夢空間〜あまつかぜ・いにしえの100の夢たち「百人一首の優雅な世界」〜第16回
それでは、第16回の歌を見ていきましょう。
「契りおきし させもが露を 命にて あは(わ)れ今年の 秋もいぬめり」
藤原基俊(ふじわらのもととし)
注意)当時使用した、国語の古典資料を参考に、表記しております。
約束しておりましたように、恵みの言葉を頂き、それを命のように思って待っていました。
しかし今年も維摩会(ゆいまえ)の講師にはなれませんでした。
今年の秋も、寂しく過ぎていきます。
「させも」とは、よもぎの古称です。「させもが露」となると恵深い言葉という意味になります。
維摩会(ゆいまえ)とは、今の奈良県にある興福寺で行われる法会。
「わたの原 こぎいでて見れば 久方の 雲ゐ(い)にまがふ 沖つ白波」
法性寺入道前関白太政大臣(ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだいじょうだいじん)
注意)当時使用した、国語の古典資料を参考に、表記しております。
広い海原に船を漕いで出てみれば、雲かと見まがうばかりの白波が沖合いに流れているよ。
この二首は、因縁の2首です。
最初の歌は、作者の僧領である息子が維摩会の講師になれるように、父親である作者が
ある人物に「なんとか息子が維摩会の講師になれるように、口添えしてくれないか」と
頼みました。「判った。なんとか話してみるわ。まあ、待っとって。」その人物は言いました。
そのある人物こそ、後の歌の作者「法性寺・・・」なんたらかんたらという
作者です。このオッサンは、講師の選抜会に対して、かなりの圧力をかけることができたのでしょう。
講師になれるようお願いしたにもかかわらず、講師として選ばれなかった。
「なんで、どうしてよ」と悲哀な気持ちを歌いました。
それなのに法性寺入道前関白太政大臣は、いい気なもんで船に乗って
海で遊んでいたというんです!
昔も、裏口入学?があったんですよね。
まあ、それはそれ。
こういう因縁の作者の歌が選ばれているとは、百人一首も
結構味のある面白い歌集と思います。
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