ウィザード企画 トップさいきっく!さつき寮ボツネタ集
咲誘拐編

美幸と咲が二人で街を歩いている。美幸がショーウィンドーの前で立ち止まった。

美幸:あ。ねえ、このスーツ、私に似合うかな。

咲:似合うんじゃない?

美幸:うん、そうよね。

美幸はそう言って立ち去った。

咲:買う気ゼロじゃん。

美幸:「いい物」と「必要な物」は別。

咲:せっかく買い物に来たのに…。

美幸とチンピラがぶつかった。

美幸:あっ…

チンピラ:おいコラ!どこに目ェつけて歩いてんだ、ボケ!肩、複雑骨折したじゃねーか!

美幸:す、すいません…。

チンピラ:謝って済んだら警察いらねーっての。治療費払え。

チンピラが美幸に詰め寄ったとき、その足元で咲が叫んだ。

咲:おいコラ!どこに目ェつけてあるいとんねん!首、複雑骨折したやんけ!

咲は首を外している。

チンピラ:ひいいいっ!!。

チンピラは走って逃げ出した。咲はチンピラを宙に浮かせた。

チンピラ:うわ――っ!!

咲:人にぶつかっといて逃げるんかい!治療費払わんかい!

美幸:それ、怖がらせ方が間違ってるわよ。

 

美幸:じゃ、私は先に帰るから。

咲:じゃーね。

咲が一人で歩いていると、男が声をかけた。

男A:お嬢ちゃん、ちょっといい?ねえ、駅はどこにあるか、知ってる?

咲:うん。

男A:車に一緒に乗って、案内してくれないかな。

咲:(誘拐するつもり?ちょっとからかってやるか。)

咲:あんた、自分で駅にも行けないの?ダサ。

男A:あ、遠くからここに旅行に来たんだけど、地図を忘れちゃったんだ。

咲:車で旅行に来たのに、なんで駅に行くの。

男A:あ、いや、これ、駅の近くで借りたレンタカーなんだ。早く返さないと。

咲:うそ。この車、わナンバーじゃないじゃん。

男A:えっ…。

車からもう一人が降りてきた。

男B:おい、何に手間取ってんだ。

男A:なあ、「わナンバー」って何だ?

男B:は?そりゃレンタカーのナンバープレートのひらがなの部分は「わ」だって事だろ。常識だぜ。

男A:(幼稚園児も知ってるような常識を俺は知らなかったのか…。)

男B:何落ち込んでんだ。お前、よくやったじゃねーか。

男A:え?

咲がすでに車に乗っている。

咲:ねー、早く行こー。

男A:(何で乗ってんだ?)

男B:おい、行くぞ。

 

車の中。

男A:お前、どうして車に乗ったんだ?

咲はひそひそ話を始めた。

咲:あんた達、実は駅に行くつもりなんてないでしょ。

男A:知ってたのかよ。

咲:あたしもちょっと刺激が欲しくてね。ねえ、いい所に連れてってくれるんでしょ。

男A:お前、妙に大人びた奴だな。

 

車はアパートに着いた。

男B:さ、入れ。

咲:15点。

男A:何がだ。

咲は男Bにすり寄った。

咲:ねー、どうしてあたしをこんな所に連れてきたのー?

男B:お前を誘拐するためだ。

咲:えーっ、うそー!あたし、誘拐されたの?うえーん!

咲はうそ泣きをした。男Bが後ろを向くと、咲は男Aの方を向いてニヤッと笑った。

男A:うっ。

男B:おい、お前、こいつから住所と電話番号を聞き出せ。

男A:なあ、住所と電話番号教えて。

咲:毎日電話してね。

男A:ああ、してやるから。

咲:じゃ、特別に教えてア・ゲ・ル。

咲は男Aに耳打ちし、男Aはそれをメモして男Bに渡した。

男A:おい、わかったぞ。

男B:サンキュ。

男Bは電話をかけた。

電話相手:はい、鈴木です。

男B:お宅の娘さんをあずかった。

電話相手:うちの娘は今家にいますよ。

男Bは電話を切った。

男B:電話番号間違えてんじゃねーよ、ボケ!

男A:俺のせいかよ!

男Aは咲のところへ行った。

男A:すぐわかる嘘つくなよ。

咲:鈴木さん家はお金持ちだから、ガッポリ稼げると思ったのに。

男A:お前がそんな事気にする必要ねーよ。

咲の携帯が鳴った。

咲:はい、もしもし。あ、五海ちゃん?あたし、今日は遅くなるから。うん。じゃ。

男B:なんだ、携帯持ってんじゃんか。おい、お前の家の番号はどれだ。

咲:これ。

男B:よし、かせ。

男Bは電話をかけた。

さくら:はい。

男B:お宅の娘さんをあずかった。

さくら:えっ?

男B:今、声を聞かせてやる。

咲が電話に出た。

咲:あたし、誘拐されちゃった。

さくら:もー、誘拐されるほど弱くないくせに。またいたずらするつもりなんでしょ。

咲:うん。

さくら:あんまり他人に迷惑かけちゃダメ。

再び男Bが電話に出た。

男B:どうだ。もし警察に言ったら、こいつをバラバラにするぞ。

さくら:警察には言いませんけど、もし咲が何かご迷惑をおかけしたら、遠慮なくバラバラにしてやって下さい。それから、早く帰るように伝えて下さい。

男B:…あ、わかった…。

さくら:よろしくお願いします。

さくらは電話を切った。

男B:なんなんだ、いったい。

咲は部屋の中をあさってエロ本を出している。

咲:おっ、すごいの持ってるね。

男A:こら、見るな!

男B:お前、マニアックなの持ってるな。

男A:お前も見るなよ。とにかく、こいつを何とかしてくれ。

男B:じゃ、ひもで縛るか。

 

男Bは咲を縛り、さるぐつわをはめた。

男B:おとなしくしてろよ。

男Bは机に向かった。

咲はひもとさるぐつわを外した。

男A:あっ!こら!

男B:何だ、うるさい。

男A:こいつ、自分でひもを解いて……あれ?

咲は縛られた状態に戻っている。

男B:自分で解けるわけねーだろ。

男A:……。

男Bは机に向かった。

咲はまたひもを解き、部屋の中をあさり始めた。

男A:こら、やめろ!やめろって!

男B:うるさい。

男Bが振り向くと、咲は亀甲縛りになって、ボールギャグをくわえている。

男A:ほら、さっきと縛り方が違うし、くわえてる物も違うだろ。

男B:お前な、幼児相手に亀甲縛りか?変態。

男A:俺がやったんじゃねーって。こいつが自分で。

男B:自分でそんなことできるわけねーだろ。

男Bは咲の方を向いて言った。

男B:ごめんな、こんな変態が相棒で。

男A:こいつ、このままだとまた部屋を荒らすぞ。

男B:だったらお前が押さえとけ。くれぐれも変な気起こすなよ。

男A:起こさねーよ。

男Bは机に向かった。男Aは咲の肩を手で押さえた。

咲は首を外して飛びまわった。

男A:うわ――っ!!

男B:何だ。

咲は首を元に戻した。

男A:今、こいつの頭がふわーっと飛んでいった。

男Bは男Aの肩に手を当てた。

男B:そうか。お前、最近疲れてるんだな。病院行ったほうがいいぞ。

男A:幻覚じゃねーよ。

男B:自分じゃ幻覚かどうかは区別つかんものだ。

男Bは机に向かった。咲はまた頭だけで飛びまわった。

男A:うわっ!ほら、ちょっと!見ろ!見ろ!

男Bが振り返ると、咲は女優の写真が載ってる雑誌を自分の頭の位置に持ってきた。

男B:なんともねーじゃんか。

そう言って向き直った。

男A:よく見ろ!

その間に咲は首を元に戻した。男Bが再び振り向いた。

男B:よく見ても、なんともねーよ。お前、下らねー事で騒ぎすぎ。俺、今から買い出しに行ってくるから、そいつの事任せる。じゃ。

男Bは玄関を出た。咲はひもを解いた。

咲:ふう、疲れた。おい、あんた、あたしをもてなせ。

男A:俺たちをバカにしてんのか、お前は。とりあえず、これでも食ってな。

男Aはポップコーンを投げ渡した。

咲:誰がこんなもんで満足するか。飯だ飯。腕によりをかけて作れ。

男Aは包丁を突きつけた。

男A:てめーな、立場を考えろ。誘拐されてんだぞ、てめーは。

咲はテレキネシスで包丁を男Aの顔に突きつけた。

咲:ああん?立場わきまえんのはてめーや。さっさと飯作れ、ボケ。

男A:わ、わかった。すぐ作る。

男Aは台所へ行った。

 

男Aが大小2つの丼を持って戻ってきた。

男A:おーい、できたぞ。親子丼。

咲はパソコンに向かっていた。

男Aが小さい方を渡そうとしたとき、咲が大きい方を取って一気にたいらげた。

男A:あ。…ま、こっちでもいいか。

男Aが小さい方を食べようとしたとき、咲が小さい方の丼を取って一気にたいらげた。

男A:……。

男Aはパソコンのそばのメモに気付いた。

男A:あーっ!それ、俺の銀行のパスワード!お前、何しやがった。

咲:へへっ。あたしが何をしたのか、そのうちわかるよ。それより、これ見て。

画面に男Aと男Bの写真が映っている。

男A:何だ、これ。

咲:警察署のホームページ。

男A:げー!ホントじゃねーか!何でもう指名手配されてんだ!?

咲:あたしがホームページを書きかえたんだよ。

男A:おい、「幼女誘拐」はわかるが、「婦女暴行」と「児童ポルノ法違反」ってのは何だ。

咲:すぐにわかるよ。

男A:え…。

咲は男Aを押し倒し、服を引きはがした。

男A:どわ――っ!!

 

男Bが戻ってくると、咲がパンツ一丁でベッドから出てきた。男Aは裸でベッドに寝ている。

男B:お前ら、何やってんだ、裸で。

咲:ねー、あの人ひどいんだよー!あたしの服をムリヤリ脱がせてねー、こんな事したんだよー!

咲はモザイク無しでは見せられない写真を出した。

男Aがパンツ一丁で出てきた。

男B:お前、最低だな。

男A:違う、逆だ。こいつが俺の服をムリヤリ脱がして、こんな写真撮ったんだ。

男B:アホか、変態。こんな小さな子供がそんな事するか?できるか?

男A:こいつ絶対ガキじゃねーよ。バケモンだよ、こいつ。このパソコン見てみろ。

男B:何だこれ。

男A:警察署のページを改ざんしたんだ。

男Bは男Aの肩に手を置いた。

男B:確かにな、警察を挑発して大事件にして、有名になりたいっていうお前の気持ちもわかる。だがな、「婦女暴行」「児童ポルノ法違反」って、俺まで一緒にするな。変態はお前一人だ、俺は違う。

男A:俺がこれ書いたんじゃなくって、全部このガキの仕業だって!

男B:お前、パソコンの使い方わかるか?

咲:全然わかんなーい。

男B:こいつにそんな事できると思うか?

男A:実際にやったんだって。それにこいつ、俺の目の前で包丁を空中に浮かせて見せたんだぞ。

男Bはあきれた。

男B:落ち着けよ。お前、相当きてるな。そんな事あるわけねーだろ。いいか、そんなありえない事が続けて起こったら、それは100%お前の幻覚だ。お前に見えてるものを疑ってみろ。

男A:…。

男B:ここにいるのは、どう見ても普通の女の子だ。

男A:そいつの頭がピンクに見える。

男B:そりゃいいんだよ、俺もピンクに見える。でもそりゃアニメの世界じゃツッコんじゃいけない事だろ。それ以外は普通だ。

男A:…。

男B:何が起こっても、騒ぐなよ。

男Bが隣の部屋に行った直後、澪がテレポートしてきた。

男A:わ!

咲:あ、澪ちゃん。

澪:咲ちゃん、何やってんの。もう夕食の時間よ。

咲:あたしは今誘拐されてんの。この人誘拐犯。

澪:ん?あ、お邪魔します。

澪は軽くおじぎした。

男A:…。

男Aは隣の部屋に行った。

咲:誘拐体験ってけっこう面白いよ。

澪:また人をおちょくってんの。

咲:くしし。そうだよー。だから、もうちょっとここにいていい?

澪:うーん、どうかなー。あ、美幸がテレパシーで呼んでるから、ちょっと寮に戻るね。

澪はテレポートで消えた。

その頃、隣の部屋で男Aが男Bに訴えた。

男A:今度は、知らない女が見えるようになった。

男B:…。ちょっと来てみろ。

二人は咲のいる部屋に戻ってきた。

男B:どこにその女がいる。

男A:今はもう見えない。

男Bは後ろを向いた。

男B:だったら、やっぱりそんな奴はいないんだよ。幻覚なんだ。

澪が、五海と美幸とさくらを連れて現れた。

男A:うっ!

男B:どうした。

男A:女が4人に増えた。でも、なんかものすごくリアルに見えるんだけど。

男B:そう見えても、そこには誰もいるはずないんだ。

男Bが振り向いた。

男B:………。

男Bは固まった。

五海:この人たちが誘拐犯?

咲:そうだよ。あたしをひもで縛ったりしたんだよ。

五海:へえ、楽しそう。

美幸:五海さん、なに変な事考えてるんですか。

男B:………。

男A:なんか声まで聞こえてくるんだけど。

男Bはさくらに歩み寄った。

男B:……ここには何も無いはずなんだ。

そしてさくらの胸に手を当てた。

さくら:きゃっ!

男B:……何も無い。

さくら:そんなー!

五海:何もないってのはひどいよね。さくらちゃんだって、ちょっとは胸あるもんね。

さくら:そうですよ、もー!咲、こんな人たち相手にしてないで、さっさと帰るよ!

咲:もうちょっと楽しみたかったんだけどなー。でもま、これくらいやれば十分か。

美幸:二人とも相当錯乱してるみたいだけど、やりすぎじゃない?

澪:じゃ、帰るよ。おじゃましましたー。

咲:またいつか誘拐してねー。

澪たちは寮にテレポートした。残された男二人はその場に立ったまま呆然としていた。

男B:……俺も相当やばいかもしれん。俺にもさっきまで女たちが見えた。

男A:あのガキも一緒に消えちゃったぞ。

男B:どうなってんだ…。どこまでが現実でどこからが幻覚なのかさっぱりわからん…。

 

次の日。 夜にみんなでニュースを見ていると、ちょっと変わったニュースが流れた。

キャスター:本日、「悪い人」を名乗る「いい人」が自首しました。

わたる:なんだそりゃ?普通逆だろ。

キャスター:本日昼過ぎ、警察署に二人組が現れ、「幼女を誘拐して、指名手配されている。そのことで精神的に不安定になり、耐えられなくなったので自首したい。」と語りました。

澪:これって、もしかして昨日の人?

キャスター:警察が調べたところ、この二人組が指名手配されているという情報が警視庁のホームページに載っていたものの、これは外部からの不正アクセスによるいたずらである事が判明しました。そのことについて事情を聞くと、一人は「誘拐したピンク頭の幼女がやった。その幼女に銀行のパスワードも盗まれた。」と語り、もう一人は「それはこいつの幻覚だ。全部こいつが自分でやった事だ。」と語ったということです。

五海:「銀行のパスワード」って、咲ちゃん、何やったのよ。

咲:ちょっとしたお仕置きだよ。

キャスター:その銀行の口座からは、戦争孤児を支援する慈善団体に三百万円の寄付がされていました。この話が本当なら二人は悪い人、嘘であればいい人という、きわめて珍しい形の事件となりました。

さくら:他人のお金を勝手に寄付しちゃだめー!

咲:くししっ。

キャスター:なお、この二人は、しきりに「俺は変態じゃないからな。」と訴えていた、ということです。

「咲誘拐編」終わり


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