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詳説!!
FEカルトな話


第1回アカネイア大陸と住人
第2回アカネイア王国の滅亡
第3回アリティアの将来を決めた男
第4回不運の王国グルニア
第5回マケドニア王国の屈辱
第6回草原の狼とうたわれた男
第7回無能な王ゆえに
第8回タリスと自由都市

 
 これは94年の3月~6月頃にファミコン通信(現Weeklyファミ通)内の
「ファイアーエムブレム回覧板」というコーナーにて
8回掲載された、FE生みの親、加賀昭三氏の寄稿文です。
 加賀氏の頭の中にのみ存在していた「紋章」の世界観が、
これを読んでほんの少しは理解できるのではないかと思い、
あえて転載させていただきました。
ただし無断転載ですので、ヤバくなったら削除します。

© 加賀昭三
©(株)エンターブレイン
© Weeklyファミ通


第1回アカネイア大陸と住人

 第1回は世界観について。アカネイア大陸のモデルは、古代ローマ・ガリア。大陸の総人口は100万人程度。そのうちの3分の1をアカネイア王国が抱えています。この当時、戦争は選ばれたプロフェッショナルの仕事でした。訓練を受けた戦士にはたとえ100人の蛮族がかかっても勝ち目はなかったのです。そのなかでも騎士は特別で、原則として貴族階級だけがその地位につくことができました。いわば世襲制だったわけです。彼らは支配者としての特権を甘受するかわりに、国を守る義務があったのです。通常は直接支配する兵を数十人から数百人の規模で持っています。ゲーム中には現れませんが、カインやアベルとてアリティア領主の家柄。ですから本来は何人かの部下を持っているはず。
 また司祭や魔道士の身分も多くの場合、親から子へ受け継がれていきます。まれに高貴な家柄の子弟がカダインやパレスでの学問を受けて、その資格を得ることがありますが、よほどの素質がなければ大成することは難しいようです。
 それにひきかえ傭兵たちは哀れなものです。彼らの多くは、生きていくための手段として戦いに身を投じます。彼らが頼りにできるのは自分の腕のみ。生き延びることができる可能性は1割にも満たないと言われています。それでも彼らは金と名声を得るために自ら前線に赴いていくのです。ゲームの舞台はそんな世界なのです。


第2回アカネイア王国の滅亡

 大陸南東部の中原地帯を支配するアカネイア王国は、もっとも歴史の長い豊かな国です。第1次ドルーア戦争で、ドルーア帝国の前に敗れ一度は滅亡しますが、唯一の生き残りアルテミス王女と名門貴族のカルタスによって再建。マルスが生まれたころアカネイアは、ほかの6王国の宗主国、また多くの自由都市や開拓都市の守護者として強力な力を持っていました。
 パレスを支配する王家のほかに、広大な自治領を持つ5つの有力貴族があります。ディール候シャロン(ミディア)、メニディ候ノア(ジョルジュ)、アドリア候ラング、レフカンディ候カルタス、サムスーフ候ベントがそれにあたります。これら有力貴族は王家に従属しながらも独立した兵を持ち、ほかの王国に匹敵するほどの勢力を誇っていました。しかし暗黒戦争の初期においてラングとベントは王家を裏切ってしまいます。また、最有力のカルタスはお家騒動の混乱から兵を動かせず、やむなくシャロンとノアだけが王国を守って戦うことになります。結果ジョルジュとミディアは父を失い、裏切り者たちの手によって捕らえられることになったのです。パレス魔道宮(魔道の学院)の最高司祭ミロアは魔道士たちを率いて、王都パレスを守ろうとします。しかし、カダイン魔道軍の前に敗退し、ガーネフとの対決で娘のリンダをかばってミロアは倒れてしまいます。
 滅亡後のアカネイアは悲惨なもので、王家に連なる者はニーナ王女を除きすべて処刑。カミュが市政官として赴任するまで血みどろの粛正が繰り広げられたのです。


第3回アリティアの将来を決めた男

 アリティア王国は、もともと大陸中央の湿原地帯にあった開拓都市でした。そんな都市が第1次ドルーア戦争の後に、アカネイアの援助を受けて独立して誕生した国家なのです。
 救国の英雄アンリの血を引く王家は、国民から絶大な支持と尊敬を得ていました。また、小国ながらその騎士団の強さには定評があったのです。北方の蛮族の攻撃から民を守り続けられるのも、精鋭をもってなる宮廷騎士団の力によるものなのです。
 アリティアはその歴史から考えて、どちらかというと不幸な国と言えます。不幸の始まりは建国王アンリが生涯妻を迎えず、子をもうけなかったことからでしょう。彼の死後に国が割れて、結果としてグラの独立を許してしまったのも、アンリの子孫がいなかったためなのです。
 アリティア王家は、本来ならアンリの系統が続くはずですが、それもかなわないためアンリ王の弟コーネリアの系統に移ります。コーネリアからマリウス、コーネリアス、マルスと代を重ねていきます。そして、アンリが残した言葉「アリティアは聖王国(アカネイア)の盾となれ」を国是とするがゆえに、やがて戦乱の渦中に巻き込まれていきます。
 思えばアンリのアルテミスへの思慕が、アリティアのその後の運命を狂わせたのかもしれません。


第4回不運の王国グルニア

 アリティアと同様に、グルニアもまた不幸な国ということができるでしょう。第1次ドルーア帝国の崩壊後、その広大な領土に二つの国が誕生しました。そのひとつがグルニア王国なのです。
 初代国王はアカネイア自由騎士団に属していた老将軍、オードウィンでした。オードウィンは騎士団長であったカルタス候を助けて多くの戦いに勝利し祖国解放に貢献したのですが、彼の名声があまりにも高まることを恐れたカルタスによって辺境のグルニアへ追いやられてしまったのです。しかしながら、将軍を慕う多くの人々が彼のあとを追ってグルニアに集まってきました。そして、新国家の建設を成し遂げるのです。
 グルニア国民の気質は剛直にして単純。生き残ったマムクートに対しても優しく接して共存をはかったと言われています。そして、侵入する蛮族や盗賊と戦いながらやせた土地を耕す過酷な日々のなかで、大陸随一の勇猛果敢な騎士団を育て上げるのです。
 しかし、時の王ルイは、祖先に似ずあまりに気弱でした。復活したメディウスに恐れをなして、ドルーア帝国の再興に協力してしまうのです。その結果、幼い子供たちをガーネフに連れ去られてしまいます。ガーネフの操り人形になってしまったルイは、やがて精神に変調をきたし、悲惨な末路を迎えることとなるのです。
 それとも知らずに国民は打倒アカネイアを叫び、自ら兵士となって前線へ赴きます。それは長きにわたりアカネイアによって虐げられてきた、この国の人々のこころからの叫びだったのかもしれません。


第5回マケドニア王国の屈辱

 マケドニア王国はグルニアとは違い、アカネイア王家の全面的な支援を受けてきました。が、それには複雑な事情があります。
 マケドニアは旧ドルーア帝国の奴隷であったアイオテが興した国です。彼は奴隷たちを率いて反乱を起こし、帝国と7年も戦いました。困難な戦いのなかで、目を潰され腕を失い歩くことさえできなくなったアイオテですが、それでも戦い続けたと言われています。
 ドルーア帝国滅亡後、解放された奴隷たちはマケドニア王国を建国し、国王としてアイオテを選出します。アカネイア王カルタスは、アイオテの勇気を讃えて多大な援助を行いました。しかし、その裏にはマケドニアの建国によってグルニアの勢力拡大を阻止せんとする計画があったのです。パレスの人々にとってマケドニアなど奴隷や流人の集まった辺境の国でしかなく、番犬に餌を与えるようなものだったのでしょう。しかしマケドニアの民はその屈辱にも堪え、過酷な自然のなかで田畑を切り開き確実に国力を蓄えてゆくのです。
 ミネルバが生まれたころのマケドニアは、すでに強力な竜騎士団と豊かな国土を持つ大国へと発展しつつありました。それなのに、アカネイア王国のマケドニアに対する姿勢は以前となんら変わりありません。低俗な下級役人が内政に干渉し、ときには武器をチラつかせて賄賂を要求したりします。そのたびにマケドニア王オズモンドは床にひれ伏して情けを請うのです。その哀れな父を見ながらミシェイル王子は成長しました。彼の心にアカネイアに対する恨みが蓄積していったのも当然なのです。


第6回草原の狼とうたわれた男

 第1部6章の舞台にもなったレフカンディの谷。そこからさらに北に位置するところには、オレルアンと呼ばれる緑豊かな草原地帯が広がります。かつて、この地方はいくつもの騎馬部族どうしが相争う辺境の地でした。他国からの侵入者が現れるまでは・・・。
 アカネイア王国を統一することに成功した時の王カルタスは、このオレルアンの地にも、一軍を差し向けて平定を行います。そして、自分の一族の者を国王に任命して、新たに国を興すことに成功したのです。
 新たに国が誕生したものの、オレルアンは近年に至るまで抗争のなかにありました。征服者として現われたアカネイア貴族と、先住民でありながら奴隷身分に落とされてしまった騎馬部族とのあいだで、激しい戦いが続いてきたのです。それがようやく落ち着いたのは、オレルアンの王家にひとりの英雄が現われたからなのです。
 彼は病弱であった兄王を助けて国制の改革を行ないます。騎馬の民を奴隷身分から解放し、また王族の若者たちを自らの騎士団に迎え入れてその者たちに領主としての地位を与えるのです。そして、無能な貴族たちをつぎつぎに追放してしまいます。
 貴族たちはアカネイアのあと押しを得て、再びその地位を得るために反乱を企てるのです。しかしながら、騎馬部族を配下に従えた若き王太子の武力には、アカネイア貴族の及ぶところではありませんでした。各個撃破されて内乱はあえなく終結します。草原の狼と呼ばれたその若者・・・名をハーディンと言います。


第7回無能な王ゆえに

 グラがアリティアを裏切った事実については、ゲームのなかでも語られていることですが、今回はこの事実の経緯について触れていきましょう。また、当時のグラの内情などについても触れてみようと思います。
 グラ王ジオルは、強欲で尊大な領主でした。自らの思うがままに領民から搾取し、そればかりか、美しい娘を見れば手当たりしだいに連れ去ってしまいました。そんな行為をくり返しながらも、彼の野心が果てることはありませんでした。また、グラの隣国であるアリティアのコーネリアス王の声望が高く、ことについてジオルは嫉妬していました。
 そんなおりに、魔道都市カダインの司祭ガーネフが、ジオルのもとを訪れます。
「近々カミュ将軍率いるグルニア軍がアリティアに侵攻する。当然コーネリアスは同盟国であるグラにも出兵を促すだろう。貴公は戦いのなかばでアリティア軍の背後を突け。コーネリアスを倒せばアリティア王国は貴公のものだ」
 カミュは、名将とうたわれたコーネリアスとの名誉ある戦いを望みます。しかし、ガーネフの言葉どおりに、グラ国軍はアリティアを裏切ってしまい、勝敗はあっけなく決します。その行為に怒ったカミュは、軍を引き上げてしまいます。結果としてアリティアは、ガーネフとグラの軍勢の前に滅亡してしまうのです。
 こうしてグラ王国は、ジオルという無能な王を持ったばかりに時代の流れに翻弄することになり、やがて滅亡することになってしまうのです。


第8回タリスと自由都市

 アリティアから落ち延び、マルスがおよそ2年のときを過ごしたタリス。最後はシーダの母国でもあるタリスと、ほかの国々のお話をしましょう。
 この王国の成立はアカネイアにある国々のなかでもっとも新しく、初代の国王はシーダの父親であるモスティン王なのです。もともとこの島国にはいくつかの部族が割拠して抗争を続けていました。若くして小部族の長を継いだモスティンはタリス島の統一をめざします。そして、ついには平和な王国の建設を成し遂げます。
 しかし、パレスなど中原の人々にとっては、タリスが辺境の蛮土であることには違いなく、そんな王国があることすら知らない人がほとんどです。それゆえに、マルス王子を始めとするアリティアの残党が、2年ものあいだドルーア帝国の監視の目からのがれ続けることができたとも言えます。いずれにしても他国にとっては侵略するほどの価値もない、貧しく遅れた国であることだけは間違いないようです。
 ほかにもいくつかの自由都市や地域があるので、簡単に説明します。マリクが修行をしたカダインは、大賢者ガトーが興したと伝えられる砂漠の魔道都市。ラーマンは守護神ナーガを祭る古代の神殿。2部のアンリの道で舞台になったテーベは、死の砂漠マーモトードにあるという古の幻の街。ワーレンは異世界からの貿易船が入る自由(自治)港湾都市。リンダが奴隷として捕らえられていたノルダは、パレス王宮の城下町。ガルダは辺境の開拓都市。ペラティはアカネイアの流刑地・・・などです。

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