泉「これが・・・・・私の過去、忌まわしき記憶です」 ことり「・・・・・・・・・・そん、な」 私が話し終えると、ことり様はうな垂れてしまいます さて、兄様はどうするのでしょうか? 唯一信じていた人がこうして真実を知ってしまった 兄様、あなたはきっと・・・・・もう、一人ですよD.C.O.S.U 〜日々の理想郷〜 第九幕「別れの章」 うな垂れたままことり様はずっと下を向いています 私はそのまま刀の柄を握り締める、どうして・・・・・細部まで話したのかと思いながら きっと私は全てを誰かに知ってほしかった 私が裏切られたという痛みを知って欲しかったのかもしれません ことり「・・・・・ねえ、泉ちゃん」 泉「なんでしょう?」 ことり「裕也君は・・・・・どうして邪険にされていたの?」 どうやら私の両親が行ってきた暴行の数々のことを言っているのでしょう 私は・・・・・答えます 泉「それは兄様が悪いのです、逆らわなければ、全て済むことですから」 ことり「でもっ!」 泉「代々神威家には特異体質が生まれます、兄様はその一人ですから、逆らえば逆鱗に触れる事は分かっていたのです」 そう、私は神威の本当の人間ではないため、特異体質ではなかった 兄様は違う、大昔の魔術師の心を片隅に持っている、そして、使いこなすことが出来る人 だから大人に逆らってはいけない、自分が危なくなるから あまりにも強すぎる力は封印される、だから・・・・・逆らってはいけないのだ 泉「ことり様は聞いたこと、ありますか?血塗られた魔術師の名を」 ことり「・・・・・・・・・・以前、裕也君から聞きました。自分の過去だと」 泉「はい、兄様は心の中に血塗られた魔術師の力を持っています、その力は膨大、封印されるのは当たり前でした」 けれど私の両親はそのようなことはさせなかった 彼らは本当に兄様の両親だから、だから封印なんてさせたくないと訴えていたのだ なのに、なのに兄様は・・・・・逆らった どんな命令でも受けていれば封印されることはない、なのに、逆らった ことり「でも・・・・・殺しちゃったんだよね・・・・・人を」 泉「ええ、これは先ほど話したとおり、私の脳裏にずっと焼きついて離れません・・・・・そう、ずっと」 ぎゅっと拳を握り、私は前を見据えます そこにはやっと気がついたかと目が訴えているような、兄様が立っていました 裕也Side ことりと泉が話している声がずっと聞えている 俺の耳に入る言葉は全て過去の忌まわしき記憶 両親をズタズタに引き裂いた時の記憶 ずっと、ずっと心の中に残っている記憶の一部だった けれど俺にとってはもう過去の話 俺の決心は昔に既に出来ている、罪なら罪と認めよう だから、俺は生きていかなければいけない 血塗られた魔術師の心、そして力を受け継いだ俺だから 泉「・・・・・・・・・・影森、裕也」 裕也「よう、さっきまでは兄様だったのに・・・・・切り替え速いな」 ことり「・・・・・・・・・・裕也君」 ことりが俺のほうを見る そして俺は感じる、ことりから出ている気配は・・・・・恐れと怯え 恐怖で身が固まっているのだろう、動けないでいる まあ・・・・・そうしていれば俺的には嬉しいんだけどさ 泉「神威の力でこの公園一帯は閉鎖してあります、存分に殺しあえますよ」 裕也「こういうときに一族の財力を使うとは・・・・・まったく、とんでもないお嬢様だな」 そう言って俺はバックステップ 先ほどまで俺が立っていた場所には泉の刀の刃が届いていた 裕也「踏み込みまでのスピードが緩い、実戦では使えないな」 泉「外しましたか・・・・・しかし、次は斬ってあげましょう」 また鞘に刀を仕舞う泉 ことりは目の前の光景にただただ言葉を失っているようだった 裕也「泉・・・・・刀を鞘に仕舞い、抜刀の構えをとるのはいい・・・・・だが、それは動きの鈍い相手にすることだ」 泉「なっ・・・・・・・・・・くっ!」 一瞬の内にして泉の後ろに回り、蹴り倒す 不意を突かれた泉は俺の前方を転がって立ち上がる ダメージ的には少ないが、牽制にはなったかな まあ・・・・・そうでないと、本当に一瞬で殺しそうだし ことり「裕也君、やめてよ・・・・・もう、十分だよ!!」 泉「ことり・・・・・様」 裕也「ならば、俺が泉に殺されてもいいということだよな?ことり」 ことり「そ、それは・・・・・」 ことりには悪いが、泉が諦めてくれるまで俺は殺す気で泉に向かっていく そうしないと、隙を突かれて俺が殺される まあ・・・・・殺された時は俺の腕が甘かったということで そして、泉のほうが少々上手だったということだ 裕也「これは生きるか死ぬか、どちらかしかない俺たちの死闘・・・・・違うか、泉」 泉「そうですね・・・・・アナタほど強い人は、ほとんどいませんから!」 ブンッという音と共に抜刀が俺にくり出される まったく、どこのファンタジーゲームだ・・・・・こんなに速い抜刀は、久しぶりだ 裕也「速い抜刀だが、威力がまちまちだな」 泉「これも・・・・・受け止めますか」 バックステップで俺から距離を取る泉 ベンチで動けないことりは涙を流してずっと俯いていた 裕也「さて・・・・・そろそろ力の効果もなくなりそうだな」 泉「気がついていましたか・・・・・役所の圧力も1時間が限度ですからね・・・・・そろそろ、引き揚げましょう」 裕也「殊勝な心がけだな・・・・・だが、最後に一発ってとこか」 泉「さすが・・・・・そこまで分かっていましたか」 腰を低くする泉 これは抜刀術の一つ、居合い 現代では使える人はほんの一握りとされている技 ちなみに俺は使えないぞ 裕也「抜刀術居合いか・・・・・なら、こっちはカッターナイフってことで」 カチカチとカッターナイフの刃を露出させる まだ新品で夕日に反射して刃が光る 泉「では・・・・・・・・・・はぁ!」 裕也「っ!・・・・・ふっ!」 ガンッ!という音を立てて刀と学生鞄がぶつかる 俺のカッターナイフは学生鞄に突き刺さっていた ってか・・・・・学生鞄かよ 泉も唖然、まあ・・・・・命懸けの一撃をことりが学生鞄で止めるんだからな 俺も驚きだよ・・・・・まったく そう思いつつ、俺はことりのほうを見た ことり「もう、やめてよ・・・・・兄妹で殺しあうなんて・・・・・そんなの、おかしいよ!」 泉「・・・・・邪魔が入りましたが、次はないと思ってください・・・・・ことり様に感謝することです」 学生鞄から刀を抜き、鞘に押さえてくるりと踵を返す 木の陰からは何人もの黒服が出てきて泉の傍を着かず離れず歩いていた 裕也「さて・・・・・なぜ邪魔をした?ことり」 ことり「だって・・・・・こんなの、おかしいよ」 ぐっと拳を握って俯くことり やはり・・・・・優しすぎるな、ことりは・・・・・俺と違って 裕也「おかしい、か・・・・・まあ、最初から俺たち兄妹はおかしい部類なんだけどさ」 ことり「そっ、そんなことっ!」 裕也「無い、とは言い切れないだろう?異常な力を持っている俺、そして武術に秀でた泉・・・・・どこから見ても、異常者だ」 そう、俺と泉は秀でた才能を持ち、そして異常者 いつも異端と言われ、避けられていた泉 俺はそのようなことは気にしなかった、否・・・・・眼中にも無かった しかし、神威に引き取られる前の泉には友人がいた、だから・・・・・俺とは違った けれど、俺と一緒に居ることが多くなった泉は変わってしまう そう、俺が原因で・・・・・全てを見下すことで、自制した ことり「でも、裕也君は・・・・・優しい人だって、信じてるから」 裕也「そうか・・・・・こんな、人殺しでも優しいと言えることりは、すごいな」 ことり「裕也君・・・・・・・・・・」 裕也「さて、ここで俺はオサラバするよ・・・・・家には当分帰らない」 ことり「どうしてっ!」 裕也「もし俺が人を殺していたら、信じることはできない・・・・・そういったのはことりだろう?」 冷たく突き放す俺の言葉にことりは絶句する これが普通の反応だろう・・・・・そう、裏切られたという顔だ 裕也「自分が信じることの出来ない人と一緒にいるのは、堅苦しくてしょうがないだろう、だから・・・・・さよならだ」 ことり「そんな・・・・・そんなの、嫌だよ」 裕也「人は、時として、何かを捨てなければ自分を守ることはできない・・・・・だから俺はここでことりを切り捨てる」 ことり「・・・・・・・・・・」 裕也「ここでことりを切り捨てなければ・・・・・自分を抑えきれないからな・・・・・くくっ、笑えるな」 ことり「っ!?」 驚きを隠せないことりをそのままに、俺は歩いてこの場を去る 引き止めたいけれど、突き放されたくないことりは何も出来ずにその場で固まる そう・・・・・これでいい 傷つくのは・・・・・俺だけで、十分だ 裕也が立ち去った後、ことりは一人で帰路につく その手にはこの尾根に来る前に裕也に買ってもらった携帯電話が握られていた 以前からことりは電話を嫌っていた こころが見えないから、読めないから・・・・・だから、嫌っていた しかし、あの力が無くなってからは使用するようになっていたのだ そして今・・・・・ほとんど使われることのなかった電話が、新たな一歩を踏み出させる・・・・・ ことり「・・・・・もしもし?お姉ちゃん?・・・・・あのね」 そう、それは自分が一番相談に乗ってほしい相手 そして・・・・・自分の大切な人 ことりと別れ、俺は一人で署に向かった 今日からはあそこで生活しよう・・・・・金は十分にある 影森家にも以前ことりに金の場所は教えておいた 3000万近く入っているから、生活には困らないだろう 俺は振り返ることも無く、止まることも無く署まで歩く まったく・・・・・署までの道のりは、短いな 署に到着すると、玄関に立っている警官が敬礼をする どうやら学園の制服の状態でも俺の顔を見れば分かるらしいな 警官「影森総司令・・・・・お疲れのようですが、大丈夫ですか?」 裕也「ああ、ありがとう・・・・・ちょっと疲れが多いから、自室で休むよ」 警官「了解です、では」 入り口の警官とのやり取り、まったく・・・・・ここもお人好しが多いな そんなことを考えながら、俺は自室の扉を開く そして書物に埋もれながら、寝息を立てている銀髪少女にまた出会う まったく・・・・・こいつは変わらないな、ずっと 裕也「以前も言ったが、職務怠慢はいけないぞ、神谷」 雪絵「ふぇ・・・・・ゆーさん?」 裕也「おう、ゆーさんだ・・・・・ってか、また寝てたんだな」 俺は自分の頭を押さえて唸る まったく・・・・・ずっと寝ていたに違いない 雪絵「・・・・・・・・・・ゆーさん、何かありました?」 裕也「・・・・・何故?」 雪絵「ゆーさん、辛そうに見えましたから・・・・・・・・・・やはり、ことりさん?」 裕也「神谷にはバレバレか・・・・・その通りだ」 お手上げ状態で俺は自分の椅子に座る その隣で神谷はパイプ椅子を引っ張ってきて、座った 裕也「俺の過去・・・・・義理の妹に話されてな、裏切ったと思われている」 雪絵「そんなっ、あれはちゃんとした理由があったからじゃないですか!?」 裕也「でも人殺しは人殺し・・・・・それは変わらない真実だからな」 そう、俺が人を殺したのは本当の真実 誰が弁護しようが、変わらない真実なのである 雪絵「それで・・・・・これからは、どうするんです?」 裕也「そうだな、これ以上罪を重ねたくは無いが・・・・・もう一度、罪を犯すかもしれない」 雪絵「・・・・・・・・・・妹さんを、殺すのですね?」 裕也「相手が諦めてくれるまで逃げ回れたら、殺さないかもしれないが・・・・・神威の名を語っている時点で無理だ」 もう完全にお手上げ、諦めてくれそうにも無いからな まったく・・・・・また要らない罪を俺にかぶせるのか、運命よ 裕也「人殺しを信じることはできない、その言葉に従って俺はことりとさよならをしてきた」 雪絵「・・・・・・・・・・ゆーさん」 裕也「そうだろう?今までずっと信じてきた人が人殺しだったんだ、正当防衛でも、人殺しだ」 俺が人を殺した過去を聞いたことりの顔、そして俺を見たときのことりの顔 それが今でもずっと俺の脳裏に焼きついている 恐れ、怯え、そして絶望 信じていたのに、裏切られた・・・・・自分ばかり、信じていたのが馬鹿らしくなってくる そんな答えまで聞こえてきそうな顔だった まったく・・・・・どこまで俺の心を傷つければ、気が済むんだろうな? 雪絵「ゆーさん、私はゆーさんの行動には何も言う事はありません・・・・・ですが」 裕也「ん?」 雪絵「ですが、自分を殺めたり、他人を殺めるなんてこと・・・・・もう、しないで下さい」 裕也「・・・・・・・・・・」 黙る俺にそっと抱きつく神谷 寂しくなった時や、言葉で表せない感情があるときは必ず抱きついてきた神谷 ここでそう来るか・・・・・ 俺も、本当に弱いな・・・・・ 雪絵「雪絵は・・・・・ゆーさんを、信じています・・・・・そして、誰よりも、愛していますから」 裕也「・・・・・・・・・・神谷」 雪絵「横取りしようなんて思っていません、ただ私はアナタを愛し続けるだけだから・・・・・振り向かなくてもいいんです」 そっと微笑む神谷 俺はその言葉にただ呆然とするだけだった 雪絵「さて・・・・・終わってない書類整理、してしまいますね」 裕也「・・・・・・・・・・神谷」 雪絵「そんな寂しそうな目で見ないで下さい、本当に・・・・・奪いたくなっちゃいますから」 そっと俺の頬に口付けをする神谷 そして書類を持って部屋を出て行くのであった・・・・・
純一:なあ・・・・・D.C.O.S.とかD.C.O.S.Uは『ほのラブ』だったよな? 藤祭:・・・・・・・・・・ええ 純一:この物語のどこが『ほのラブ』なんだ? 藤祭:ぐすっ・・・・・だ、だってぇ〜 純一:泣くな、気持ち悪い 藤祭:なんだよぅ、一瞬可愛いとか思っていたくせに 純一:・・・・・・・・・・はぁ、かったりぃ 藤祭:・・・・・逃げたな? 純一:そ、それよりもだ・・・・・なんか、すごいことになっているな 藤祭:ことりと別れて今度は雪絵に鞍替えか? 純一:いや、そこはお前が考えるんだろうが 藤祭:・・・・・どうしようかね? 純一:とにかく、ことりと裕也は必ず幸せにしろよ? 藤祭:おお珍しい、自分と音夢のことしか頭に無い純一君からそんな言葉が飛び出るとは 純一:お、俺だって裕也のことは心配なんだよっ! 藤祭:はっはっは、分かっておるよ朝倉君、安心したまえ 純一:・・・・・はぁ、本当に・・・・・かったりぃ 藤祭:では、次回で会いましょうっ