。 さて、今回のエピローグの題名「Geranium」ですが、まあ分かる人は分かるかと お気づきの人は分かるでしょう、ブラウザ一番左上に表示される題名は、全て英語の訳になっております 今回の「Geranium」はそのまま、花の名前でゼラニウムです。 なぜこの題名にしたのかは、理由があったりします ことりには裕也が必要で、裕也にはことりが必要。 こんな風に、お互いが居るからこそ幸せになれる、ということから題名をつける そんなことを考えていたら、花言葉というものを思いついたわけです そして、この物語、第三部の最後を締めくくる言葉として最適だったのが、ゼラニウム 花言葉は『君ありて、幸福』 君が居るからこそ、私の幸福がある・・・・・まるで裕也君とことりちゃんを指しているようですね 裕也が隣で笑ってくれるから、ことりちゃんも笑顔になれる ことりちゃんが隣で支えてくれるから、裕也も前に進める それが上手く表現できているかどうか、わかりませんが・・・・・分かっていただければ恐縮です さて・・・・・次は第四部・・・・・物語も完結まであと少しということです まあ・・・・・第四部も十五話ぐらい行きそうですけどね(ぇ では、第四部での裕也君とことりちゃんのラブラブと、その他諸々の物語を、お楽しみください〜 ・・・・・・・・・・あぁ、後書き長げぇ


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