Finalダンジョンの99階を越えてもダンジョンは続く。
そこにダンジョンがある以上、どこまでも潜ってみたくなるのが冒険者の本能、かもしれない。
逃げモードなしで99階に達するくらいなら戦力的な不安は無いはず。100階からは物真似師も出るが、それも普通に倒せるようになるのは時間の問題。したがって、必要アイテムも今までとは異なってくる。Finalダンジョンでは他のダンジョンと違って魔石出現階以降でもいままで通りアイテムが出る。何せ長い旅になる。アイテム入手のチャンスはいくらでもあるので、じっくり最善の装備を整えよう。
100階以降の脅威はダンジョンの主。HPは1000を越え、しかも再登場するたびに強くなっていく。それなのにこちらはレベル200になれば、あとは力の薬や武器屋の巻物などでしか強くなれない。したがって、ダンジョンの主に対抗する強さを身につけるのが地の底への旅の急所となる。
長い旅になるので、事故の可能性はゼロにしなければならない。万が一にでも起こる可能性があれば、その事故はいつか必ず起こる。どんなささいな可能性でも消すようにこころがける。
とりあえず99階に辿り着いたあたりではまだ無敵というほどではないだろうし、レベルアップで強くなる余地もあるので、もう少しはダンジョンの主からは逃げ回りつつ普通に進む。物真似師といい勝負ができるようになったら、徐々に地の底へ潜るためのアイテムを整えていく。
ダンジョンの主以外は戦力的な不安が無くなるので、武器・防具の合成材の価値がこれまでとは変わってくる。
武器の合成で必要なのは、何が何でも三段斬りの剣。呪縛三段はダンジョンの主を確実に倒せる数少ない手段。三段斬りの剣は、すでに合成されていても合成失敗に備えた予備を持ち歩いて良いくらい。
魔剣雫斬りは、これまでほどの重要度はないものの、それでも必須。暗黒魔道師や恐・自爆霊から離れて攻撃できるのが大きい。三段斬りの剣と魔剣雫斬りは、これまではどちらかがあればとりあえずは良かったが、これからは両方必須となる。
他に有力なのは、隣接しても2回攻撃が出せる紫電の刃、連続して何回も殴れることがある風立の剣、どんなにダンジョンの主のHPが高くてもたまに一撃で倒す辻斬り一刀。気合の剣、賢者の剣も入っていればそれに越したことは無いが、合成の成功率を考えるとせいぜい4つか5つまでだろう。最低限必要なのは三段斬りの剣と魔剣雫斬りだけなので、この2種がうまく入ったらあとは無理をしない方が良いと思う。
奇跡の剣はHP回復量が少なすぎるので使えない。秘剣礫弾きはもはや不要。徒党崩しは呪縛三段ができなくなるので合成しない方が良い。
防具の合成は、一番役に立つのが奇跡の鎧と魔法の鎧。長丁場なので確実に効いてくる。
次に有力なのが、ダンジョンの主との殴り合いに強い幻影の鎧。鏡の鎧も結構な足しになる。
風の羽衣は食料危機が怖いのでできれば入れておきたいが、最大満腹度が高くなれば大して必要では無くなってくる。
ふんどしは今までよりは価値が上がるが、それでも必要ない。弁慶の鎧はまったく必要無い。
武器でも防具でも重要なのが、合成失敗で性能を切り崩してはいけないということ。
ダンジョンの主に対抗するには、最終的には+50は必要になる(それでも単純な殴り合いで勝てるわけではない。殴り合いで勝つには+99でも足りないくらい)。合成失敗で性能を減らしていては、いつまでたっても性能が蓄積されない。
あまり微細な合成にこだわらず、武器は魔剣雫斬り、三段斬りの剣、防具は有効なのが2つ3つ合成できたらできるだけ早く合成打ち止めにする。それ以上の合成は、十分な戦力が得られ、もういくらでも潜っていけるという状態になったときに、分裂の巻物で合成失敗に備えた予備を作ってからにする。きちんと性能を積み重ねていけばダンジョンの主に負けない戦力は得られる。地の底への旅で死ぬ要因は、合成失敗でダンジョンの主に対抗する力を失うことである。
武器でもう一つ。賢者の剣は非常に役に立つ。これで毎フロア明かりを灯して快適な探索を楽しもう。
* ただし、できるだけ早く最大満腹度999を目指すつもりなら、賢者の剣と風の羽衣は合成した方が良い。
腕輪もこれまでとは必要な物が大きく異なる。
一番役に立つのは錆びよけの腕輪+2。武器屋の巻物、防具屋の巻物の効果が倍になる。レベルアップによる戦力アップが無くなった状況ではこの効果はとてつもなく大きい。腕輪屋の巻物、腕輪強化の巻物はすべて錆びよけの腕輪に注ぎ込み、何としても+2を作れ。
常時装備する腕輪で一番役に立つのは心眼の腕輪+2。ほとんどの敵を一撃で倒せる状況ではミスしないのは最高の能力。暗黒魔道師隣接→攻撃→ミス→腕輪劣化ということも無い。
今まで大活躍だった太陽の腕輪は今までより価値が落ちる。賢者の剣があれば毎フロア明かりが灯せるからだ。地の底への旅は長丁場だ。暗黒魔道師相手にいちいち腕輪をはずすのは面倒だし、どんなに注意しても腕輪劣化はいずれ食らう。太陽の腕輪+2のアイテム発見能力が役に立つのはまだ先の話。当分は、アイテムよりダンジョンの主を倒すのが主な目的となるだろう。
ただし逆に言えば、賢者の剣で明かりを灯せる状況にないなら、太陽の腕輪は絶対に手放せないし、腕輪劣化は絶対に食らってはいけない。それこそ腕輪劣化を食らったときのために、太陽の腕輪の予備を持ち歩いても良いくらい。
他には、罠抜けの腕輪+1以上、眠りよけの腕輪+1以上、金庫の腕輪は、万が一の事故も消してくれる点で役に立つが、いずれも暗黒魔道師の腕輪劣化を気にしなければいけないのが難点。腕輪は装備なしが普通、あればもうけ物くらいに考え、腕輪劣化を気にしない方がプレイの負荷が軽くなって良いと思う。騎士の腕輪があればそれでも良いが、くれぐれもおねだり君を殴らないように。かなり強くなってきたらモンスターの腕輪-2を装備する手はあるのかもしれないが、筆者が実際に使ってみたところ、効果は大して感じなかった。
あとは万が一の事態に備えて復活の腕輪を持っておけば万全。これ以外の腕輪はまったく使い所が無い。
飛び道具はレーザー銃だけあれば十分。レーザー銃だけは究極破壊ロボをモンスターハウスの外から攻撃するのに使うので持っておきたい。無いとモンスターハウスのたびに子守り歌の巻物か透明薬を消費する事になる。使用頻度は低いので、操作ミスや電卓の騎士に減らされるのを防ぐため、装備しないでおいても良い。
レーザー銃を撃つときは復活の腕輪を装備しておきたい。「おねだり君の呪いでHP1→カタパルトの石」がある。おねだり君の呪いには腕輪劣化もあるが、死ぬよりはまし。
切り札アイテムは今までとほとんど同じ。どんな事態に対応できるように各種大量に揃える。
子守り歌の巻物(困った時の巻物)は絶やさないこと。透明薬と階段の巻物も持っておきたい。できれば複数。大部屋モンスターハウスが連続ということもあるのだから。ワープ草は無くても良い。
杖は、有効状況が多く、呪縛三段にも使う呪縛の杖が一番重要。次いでHPが減った時の切り札でダンジョンの主との殴り合いでも足しになる吸い取りの杖。この2種は切らさないようにしたい。
混乱の杖はダンジョンの主との殴り合いで役に立つ。他の杖はもはやアイテム欄1つを使う価値がない。おねだり君対策として封印の杖か変身の杖を持っておく手はあるが、賢者の剣で明かりを灯せるなら無くても良い(おねだり君に行き止まりに追いつめられることがあり得ないから)。
満腹度にもやる気にも余裕が出てきたら、ラーメン類を使って最大満腹度を上げる。
満腹度最大でラーメン類を食べると最大満腹度が上昇する。連続してラーメン類を食べれば簡単に最大満腹度を上げることができる。上昇量は微々たるものだが、塵も積もれば山となる、長い目で見れば大きな成果になる。
ラーメン類の状態は何で食べても最大満腹度は上がるので、=乾のまま食べても良い。
草を食べると4、薬を飲むと1、お湯を飲むと10満腹度が回復する。これを利用して一気に最大満腹度を上げると効率が良い。例えば「満腹度最大→ラーメン→草→大盛りラーメン」と食べれば最大満腹度が一気に8上がる。
こうやって最大満腹度を上げておけば食料危機の未然防止になるし賢者の剣の特殊技も使いやすくなる。最大満腹度が300くらいあれば食料危機の心配はほぼなくなる。目指すは満腹度999。
満腹度最大でラーメン類を食べるとやる気が減る。調子に乗ってラーメン類を食べまくってやる気を削ってしまうと、ダンジョンの主との殴り合いが思いのほか厳しくなっていたりするので注意。あまり極端な事はせず、自然にできる範囲から試してみよう。
ダンジョンの主は強い。初期状態でも10回くらい殴らないと倒せないだろうし、再登場するたびに強くなる。きちんと対策を立てないとまず倒せない。
普通に戦闘に役に立つアイテムはほぼ使えるが、ダンジョンの主に対して特に使えるアイテムは以下の通り。
ダンジョンの主は倒すのが目的だが、ある程度強くなるまでは生き残りへの脅威、避けるべき障害である。倒せなくてもいいから、避けることができるアイテムは以下の通り。これらは避けるのが目的のアイテムだから、使わずに避けられれるならその方が良い。明かりで眠っているのを発見したらその部屋には入らない、まだ距離があれば丁字路で撒くなど。
ダンジョンの主を引き連れたまま部屋の中を歩くのは禁止。もし睡眠ガスの罠があったら取り返しがつかない。
ダンジョンの主はHP0になると逃げ出してしまう。どうやったら倒せるかは、識別の巻物でも投げてみると良く分かるかも知れない。
地の底への旅の楽しみの一つに、最強装備を作るというのがあると思う。Thirdダンジョンでも倉庫を利用して最強装備を作ることはできるが、作った武器・防具を試す相手がいない。Finalダンジョンならダンジョンの主が最終的には+99でも簡単には太刀打ちできないほどの強さになるので、最強装備の作り甲斐がある。
最強装備というからには、ベースの強さ、性能、合成内容すべてが完璧でなければならない。
まず、ベースの武器・防具。もちろん攻撃力・防御力が高いものの方が良い。よって○○神剣、○○の鎧で決まり。武器は賢者の剣をベースにしたものの方が実用的かもしれないが、ここでは最強装備を目指しているので。
次に性能。当然+99でなければならない。錆びよけの腕輪+2を用意して、武器屋の巻物、防具屋の巻物でコツコツ積み重ねよう。
そして一番難しいのが合成内容。
まず、合成は失敗することがあるというのが大問題だ。合成の腕輪が入手できれば良いのだが、普通は入手できないので無いことを前提として話を進める。
合成の成功率は、筆者の印象では、3つ目までは大体成功する。5つ目までもまずまず成功する。そこから失敗する可能性がかなり高くなり、7つ目はかなり失敗する、9つ目はほぼ失敗する、という感じである。ここでは最強装備を目指しているのだから、7つ目くらいまでは成功させたいと思う。
メイン武器・防具に直接合成失敗して性能を激減させてしまうと生き残ることが難しくなってしまう。性能を蓄積した後の合成は、分裂の巻物で予備を作ってから行うのが基本。
しかし、分裂の巻物は貴重品なので、そればかりに頼っていると合成が遅々として進まない。合成に失敗しても良い状況を作って合成することも必要だ。
例えば、伝説の鎧(本物)を入手したのでそれをベースに合成し直そうとした場合、合成に成功しようが失敗しようが合成後の防具の方が価値が高い。こういう場合は予備を作る必要は無い。実際に性能が激減したらショックは残るだろうが、再び性能を積み重ねることができるのも地の底への旅の楽しみの一つ。
また、ダンジョンの主以外に対してなら+99でなくても十分対抗できる。ダンジョンの主を倒した直後ならダンジョンの主は弱いので、このタイミングで合成失敗しても致命的にはならない。
それと、合成する、しないに関わらず、武器・防具の予備は作っておくこと。無いと合成変人の強制合成に泣くことになる。
最強装備の合成内容を何にするかも悩むところだ。特殊能力の中にはマイナス効果だったり、一見プラス効果に見えても入れてしまうとかえって厄介だったりするものもある。一度合成するとその特殊能力をはずすのは非常に困難だ。
そこで、各特殊能力が役に立つかどうかを一覧表にしてみた。最強装備を目指すくらいだから、もう+99くらいの性能はあることを前提としている。
武器名 | 特殊能力 | 有効度 |
---|---|---|
三段斬りの剣 | 「前方3方向に攻撃」 | ◎ |
名剣燕返し | 「後ろ方向に攻撃」 | × |
魔剣雫斬り | 「1マス先に攻撃」 | ◎ |
紫電の刃 | 「時々2回攻撃」 | ◎ |
伝説の剣(本物) 気合の剣 | 「会心の一撃が非常に出やすい」 「会心の一撃が出やすい」 | ◎ ○ |
奇跡の剣 血吸い太刀 | 「攻撃時にHPを回復」 「攻撃時にHPを消費」 | △ × |
賢者の剣 | 「やる気が下がりにくい」 | ○ |
伝説の剣(本物) 悪魔の剣 | 「ミスしない」 「ミスしやすい」 | ◎ × |
秘剣礫弾き | 「時々飛び道具を無効」 | △ |
辻斬り一刀 | 「時々敵を一撃で倒す」 | ◎ |
風立の剣 | 「時々敵を吹き飛ばす」 | ◎ |
窮鼠の牙 | 「瀕死時に攻撃力が上昇」 | △ |
徒党崩し | 「攻撃した敵に隣接した敵にも攻撃」 | × |
つるはし | 「壁を掘れるが、壊れる」 | × |
超重量の剣 | 「お腹が減りやすい」 | × |
* 伝説の剣(本物)の「会心の一撃が非常に出やすい」は、気合の剣の「会心の一撃が出やすい」を吸収する。
* 奇跡の剣の「攻撃時にHPを回復」と血吸い太刀の「攻撃時にHPを消費」は相殺する。
* 伝説の剣(本物)の「ミスしない」と悪魔の剣の「ミスしやすい」は相殺する。
防具名 | 特殊能力 | 有効度 |
---|---|---|
風の羽衣 超重量の鎧 | 「お腹が減りにくい」 「お腹が減りやすい」 | ○ × |
幻影の鎧 | 「攻撃を回避しやすい」 | ◎ |
鏡の鎧 | 「攻撃を反射する」 | △ |
魔法の鎧 | 「時々魔法を無効化する」 | ○ |
反動装甲 | 「時々反撃する」 | ◎ |
弁慶の鎧 | 「飛び道具のダメージを抑える」 | △ |
悪魔の鎧 | 「歩くと体力が減る」 | × |
奇跡の鎧 | 「罠を回避しやすい」 | ◎ |
ふんどし | 「ふんどしの効果」 | ○ |
まわし | 「まわしの効果」 | △ |
伝説の鎧(本物) | 「ほぼ全てのダメージを半減」 | ◎ |
背水の鎧 | 「壊れる」 | × |
* 風の羽衣の「お腹が減りにくい」と超重量の鎧の「お腹が減りやすい」は相殺する。
基本的に×をつけたものは合成してはいけない。特に、名剣燕返し、徒党崩しに注意。
その2種に×をつけた理由は、うっかりおねだり君を倒してしまう危険があるというもの(魔剣雫切りと三段斬りの剣はもう扱いに慣れているだろうからうっかり倒す危険は無いとみなす)。おねだり君の呪いでHP1→カタパルトの石はどこまで行っても脅威なので対策は万全にしたい。
あと、鏡の鎧や反動装甲を入れるとわざと攻撃を食らいたいとき(-2の腕輪の効果をチェックしよう、とか)やりにくいという問題はあるが、別に気にすることは無いだろう。いざとなれば防具を外してしまう手もあるし。守200あれば防具無しでもいきなりピンチになることは無い。
◎や○のついている武器・防具をすべて合成できれば、不可思議や最強状態のダンジョンの主に対しても正面から殴り合って勝てるほどになる。
究極の目標は、ベース最強、性能最高、×も含めたすべての特殊能力の合成、すなわち、武器は○○神剣+99*15、防具は○○の鎧+99*12となるだろう。合成の腕輪なしで達成したら奇跡だ。
* 筆者未体験
クリアした時に記録されるスコアファイルの中に「取得アイテム種類」という項目があり、これは取得率もパーセンテージで表示される。パーセンテージが表示されるからには、100%を目指してみたいものだ。しかし、アイテムの中には魔石類があるので、取得率100%を達成するのは一見不可能に思える。
ところが、魔石は魔石類で1種類のアイテムとみなされている。光の魔石を取れば、それで魔石は取得率100%になる。だからうまくやれば、アイテム取得率100%も達成可能である。
ここでにわかに注目を浴びるのが、Finalダンジョンの出口にある倉庫。さすがに一回のプレイですべての貴重品を集めるのは厳しいし、条件を揃えないと出ないアイテムもある。そこで、貴重品を入手したらそこでいったんFinalダンジョンをクリアして、出口に貴重品を置いておくのである。
首尾良く貴重品を倉庫に集めることができたら、あとは倉庫に置いたアイテム以外すべてのアイテムが出るまで潜るだけ。出口で倉庫のアイテムをすべて踏めば取得率100%達成となる。
最後に、地の底への旅の終わり方について考えてみたいと思う。と言うのは、地の底へ旅というのは、しばしば悲劇的な結末を迎えるからだ。地の底への旅を続けた場合にどういうことが起こるのか考えておくことは、決して無駄ではないと思う。
地の底への旅は、前提として99階に到達できる強さと技量があるのだから、その先もうまく行く可能性は高い。100階を越えてすぐは厳しいが、そこさえ切り抜けてしまえばあとは楽勝になる。たとえ大部屋モンスターハウスが出ても、子守り歌の巻物→階段の巻物とか、透明薬→階段へ一直線とか、子守り歌の巻物連発とか、100%助かる手段はいくらでもある。ここまできてそのアイテムの蓄積ができていないはずがない。
しかし、地の底への旅は長い。そして終わりが見えない。終わりが見えないのはつらい。だから、つい変化を求めてしまう瞬間がある。
例えば、危険な行動。危険と言っても、露骨に危ないことをするわけではない。100回やったら99回は成功するような、普通のFinalダンジョンクリアを目指したプレイならむしろ安全策に分類されるような、ごく小さな冒険である。しかし、この程度なら大丈夫、この程度なら、と繰り返せば……。悲劇は待っている。
例えば、合成。前述したが、早めに合成は打ち止めにし、武器屋の巻物、防具の巻物で性能を積み重ねていけば、ダンジョンの主に対抗する強さは得られる。しかし、ほとんどの敵を一撃で倒せるようになり、探索に単調さを感じ始めたところで、まだ合成していない武器が出たら……。5つ目くらいの合成なら、まだ5割程度は成功するのである。
そういう結末を迎えたくないものだと思うかも知れない。しかしその結末は、実はプレイヤー自身が望んだものではないか? 悲劇で地の底への旅が終わるのも、また一つの終わり方であると思う。
地の底への旅が終わり方には、どんなものが考えられるか? うっかりミスで死んでしまう、一応満足してクリアする、この2通りだろうか?
実は、もう一つ終わり方がある。それは、セーブデータが消えてしまうことである。
一般的な話になるが、パソコンのデータはいつか必ず壊れる。ファイルの取り扱いを間違えたり、相性の悪いソフトをインストールして調子が悪くなることもある。コンピュータ・ウイルスに感染するかも知れない。近所に雷が落ちるかも知れないし、地震で倒れて物理的に壊れるかも知れない。それらの危機を乗り越えたとしても、最終的にはハードの寿命を迎える。だから、重要なデータはバックアップを取っておくべきである。
しかし、『不可思議なダンジョン2』のデータはゲームの性質上バックアップを取ることはできないようになっている。したがって、地の底への旅を続けるなら、必然的にいつかセーブデータが消えるという結末を迎えることになる。これは避けることのできない運命である。
筆者自身も、この文を書いている現在、地の底ウン千階、もう何をやっても絶対死なないと思えるデータを持っているが、データ消滅の恐怖には日夜怯えている、と言うのは大げさとしても、『不可思議2』を立ち上げるたびに、「エラーメッセージが出ないか」と緊張するのは確かである。
これを読んで、「筆者は地の底への旅をすることを推奨していないのではないか」と思われたかもしれない。実は、その通りである。こんな宿命的に悲劇を迎える旅はとてもおすすめできない。コンピュータ・ゲームが好きで、何か面白いゲームはないかと探している人がいたとする。そういう人がいたら、『不可思議なダンジョン2』をプレイすることはぜひおすすめしたい。しかし、その人がこのゲームを始めて、苦難の末にようやくFinalダンジョンをクリアした。「おめでとう! 次は地の底への旅だね」。これはとても言えない。
しかし、その人が、その人自身の欲求として、地の底への旅をしてみたいと思ったなら、それはきっと素晴らしい旅になるであろうことも断言できる。ただ、その結果何が起こってもそれを受け入れる覚悟はしておいて欲しいのである。
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