さて、一つの物語は終りを告げた

いや・・・・・一人の物語と言ったほうがいいだろう


だがまだ一人だけ物語を終えていない人がいる

さあ、最後の盛り上がりを見せてくれないかい?


それでは皆様、座席に座ったまま・・・・・最後の終幕をお楽しみください

決して、席を立たぬよう、お願いいたしますよ






D.C.O.S 〜桜の魔法と恋物語〜
終幕「魔法使いと魔術師と」
白河ことりと俺こと影森裕也の物語は一旦は終了した しかしまだ俺とことりに繋がる人物の物語は終わっていない そう、出来損ないの魔法使い・・・・・朝倉純一の物語 これは、芳乃さくらと影森裕也、そして朝倉純一による最後の物語・・・・・ 親戚とことりと一旦別れて俺は影森家に向かう ことりの親戚達はとても気前よく、俺とはすぐに打ち解けることが出来た 母さんと父さんはことりの両親と暦姉さん、花婿の佐伯さんと杯をあげていた なので俺は一旦席を抜け、一人で自分の家に向かったのである ことりに後でなにか言われそうだが、それはそれでいいとしよう 俺はやっと今になって気づくことができた、まだ物語は終わっていないと それを物語るように、芳乃が俺の家の前で立っていた そう、これから物語を終わりにしようという決意を胸に抱いて 「こっちは終わったよ・・・・・芳乃」 さくら「そっか・・・・・さすがはゆっちー」 「買い被りすぎだ・・・・・まあ、これで俺もそちらさんの物語に介入することが出来るわけだ」 さくら「うにゃ・・・・・やっぱり?」 「ああ・・・・・芳乃の魔法といっても桜が枯れればしょうがないだろうが、だから生粋の魔術師である俺が力を貸すよ」 そう言って俺は芳乃と一緒に朝倉家に向かって歩き出す この俺と芳乃をことりが見たら嫉妬する気がするが、我慢してもらおう さくら「ねえ裕也君・・・・・」 「ん?」 さくら「どうして、裕也君は魔法を願ったの?」 「そうだな・・・・・ことりには違う話だが、芳乃には魔術関係の昔話でもしてやろう」 さくら「・・・・・え」 「そう、これは・・・・・血塗られた魔術師と言われた頃の俺の前世の記憶」 それでは少しばかりご拝聴ください・・・・・血塗られた魔術師の物語を 普通の魔術師と同類に呼ばれていた"俺"はごく普通の魔術師だった 西洋の魔術を習得しており、能力も一般的だった これは影森裕也の前世の記憶、ざっと見積もって1000年ほど前の記憶だろう "俺"は普通の暮らしをしており、名に不自由なく生活していた しかし欲というものは常に付きまとうもの、その誘惑に"俺"は乗ってしまう 禁呪とされていた呪いに手を出し、"俺"は血塗られた称号を得てしまう これが血塗られた魔術師の最初だった 血塗られた称号を得たことには人々は気付かない しかし"俺"は血塗られた魔術師なのだ そんなことを知らずにいろいろと依頼は舞い込んで来る それは何故か、"俺"の能力が上がっていたからである それは呪いに手を出したせいであり、努力ではない いずれにせよその呪いのお陰で依頼が舞い込んできたのは嬉しいことだった そして運命の日はやってくる "俺"はある集落に呼ばれていた 依頼の内容は病を治してほしいという依頼であり、簡単だった "俺"は能力を十分に使って治療をしていたが、何故かそのときだけ違っていた そう、能力の暴走である 一番魔術師が恐れる行為、それが能力の暴走 それがある集落で発生してしまった 人々は逃げ惑い、子どもは泣き叫ぶ、母は子を抱き、父は楯になって死んでいく 地面はひび割れ、地響きを上げていく、そう・・・・・全てが地獄だった そんな中唯一生き残ったのが"俺"ただ一人 後に皆はこう呼んだ、血塗られた魔術師と・・・・・ 「・・・・・まあ、ざっとこんなところか」 さくら「・・・・・・・・・・・・・・・うっ」 その場の情景を思い描いているのだろうか、芳乃の顔色は悪かった 「あまり真に受けるな、芳乃にはほんの少ししか関係しないことだからな」 さくら「・・・・・・・・・・うん」 そうこうしているうちに朝倉家に到着する 中からはかったるいようなオーラが漂っていた 「こいつの家の中はかったるい星に繋がっていそうだな」 さくら「あはは・・・・・あながち間違ってないかも」 苦笑いする芳乃と共に俺は朝倉の家に入っていく 中に入ってまず思うのは案外綺麗にしてあるということ 埃が少し溜まっているが、雑誌などは積み重ねられ、丁寧に置かれている だが何かがおかしい そう、生活感が全くないのだ 「芳乃・・・・・朝倉はどこに居る」 さくら「お兄ちゃんはずーっとベッドの上だよ」 俺は芳乃と一緒に朝倉の部屋に向かう 階段を一歩上がるごとに重力が増えたように感じるのは多分気のせいではないだろう 階段を上りきり、朝倉の部屋の中に入る 部屋の中では朝倉が一人布団の中で寝息を立てていた その顔は安らかではなく、苦痛でもない、無表情・・・・・ただそれだけだった まったく・・・・・ここまできて厄介ごとか さくら「・・・・・こうなると分かっていたらもっと早く枯らせたのに」 「・・・・・一つの体に二つの心・・・・・か」 さくら「裕也君・・・・・」 「正直信じられないが、朝倉の中にはどうせ朝倉さんの何かが詰まっているんだろうよ」 さくら「うん・・・・・本当は音夢ちゃんが背負うはずだったんだけど、島から出て行ったからね」 どうやら本当は朝倉さんが背負うはずの何かを朝倉が背負ってしまったということだ まったく、本当にかったるいことをしているよな、朝倉は さくら「だからね、お兄ちゃんの中にある音夢ちゃんへの気持ちを少しでも外に出さないと、壊れちゃう」 「ふむ・・・・・・・・・・試しにやってみるか」 さくら「・・・・・うん」 俺は朝倉の頭に手を添え、使い方も分からない詩を詠う それはただ破壊を願う歌、そして俺が唯一使用できる鎮魂歌 高鳴る鼓動を胸に秘め 幾千もの時間を越える・・・・・ 願うは解き放つ刃 祈るは魂の救済を 時を重ねてあなたと共に 願い重ねて祈りを捧ぐ 我が願うは解き放つ刃 我が祈るは魂の救済を・・・・・ 俺しか使うことの出来ない鎮魂歌 それを今俺は歌っている 次第に手のひらが熱くなり、魔力が迸る 集中力が根こそぎ奪われそうになるが、そこは頑張って持ちこたえる これが俺にできる精一杯だから、朝倉に出来る最後のことだから 「・・・・・・・・・・これで、終りか」 さくら「ごくろうさま・・・・・でも、状況は少しだけよくなったってところかな」 「・・・・・・・・・・まあ、な・・・・・あとは朝倉次第だよ」 さくら「・・・・・うん」 先ほどよりも若干安らいだ寝顔を見つつ、俺は部屋を立ち去る あとは芳乃に任せておけばいいだろうと俺は思う もう、俺の役目はこれでお仕舞・・・・・そう、これで物語を本当に終えることが出来る 桜並木を歩き、俺は空を見上げる 一ヶ月前は視界を埋め尽くしていた桜の花びらは既になく、枝だけが空に伸びていた そんな俺の後ろから手が伸び、俺の視界は塞がれる ??「だーれだ」 「・・・・・・・・・・ことり」 ことり「そう、大正解♪」 俺の視界を塞いだのはことり、笑顔とは裏腹に少しだけ頬が膨れていた ことり「ひどいよ、どっかいっちゃうなんて・・・・・探したんだから」 「ごめんな、ちょっとだけ物語を早く終わらせてきたんだよ」 ことり「・・・・・?」 「最後のピースは朝倉純一、彼の魔法もまた生粋のものであり、普遍のものである」 ことり「朝倉君も・・・・・能力が?」 「ああ、朝倉は家系が家系だからな・・・・・少しだけ残っていたんだろうよ」 俺はことりの手を引きながら空を見上げる そこには真っ青な青空が広がっている そして携帯電話に一件のメールが入る そこには朝倉純一の文字が浮かんでいる どうやら本当に物語りは完結することが出来るのだろう まったく、やっとゴールテープを切ることが出来るのか ことり「なんか、あっという間に過ぎていったって感じがするね」 「ああ・・・・・俺なんて奔走しすぎてもう息切れ寸前だ」 ことり「それじゃあ・・・・・私の膝枕で休憩しちゃってください♪」 「おぅ、お言葉に甘えましょうか」 俺たちは笑い合って桜公園に向かう そして俺はことりの膝枕によって日々を思い出していく 最初は歌声に引かれて出会い、そして歌声と共に恋人になった そして最後は歌声によって苦難を乗り越え・・・・・そして今に至る 俺たちは歌という架け橋で繋がれているのかもしれない まあ、今があればいいと思っているけどさ ことり「裕也君・・・・・」 「んー?」 ことり「えへへ・・・・・今、とっても幸せだよ」 「ああ、俺も幸せだ」 ことり「これからも・・・・・ずーっと一緒」 「・・・・・ああ、一緒だ」 俺はしっかりと握られた手に力を入れてきゅっと握る ことりもそれに対して笑顔で握ってくる そう、小さな幸せでも願っていればいつかは叶う かつて生きることを放棄していた俺がこういう風に生きていられるのも そしてことりという大切な人に巡り会えたことも 全て、願いがあったからこそである 朝倉も、俺も、ことりも・・・・・みんな幸せになる権利を持っている だから、その権利を存分に利用してやろう 「さて・・・・・堪能しますかね」 ことり「おやすみ、裕也君・・・・・お疲れ様」 本当に、お疲れ様・・・・・ 良い夢が見られますように・・・・・切に、そう願う
こうして物語は終りを告げる だがこの物語には終りというものはない・・・・・ 人が居る限り、その人一人ひとりに物語が存在する それを忘れずにいてもらいたい この物語はそんな一人ひとりのなかの一握りの人の物語 数多くの物語たちはまだ語られないだろう ならば語り合おう、永久に、永遠に・・・・・
≪Fin≫
〜後書き〜 藤祭:完結っす 純一:俺って最後の最後にちょい役なんだな 藤祭:一応言っておきますが、これは裕也とことりの物語です、あとはオマケ 純一:おいおい・・・・・ 藤祭:まあ、完結したのでいいとしましょう 純一:おい・・・・・二部があるんじゃないのか? 藤祭:ええ、これはダカーポとONEのクロスになります 純一:なるほどな・・・・・ONEだと裕也が以前居た学校の話題になるのか 藤祭:その通り、設定では静華欧台学園って名前の学校に通っていましたからね 純一:なるほど・・・・・まあ、かったるいが頑張ってくれ 藤祭:ええ・・・・・では、これまでお付き合いくださり、ありがとうございます 純一:第二部もお願いするぞ 藤祭:では、二部であいましょう〜


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