早春の白神その1 早春の白神その2 山釣りの世界TOP


LUMIX DMC-FZ20、ピンソール・ミニ、残雪の山、アザミ、バッケ、ヤマワサビ
イワウチワ、エゾエンゴサク、カモシカ、ダニ、根回り穴、早春のイワナ、焚き火・・・
 2005年4月下旬、2泊3日の日程で白神の谷へ。山釣りのスタートは、会結成以来20年間通い続けた定番の谷だ。だから地図などなくとも、杣道や滝、イワナが潜むポイント、山菜・山野草の群生地など全て脳裏にインプットされている。けれどもこれまで経験したこともないほど、山の春は遅かった。今回は、全てパナソニックのデジカメLUMIX DMC-FZ20で撮影・・・上の写真を見ればお分かりのとおり、満足、満足の一語だった。
 Panasonic LUMIX DMC-FZ20・・・500万画素、光学12倍ズーム(36mm〜432mm、全域F2.8)ライカDCレンズ、光学手ぶれ補正ジャイロ、重量約550g。電源・・・リチームイオンバッテリーパック、予備を含めて2個。記録メディア・・・SDメモリーカード512MB 2個。

 画質モードはファイン、記録画素数は1600×1200画素、手ぶれ補正モード1、液晶ではなくファインダー撮影で実写テストを行った。なお、水のスローシャッター撮影及び夜の焚き火の撮影は三脚を使用した。
 ピンソールの開発者・竹濱さんから、改良に改良を重ねてきたピンソールミニが送られてきた。ピンソールの簡易版は、私が一年前に提案したもの。それだけに、実地テストを楽しみにしていた。果たしてハードな山釣りに耐えうるのか・・・連休の前半と後半の二回、計6日間にわたってテストを繰り返してみた。結果は◎。ピンソールミニ渓流の試用レポートは、改めて編集アップしたいと思う。
 渓流オフシーズンの半年間、下界の便利さにどっぷり浸かっていた。3月は、送別会、4月は歓迎会等々、連日飲み会が続き、体の不調はピークに達していた。今回は、7名の大パーティだから、背中の荷はいつもより軽いはずだった。ところが、いざ急斜面を上り始めると、心臓がパッコン、パッコン・・・と高鳴るばかり。挙句の果ては、足が引きつりそうになった。俺も歳には勝てないな・・・と何度も呟く。
 いつもなら、眩しいほどの新緑が出迎えてくれるはずだった。ところが今年は一転、見渡す限り残雪と鉛色の世界・・・肌木の樹幹から、ときおり野鳥たちの囀りが聞こえてくるものの、何となく声に力がない。例年より春の訪れは、1週間から10日も遅い感じだ。
 残雪の急斜面を何度も休みながら登る。雪解けが最も早い日本海側の谷だが、4月下旬で、これほど雪が多いのは初めてのこと。雪の多い年は、イワナも山菜もキノコも当たり年と言われている。それをひたすら信じて山を登る。
 これじゃ奥の谷に行けば、山菜など期待できない・・・会長はアザミを摘みながら歩く。
 雪解けの斜面に顔を出したバッケ(フキノトウ)。奥に残雪が見える。こんな季節は、野生動物に出会う絶好のチャンス・・・ところが、7名全員が腰に下げているクマ避け鈴がしこたまうるさい。これじゃ、野生動物に出会う確率はゼロに近い。
 ところが・・・遥か遠くの斜面で、草を食むカモシカの姿がチラッと見えた。3〜4倍ズーム程度のカメラなら、決して撮れないほど距離は離れていた。例え望遠レンズを持っていたとしても、谷は意外に暗く、ことごとくブレていたに違いない。さすが、手ぶれ補正付きの12倍ズームデジカメ・・・カモシカがこちらを向いた瞬間を、全くブレずにとらえている。野生動物を撮るには◎のデジカメだ。
 藪に潜んでいたダニ・・・注意はしていたのだが、二度目の山ごもりで、ダニにやられてしまった。山から下りて、風呂に入っている時も気付かなかった。床に入った途端、胸に違和感を感じた。触ると血を吸って大きくなったダニが・・・時既に遅し。大きな円を描くように胸が赤く腫れ上がっていた。
 「山菜畑沢」と命名した斜面でも、ほとんど食える青物は見当たらない。わずかに顔を出したアザミ、フキノトウ、ヤマワサビ、ミズを摘みながら下る。
 アザミ・・・アイコやシドケのシーズンなら食指はのびないが、早春は山菜として貴重。根元をナイフで切り取る。種類は50種以上もあるといわれているが、どのアザミにも毒をもつものはない。若葉は、写真のように羽状に鋭く裂けて刺々しいものが美味い。茎は、ロゼット状のサワアザミが美味い。生食するだけで、利尿、神経痛、胃病、夜尿症、不眠症などに薬効があるという。こんな薬効があることを知ると、ぜひ常食にしたくなってしまうのだが・・・。
 ブナの林床を埋め尽くすイワウチワの群落に出会う。白神の森では、最も早く咲き出す山野草だ。この花が最盛期の頃は、新緑も山菜も「×」のサイン。
 日当たりの良い斜面に顔を出したエゾエンゴサク。毒草の多いケシ科の中では数少ない食用種。早春の森を美しく彩る山野草だけに食べたことはない。山菜図鑑によれば、全草を摘み、おひたし、ゴマ和え、酢の物、油炒め、天ぷら・・・アクがなく美味いとのこと。薬効は、浄血、鎮痛、頭痛、胃潰瘍。
 採取したヤマワサビとミズ。山菜は、当初から期待できないと思っていたので、ザックにはキャベツを密かに忍ばせていた。
 昨年、相次いで襲った台風、そして今冬の豪雪・雪崩で倒された倒木が至る所で見られた。お陰で焚き火用の薪集めは楽チンだった。こうした自然のかく乱は、森を活性化させてくれることも忘れてはならない。右の写真二枚は、早春を象徴する根回り穴。
 薪を集め、テン場をセットした後、今晩のオカズ調達へ。雪代で沸き返る渓は、釣るポイントが少ない。ひたすら深いヨドミを探し、重いオモリを使った点釣りに徹する。もちろんミミズ特有の匂いで誘う餌釣りだ。線で釣るテンカラやルアー、FFなら、ほとんど釣りにならない。だから、釣法のこだわりをあっさり捨てることができるようになれば、山釣りとして一人前のように思うのだが・・・
 雪代に磨かれたイワナたちが次々と竿を絞った。しかし、いかんせん増水した渓は、ポイントが少なすぎる。
 沢を渡渉するにも難渋する。渓に張り出した枝を頼りに激流を渡る。山釣りの常識・・・雪代が収まるまでは、沢通しに歩くものではない。
 身を切るような冷たい流れ・・・奥のヨドミでイワナがヒットした瞬間を撮る。早春の渓流釣りとなれば、胴長スタイルが多いと思うが、ハードな山釣りには向かない。私の場合は、渓流足袋とライトαタイツ、その上にカッパズボンをはき、スパッツで足首を締める。これだけで、どんな雪代でも寒いなんてことはない。
 顔と前ビレがやや薄黒くサビついている。側線より下は、薄い橙色の斑点を持つニッコウイワナ。特に尾ビレの縁を彩る朱線が鮮やかだ。
 時には、頭だけでかく、ガリガリに痩せた幽霊イワナも釣れる。サイズは尺近いが、食べても美味しくないのでリリースするのがベストの選択だ。
 滝壺で釣れた刺身サイズのイワナ。斑点は鮮明で大きく、全身無着色斑点のアメマス系。12倍ズームなら、イワナに近寄ることなく、ズームアップで簡単に撮ることができる。より鮮明に撮るには、マクロモードで撮影するといい結果が出た。
 現地調達した今晩の食材。
 7人ともなれば、焚き火を囲むにも大変だ。風がコロコロ変わるようだと、焚き火の煙が360度回転し、ゆっくり座ってなどいられない。幸い、風は上流から下流へと一定の方向で吹き続けた。空を見上げれば、満天の星空。雪代で沸き返る沢の轟音、焚き火のはぜる音、塩焼きイワナの匂い・・・イワナの刺身、唐揚げ、わずかな山菜のおひたしとキャベツをかじりながら骨酒を飲む。半年振りの源流酒場は、いつになく賑やかだった。
 風の方向、満天の星空は、明日の好天を約束するシグナル。明日は、山を高巻き、一気に源流探検だ。納豆ご飯をたいらげて、早々と寝袋に潜り込む。(いくら手ぶれ補正付きのデジカメでも、夜の焚き火シーンは、三脚がないと満足する一枚は撮影できない。三脚は、やっぱり必須だ。)

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