感染症
Ver.1.04
■ カンジダ症 YnH-49 YnAtlasP.194
【概念】
・Candida albicans(深在性真菌)による
・乳児(産道感染),細胞性免疫低下時(AIDS,ステロイド)に発症
→日和見感染として重要!!
・正常細菌叢として存在するが,敗血症(菌交代症)をきたす
←ステロイド、IVH,抗生物質などが誘引となる
・真菌症の中で最も頻度が高い
【症状】
@鵞口瘡・・・口腔内白苔
咽頭,食道,下部気道に広がることがあるが,大部分自然治癒
A皮膚粘膜カンジダ症・・・胸腺萎縮(Tリンパ球障害)を伴う
B内臓カンジダ症・・・食道etc.に点状〜小斑状の白色混濁
C眼痛,羞明,視力障害・・・IVHによる敗血症≠フ重要所見
【検査】
<胸写>コロニー状白苔由来の網目状陰影(肺炎像)
<Sabouraud培地>分離培養
<眼底検査>白い綿球様浮遊物
【診断】
@ 糖尿病、免疫不全等の基礎疾患を有し、 ←感染防御能低下
A 嚥下障害や前胸部の疼痛を認め、
B 食堂造影で、コロニー状白苔に由来する網目状陰影
潰瘍形成やcobblestone像を
C 食堂内視鏡で、偽膜および潰瘍形成を認めるとき、
→消化管カンジダ症 を考える。
・白色調部を生検すればカンジダの存在が確認される。
培地はSabouraud培地(白色〜淡黄色の酵母様コロニーを形成)
【治療】
@アンホテリシンB :腎障害,血栓性静脈炎,低K血症
Aフルシトシン :再生不良性貧血,顆粒球減少症,胃腸障害
Bフルコナゾール :肝障害(軽度),過敏症,胃腸障害
▽ Q150. カンジダの特徴
サブローは@学校AアホとB感じているC
@サブロー培地 A鵞口瘡 BアンホテリシンBで治療 Cカンジダ
■ 緑膿菌感染症 YnH-3
【診断】
@ 免疫能の低下した入院患者で、 ←体液性免疫能低下時
A その創部ないし分泌物が、緑色調を帯びており、
B 分泌物の塗抹標本にてグラム陰性桿菌が見られ、
鞭毛染色にて端在性の単鞭毛があり、
NAC寒天培地で培養されたとき
→緑膿菌感染症 と診断する
【治療】
・ β−ラクタム剤・・・カルペニシリン(CBPC)
・ アミノ配糖体系・・・ゲンタマイシン(GM)
■ アスペルギルス症 YnI-62 YnAtlasP.210
【概念】
起因菌は土中、鳥糞中に存在するAspergillus fumigatusなどである。真菌感染症としてはカンジダに続いて多い。空中を浮遊している胞子を吸入して感染するので、肺病変が中心となる。
アスペルギルス症は以下の3つが臨床的に重要である。
@ アスペルギウス肺炎(アスペルギルス肺膿瘍・肺梗塞)
A 肺球菌症(肺アスペルギローマ)
B アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(喘息生肺好酸球増加症)
▲アスペルギルス肺炎(肺アスペルギルス症)
【概念】
・急性白血病,悪性リンパ腫に合併して日和見感染をおこす
【診断】
@ 末梢白血球数500/mm3以下 ←high risk group
ステロイド・免疫抑制剤使用患者で
A 発熱、咳嗽が見られ、
B 胸部X線にて、肺門側を頂点にした楔状陰影が見られ、
C ペニシリン系、セフェム系統の広域抗生物質が無効のとき
→アスペルギルス肺炎 を疑う。
・確定診断は、グロコット染色、墨汁染色、鍍銀染色
サブロー寒天培地によるアスペルギルスの同定による
【治療】
・アンホテリシンBの点滴静注または空洞内注入
▲アスペルギルス菌球症(アスペルギローマ)
【概念】
本性は灰の空洞ないし嚢胞内に二次的にアスペウルギルスが進入して増殖して発症する。肺尖部ないし上肺野に好発する
【症状】
・無症状、時に血痰、喀痰
【検査】
<X線>fungus ball :陳旧性肺結核による空洞や肺嚢胞に発生する
【診断】
@ 既存の空洞病変(肺結核)、気腫性肺嚢胞などを有する患者に
A 血痰、咳嗽等が出現し、(無症状のことも多い)
B 胸部X線上、fungus ball、周囲の含気量(air menicus sign)が見られ、
C サブロー培地で緑色コロニーを呈したとき、
→肺アスペルギローマ を考える。
【治療】
・アンホテリシンBの空洞,真菌球内注入,外科的切除術(first choice)
禁忌Kids P.155→アスペルギルス球菌症ではアムホテリシンBの静注は行わない
▲アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(PIE症候群)
【概念】
・アレルギー性気管支喘息に肺浸潤や好酸球増加がみられる
・T型,V型アレルギー ・中心性気管支拡張
・PIE症候群に属する
【検査】
・Grocott染色 ・・・真菌の証明によい
【診断】
@ 発作性呼吸困難(喘息)があり(ときに発熱を伴う)、
A 血液検査にて、IgE↑、好酸球↑ ←T・V型アレルギーによる
B 肺機能検査にて、%VC↓、FEV1.0%→、DLCO↓ ←拘束性換気障害
C 胸部X線にて、反復する一過性肺浸潤(移動する肺の浸潤影)
気管支造影にて、中心性気管支拡張が見られる時(特異的)
→アレルギー性気管支肺アスペルギルス症 を疑う。
・ 確定診断は、喀痰よりアスペルギルスを同定すること。(Grocott染色)
他にアスペルギルス沈降抗体(+)、
アスペルギルス抗原に対する即時型皮膚反応(+)も診断に役立つ
【治療】
ステロイドの全身投与にて諸症状の改善がみられる。(不可欠)
■ クリプトコッカス症 YnH-50
【概念】
・Cryptococcus neoformansによる
・ハトの糞に存在
・経気道感染
・免疫低下時に日和見感染をおこして発症
【症状】
@咳嗽,喀痰(肺炎)
A髄膜炎 ・・・血行性散布.亜急性〜慢性
【検査】
<胸写>孤立性円形陰影,空洞(-)
<髄液>細胞数↑(リンパ球優位),糖↓(←Cryptococcusが糖を消費するため),
クリプトコッカス抗原
<墨汁染色>莢膜に包まれている菌体の検出
<Sabouraud培地>分離培養
【診断】
@ 鳩を飼っている、または鳩の多い神社等の近くに住んでいて、
A 基礎疾患として、白血病、悪性リンパ腫、糖尿病等が存在
あるいは抗癌剤、ステロイド、免疫抑制剤投与中に ←免疫力低下
B 咳、胸痛等を訴え、 ←呼吸器症状
or 発熱、頭痛・嘔吐、項部硬直、Kernig徴候が現れ、 ←髄膜炎症状
C 髄液・血液より、墨汁染色標本(墨汁法で夾膜を判別)、
サブロー培地(白色〜淡褐色の粘調性コロニーを形成)にて菌が確認され、
Cryptococcus夾膜抗原が検出されたとき ←凝集反応−迅速診断法
→クリプトコッカス症 と診断する。
【治療】
*アンホテリシンBの点滴静注と5−FCの経口の併用療法が基本
@アンホテリシンB ・・・髄膜炎のときは髄腔内注入(1st choice)
Aフルシトシン(5-FC) ・・・併用する
Bフルコナゾール ・・・単独投与
*肺に孤立性病変を呈した際には、手術的に切除する場合もある
■ ノカルジア肺炎 YnH-51
・Nocardia asteroidesによる ・口腔常在菌
・肺膿瘍を形成し胸壁瘻孔から排出されることがある
・グラム陽性(フィラメント状菌) ・抗酸菌染色では弱抗酸性
・治療:サルファ剤
【診断】
@ 免疫不全・悪性腫瘍患者あるいは免疫抑制患者に、
A 咳、痰、呼吸苦、発熱が見られ、
B 胸部X線にて肺浸潤影、空洞形成等の肺病変を呈し、
C 喀痰検査にて、グラム染色陽性のフィラメント状菌が見られたとき、
→ノカルジア肺炎 と診断する。
【治療】
・ サルファ剤がfirst choice
・ 膿瘍のあるときは、外科的切除
■ クエブシエラ肺炎 YnI-46
【概念】
・ 中高年の男性に多い.セフェム系乱用による菌交代症として日和見感染をおこし,急激に発症するのが特徴.腸内細菌のひとつ
・ Klebsiella pneumoniae→肺化膿症の原因となる
・ 別名「大酒家肺炎」
【症状】
・大葉性肺炎を呈する ・粘稠痰,褐色・ゼリー状痰
【診断】
@ 大酒家や喫煙家の中年以降の男性で、
A PC服用歴などがあり、 ←菌交代症
B 急激に咳嗽・発熱をきたし、
C 胸部X線で大葉性肺炎をきたし(空洞形成を伴う)
D 粘稠で糸を引く痰が見られるとき、
→クレブシエラ肺炎 を疑う。
【治療】
*一般の抗生物質単独では抵抗性があり、多くの場合併用療法を行う。
第3世代セフェム系orアミノグリコシド系(ゲンタマイシン)
▽ Q.174 クレブシエラ肺炎
クレープ@ねとねとAくどいけどB、太陽CアミーゴDオヤジはE賛成F
@クレブシエラ A粘調で糸を引く痰 B空洞形成 C大葉性肺炎
Dアミゴグリコシド系が有効 E中年男性、大酒家、喫煙家
F第3世代セフェム系が有効
■ ブドウ球菌性肺炎(MRSA肺炎) YnH-33 YnAtlasP.206
【MRSAを疑うとき】
白血球減少例,カテーテル留置例,術後の臓器膿瘍例に,
発熱,CRP(+),ESR↑がみられ,ペニシリン系,
第3世代セフェム系にて症状の改善がみられないとき
【原因】
メチシリン(β-ラクタム剤)耐性黄色ブドウ球菌
【症状】
@敗血症
A肺炎・・・緑膿菌との複合感染あり
B大腸炎・・・白色下痢便が先行する
胃全摘者に多い(胃酸で殺菌されないため)
【検査】
・薬剤感受性試験
・MIC法(希釈法)
・ディスク拡散法
【診断】→MRSA肺炎
@ 免疫不全、担癌患者等の基礎疾患を有する重篤例に
A 発熱、痰、咳に加え、炎症所見が見られ、
B 胸部X線上、肺の浸潤影が見られ、
C 喀痰のグラム染色にて、グラム陽性球菌が房状に配列し、
薬剤感受性テストでメチシリン感受性低下を呈したとき、
→ブドウ球菌性肺炎(MRSA肺炎) と診断する。
【治療】
バンコマイシンの静注 ⇔MRSA腸炎では内服
■ セラチア症 YnH-43
・腸内細菌のひとつ.日和見感染をおこす
・赤色痰,寒天培地で赤色色素産生
【診断】
@ 寝たきりで膀胱内留置カテーテル使用中
A 微熱持続のため、アンピシリンとセファゾリン投与後、
B 高熱を呈し、
C 尿中に多数の好中球とグラム陰性桿菌が見られ、
D 血液培養で赤色色素産生を呈したとき
→セラチア症 を考える。
【治療】
第3世代セフェム系
■ 敗血症 YnH-6
【概念】
敗血症とは体内のどこか感染巣があり、その部位で菌が増殖して血液中に流失し、発熱、ショック、意識障害等の激しい臨床症状を呈した病態をいう。
▲新生児敗血症
・B群溶連菌(最多),大腸菌,黄色ブドウ球菌
・経産道感染により,生後5日以内に発症
・症状→なんとなく元気がない、体温不安定、無呼吸発作
・ペニシリン系による治療
←菌が判明する前に抗菌薬の投与によって起因菌を除去するのが先決
・予後不良
▲乳児・幼児敗血症
・肺炎球菌 A群溶連菌 インフルエンザ菌
・ペニシリンG・・・肺炎球菌,A群溶連菌のとき.副作用→アナフィラキシー
・アンピシリン・・・インフルエンザ菌のとき. 副作用→偽膜性腸炎
※カンジダ,クリプトコッカスでも敗血症を生じる
【診断】
@ IVH等の血管内カテーテルが留置されていた患者が、
A 悪寒戦慄をきたし、ショック、意識障害等を呈し、
B 血液培養によって菌が検出されたとき、
→敗血症 を考える。
*必ずしも典型的な臨床像を呈するとはいえない。
【治療】
・ 疑わしい臓器すべてに移行できる抗菌剤を経静脈的に一刻も早く開始する。
・ 組織移行性で特に重要なものは中枢神経への移行である。
禁忌Kids P.156 肺血症患者の血液培養検体は低温で死滅するため、37度で保存する。
低温保存してはならない。
敗血症では脊椎麻酔は禁忌である.。.
■ サイトメガロウイルス感染症 YnH-65 YnAtlasP.197
(巨細胞封入体症)
【概念】
成人の多くは、本ウイルスの不顕性感染を受けて、免疫能が低下するとこのウイルスは活性化し、肺、消化管、肝、副腎等に封入体を持った巨細胞、壊死巣を起こす。
・サイトメガロウイルス(CMV,ヘルペス科,DNAウイルス)による
・経胎盤・産道感染 ・核内封入体ふくろうの眼≠もつ巨細胞
・免疫低下時(白血病,臓器移植後)に日和見感染
・通常は不顕性感染
【分類】
@先天感染:小頭症,知能障害,肝脾腫,網脈絡膜炎,感音性難聴
A後天感染:間質性肺炎,肝炎,輸血後単核症(伝染性単核症)
【検査】
<検査>CMVに対する特異的IgM抗体↑
<尿,唾液>巨細胞封入体の証明
<尿,血液,咽頭液>ウイルスの分離
<頭部X線>石灰化
【診断】
@ 免疫不全症、悪性腫瘍等の基礎疾患を有した患者が、
A 発熱、呼吸困難、乾性咳を呈し、
B 胸部X線にて、両肺野に広汎にスリガラス状陰影
C 肺、肝生検にて、巨細胞化した核内に大型の好塩基性封入体が見られたとき、
(owl’s sign)ふくろうの目
→サイトメガロウイルス感染症 をうたがう。
・尿・唾液・BALF等からウイルスが分離(PCR)され、ELISA法によりCMV特異的IgM抗体が検出されれば診断は確定する。
【治療】
・抗ウイルス剤のガンシクロビル(デノシン)を用いる。
■CO2ナルコーシス
【概念】
・肺胞低換気→CO2蓄積→脳症状
・PaCO2>50mmHg,PaO2<60mmHg
・慢性肺疾患(COPD,喘息,感染)・肥満・胸郭変形を有する患者に
対する高濃度O2投与(>3l/min),睡眠剤,鎮静剤を契機として発症
【症状】
@発汗,皮膚紅潮 ・・・末梢血管の拡張による
A頭痛,血圧上昇,意識障害,情緒障害、羽ばたき振戦,傾眠,うっ血乳頭
・・・脳血流増大による
【検査】
<脳波>徐波出現
<髄液>圧上昇
<血ガス>PaCO2↑↑,PaO2↓・・・呼吸性アシドーシス
HCO3-↑ ・・・代償作用
【診断】
@ 慢性肺疾患(COPD、喘息等)を有する人が、 ←基礎疾患を有する患者
A O2過剰投与、睡眠剤、鎮静剤服用等を契機として、
B 頭痛、意識障害、精神障害(せん妄)、羽ばたき振戦等を呈し、
C 動脈血ガスにて、pH↓、PaCO2↑を呈するとき、 ←呼吸性アシドーシス
→CO2ナルコーシス を考える。
【治療】
誘引の除去+呼吸管理
@低濃度O2投与(0.5〜2 l/min)
A人工呼吸器による強制換気
▲PaO2<60mmHg(=呼吸不全)でPaCO2<50mmHgのとき
・原因:換気血流不均衡,拡散障害,シャント
・治療:高濃度O2投与(3〜4l/min),PEEP
※room airでPaO2<60mmHgのときを呼吸不全という
▽Q188 CO2ナルコーシスの特徴
賛美@うけA赤面B、足CふみD、羽ばたくEナルシストF
@高濃度酸素投与で悪化 Aうっ血乳頭(乳頭浮腫) B頬の紅潮
C呼吸性アシドーシス D不眠 E羽ばたき振戦 FCO2ナルコーシス
■ 細菌性肺炎 YnI-44
【概念】
健康成人に見られる細菌性肺炎の多くは、かぜ症候群の2次性細菌性肺炎である。強い咳嗽に加えて膿性喀痰を見ることが特徴で、喀痰のグラム染色が起炎菌の早期の推定に有用である。起炎菌の判明率は低い(40〜50%)
【分類】
1.グラム陽性菌:基礎疾患のない健康者に生じることが多い。
@ 肺炎球菌・・・市中感染肺炎で成人では最も多い。
A ブドウ球菌・・・空洞形成(+)
2.グラム陰性菌:基礎疾患を有する患者や副腎ステロイド使用患者に多い。
@ 緑膿菌
A 肺炎桿菌・・・空洞形成(+)
B インフルエンザ桿菌・・・小児に多い
C レジオネラ
【診断】
@ 強い咳嗽、胸痛、呼吸困難に加え、膿性喀痰をきたし、 ←呼吸器症状
A 聴診にて断続性の湿性ラ音を聴取し、 ←肺胞内分泌物所見
B 発熱、WBC↑、赤沈↑、CRP(+)があり、 ←炎症所見
C 胸部X線にて、air bronchogramを伴う肺浸潤影を認めるとき、
→細菌性肺炎 を疑う
・ 確認検査は下記の2つで行う。
(1)喀痰検査:グラム染色、培養
(一般には喀痰1ml中107個以上の菌を持って起炎菌と診断される。)
(2)経気道吸引法(TTA)
【治療】
起因菌に感受性のある抗生物質を投与する。
1.感染防御力を高める目的で、グロブリン製剤なども用いる。
2.呼吸不全に対しては、O2投与、輸液を行う。
▲空洞を有する細菌性肺炎を来たしうる病原細菌
@ブドウ球菌 Aクレブシエラ B結核菌
■ 肺炎球菌性肺炎 YnI-45 YnAtlasP.205
【概念】
・成人の肺炎の中で最多.地域感染性肺炎のひとつ
・乳児(0〜3歳)に気管支肺炎を起こすことがある
【症状】
・ 大葉性肺炎を呈する
・ 髄膜炎を合併することがある
・ 鉄さび色≠フ喀痰,稽留熱
【診断】
@健常者の肺炎、慢性気道炎症の急性増悪時に
A鉄錆色の喀痰が見られ、
B喀痰のグラム染色で、
紫色のダンベルのように見えるグラム陽性双球菌が確認され、
C胸部X線で、大葉性肺炎or気管支肺炎像が見られるとき、
→肺炎球菌性肺炎 を考える
【治療】
・ ペニシリンGによる治療
・ 合成ペニシリンも有効
■ レジオネラ肺炎 YnI-48
【概念】
Legionella pneumophillaは、日和見感染の病原菌で、高齢の男性、β−ラクタム系、ステロイド薬使用中の患者に診られることが多い。
・中高年の男性に多い
・日和見感染をおこす.塵埃感染により集団発生することがある
・院内、院外両方の肺炎の原因となることがある。
【症状】
・精神症状,小脳失調,胸膜炎,肝障害,比較的徐脈
【検査】
・B-CYE培地でコロニー形成
【診断】
@発熱、咳、痰に加え、筋肉痛、呼吸困難等の症状を伴い、
A胸部X線上、肺野に浸潤影があり、
Bペニシリン、第3世代セフェム系、アミノグリコシド系の抗生剤にて治療効果がなく、
C喀痰検査で菌が分離されるか、(多形性を有したグラム陰性短桿菌)
血清補体価の上昇or
DNA-プローブ法、PCR法による抗原直接証明が陽性の時、
→レジオネラ肺炎 と診断する。
*胸膜炎の合併頻度が高い
【治療】
・経過が早いので、治療を先行し、有効抗菌薬の投与を開始する。
・エリスロマイシン(EM)orリファンピシン(RFP)が有効。
▽ 在郷軍人エ リを正せ
(エリスロマイシン、リファンピシン)
・第3世代セフェム系は無効
▽比較的徐脈を来たす疾患
ブルセラ ず れ 落 ち 脈拍 下がる
(ブルセラ、髄膜炎、レジオネラ、オウム病、腸チフス、サルモネラ)
▽Q.154 エリスロマイシンが有効
エリート@軍人AまBくらCぶら下げDジープでE百日FキャンプG
@エリスロマイシン A在郷軍人病(レジオネラ) Bマイコプラズマ Cクラミジア
Dブランハメラ Eジフテリア F百日咳 Gキャンピロバクター
■ マイコプラズマ肺炎 YnI-50 YnAtlasP.207
【概念】
マイコプラズマによって生じる肺炎。本性は健康な小児〜成人の肺炎の主要原因のひとつで、自覚症状(咳、胸痛)が強く、X線上もスリガラス様陰影を呈する等、臨床症状が強いにもかかわらず、ラ音等の理学所見に乏しい疾患である。5〜25歳に好発するが、5歳以下の乳幼児にはまれである。健常人に罹患しやすく、一般に予後良好。
・原発性非定型(異型)肺炎 ・4年周期で流行
・健康人に発症する地域感染性肺炎のひとつ
・若年者に好発するが5歳以下ではまれ.
【症状】
激しい乾性咳嗽,発熱,咽頭痛
鼓膜炎、中耳炎
※自覚症状,理学所見が乏しいわりに胸部X線写真が派手
【検査】
オウム病との鑑別が重要。確信はペア血清による補体結合反応
orマイコプラズマDNAの検出
<血液>寒冷凝集素↑→約50%は発症1〜2週間後に上昇する
IgM↑,ESR↑
マイコプラズマ抗体↑→補体結合反応(CF)を用いる。
※WBCは正常
<胸写>スリガラス様陰影(間質性肺炎)
・・・一側性下葉に多く気管支肺炎像を呈する
<PPLO寒天培地>M.pneumoniaeの分離・・・陽性率は低い
【合併】
鼓膜炎,髄膜炎,中耳炎,Stevens-Johnson症候群,
Guillain-Barre症候群,胸膜炎,関節炎,発疹,胸水
▽Q176 マイコプラズマ肺炎の合併症
マイコと会うと@スティーブンがAギラギラしてBすっかり困っちゃうC
@マイコプラズマ肺炎 AStevens-Johnson症候群 BGuillain-Barre症候群
C水泡性鼓膜炎
【診断】
@健康な小児〜青年(5〜25歳に好発)に、 ←基礎疾患なし
A激しい乾性咳(頑固に続く)で始まる発熱、胸痛が見られ、 ←細気管支炎による
Bスリガラス状陰影を呈する胸部X線に比し、 ←間質性肺炎による
胸部理学所見(聴診)に乏しく、 ←他覚所見に乏しい
CWBC→、赤沈↑、CRP(+)で、
寒冷凝集反応(+)のとき、(非特異的)
→マイコプラズマ肺炎 を考える。
・ 確定診断はペア血清による補体結合反応(血清マイコプラズマ抗体価を見る)
またはマイコプラズマDNAの検出による
【治療】
・細胞壁を持たないため、ペニシリン系、セフェム系抗生剤は無効!!
・マクロライド系やテトラサイクリン系の抗生剤が第1選択薬である。
@エリスロマイシン Aテトラサイクリン(ミノサイクリン)
*妊婦にはエリスロマイシンなどのマクロライド系抗生剤を使用する。
禁忌Kids P.60 小児のマイコプラズマ肺炎では、まずマクロライド系抗生物質から用いる。
禁忌Kids P.61 マイコプラズマ肺炎では副腎皮質ステロイド薬は禁忌であるため、副腎皮質ステロイド薬を用いる過敏性肺臓炎との鑑別に注意する。
▽ Q176.マイコプラズマ肺炎の特徴
若者が@舞妓にA熱上げBまくってC席でしつこくD手をとってもE無理さF、「結構です」とG冷たくされてHわびしいだけI
@若年者、学童に多い Aマイコプラズマ B激しい発熱 Cマクロライド系
D頑固な乾性咳 Eテトラサイクリン F無細胞培地(PPLO寒天培地)で培養
G健康人に発症 H寒冷凝集素価↑ IWBC正常
■ 連鎖球菌性肺炎
【診断】
@発熱、咳、痰に加え、炎症所見が見られ
A胸部X線上、肺に浸潤影を伴い、
B喀痰、胸水等より、グラム(+)の球菌が連鎖配列して見られたとき、
→連鎖球菌性肺炎 と診断する。
■ 肺化膿症 YnI-49
【概念】
・肺炎のうち,肺実質の壊死,膿瘍,空洞を形成するもの
・右肺に多い
【原因】黄ブ菌,大腸菌,嫌気性菌(Bacteroides fragilis),クレブシエラ
▽ぶどう だい 嫌い と覚える
【誘因】
泥酔,歯槽膿漏による誤嚥,気管支閉塞への2次的感染
※糖尿病が基礎疾患にあることが多い
【症状】
@発熱,咳嗽
A悪臭を伴う大量の膿性痰・・・嫌気性菌による
【検査】
<胸写>空洞に膿汁貯留像(炎症性肉芽組織の分厚い壁あり) ニボー形成
【診断】
@発熱、呼吸器症状があり、
A胸部X線上、ニボーを伴う空洞性病変があるとき、
→肺化膿症(肺膿瘍) を考える
【治療】
@胸腔ドレナージによる排痰・・・時に膿胸をきたす
A抗生物質
リンコマイシン→嫌気性菌
セフェム系+アミノグリコシド系(多剤併用)→腸内細菌、黄色ブドウ球菌
B空洞切開術,肺葉切除術・・・抗生剤が無効の時
■ 肺結核症 YnH-40 YnI-54 YnAtlasP.208
【概念】
結核菌の感染により肺に滲出性あるいは増殖性の炎症を起こす疾患である。病原体はMycobacterium tuberculosis(結核菌)である。主に排菌患者からの経気道的に感染する。初感染後10数年以上経過して発症することが多い。成人発症のほとんどは個体の抵抗力・感染防御能の低下で起こる再燃である。したがって老年者結核の占める割合が大きい。
・Mycobacterium tuberculosisによる
・3歳以下の小児と70歳以上の老人に多い
・不規則な生活の若い女性も典型例
【誘因】
糖尿病,ステロイド,塵肺,血液透析,白血病,
妊娠,免疫低下状態,低栄養(アルコール中毒)
【感染】
経気道的に感染(飛沫感染)
→初期変化群=初感染巣(下葉末梢.小児に多い),肺門リンパ節腫脹→※
※@→瘢痕治癒(石灰化に菌)→既感染発症(何らかの誘因で再燃,老人.S1,2,6)
※A→胸膜浸潤→胸膜炎(コレステロール上昇,ADA↑,胸水黄色,WBC正常)
※B→血行性散布→粟粒結核→腎結核
→骨結核(特に脊椎,肋骨.カリエス.流注膿瘍)
※C→気管内散布→乾酪性肺炎
※D→経腸管性散布→腸結核
【その他の転移先】
@収縮性心膜炎 C胸囲結核(無痛性)
A頸部リンパ節結核(無痛性) D喉頭結核
B膀胱結核
【症状】・不明熱 ・倦怠感 ・食欲不振
【検査】
<血液>ESR↑↑,WBC正常
<胸写>S1,2,6に好発,空洞(薄壁空洞),石灰化
<ツ反>48時間後,4mm以下陰性,10mm以上陽性
初感染2〜8週で陽転化
<塗沫>Ziehl-Neelsen染色・・・Gaffky号数(5号は1視野に5個の菌)
<培養>小川培地
<ナイアシンテスト>陽性(非定型抗酸菌,弱毒菌は陰性)
▽ Q180 結核菌検査
歌舞伎に@似るAおっかBない顔がC仇でDけんかするE
@Gaffky号数 AZiehl-Neelsen染色 B小川培地 Cナイアシン反応陽性
D胸水中ADA活性↑ E結核
▲ツベルクリン反応
・PPDを0.1ml皮内注射し,48時間後に発赤の長径で判定4mm以下は陰性,10mm以上が陽性
・部位は各回かえる・・・同一部位に反復施行すると反応が弱くなるため
・初感染2〜8週でツ反は陽転する(W型アレルギー)
・ツ反陰性の人にBCGを接種すると4週でツ反は陽転化(80%)しかし,20年後には再び陰転化
▲ツベルクリン反応が陰転する場合
@サルコイドーシス D過敏性肺臓炎
A麻疹 Eステロイド
B重症結核 F猩紅熱
Cホジキン病
▽ Q179.ツベルクリン反応陰性化
つまんない@じじいのA法事でB花瓶C捨ててD族がEサルFまわしG
@ツ反陰性化 A高齢 BHodgkin病 C過敏性肺臓炎
Dステロイド(免疫抑制剤) E栗粒結核 Fサルコイドーシス G麻疹
【診断】
@持続する高熱、全身倦怠感、体重減少、咳、血痰が見られ、
A血沈↑、CRP(+)を来たし、(WBCは正常範囲が多い。)
ツ反陽性〜強陽性で
B胸部X線にて、空洞を伴う異常陰影が見られ、
C経気管支肺生検にて、
病理学的に乾酪壊死を伴う肉芽腫が見られるとき
→肺結核 を疑う
・確定検査は結核菌の証明であり、次の3つによって行われる。
(1)塗抹検査:好酸菌陽性 ←Ziehl-Neelsen染色
(2)分離培養:ナイアシンテスト ←(+)⇒結核 (−)⇒非定型抗酸菌
(3)DNAプローブ法
*菌陰性の場合には、TBLBや組織診が有効となる
【治療】
@抗結核剤・・・INH+RFP+SM or EBを6カ月
・空洞(+)→化学療法を1年続け,喀痰の菌培養検査が陰性化すれば終了
菌陰性化の年齢による差はない
・初回耐性,粟粒結核,糖尿病の時は不適応となることがある
・ステロイドで悪化することがある
A胸郭形成術,胸膜外・骨膜外充填術,肺切除術
※菌喀出の持続,抗結核剤無効の時
【予防】
・INH・・・乳幼児は,ツ反陽転後6カ月以降に発症しやすいので6カ月間内服
・4歳以上の小児で,結核患者と濃厚に接触し,最近ツ反陽転した場合も同様に行う
▲副作用
・INH ・・・末梢神経炎(VB6欠乏),肝障害
・RFP ・・・白血球・血小板減少、発疹、肝障害
・SM ・・・聴神経障害(平衡・聴力障害)
・PAS ・・・血小板減少、巨赤芽球性貧血、胃腸障害
・EB ・・・球後視神経炎、視力障害
▽ Q181. 抗結核薬の副作用
IN@HA,RBFCPD,SEMF,PGAHSI,EJBK
@Neuro→末梢神経障害 Bリバー→肝障害 EStep→平衡障害
AHepato→肝障害 CFosshin→発疹 FMiMi→聴力障害
DPlate→血小板減少
GPlate→血小板減少 JEye→視力障害
HAnemia→巨赤芽急性貧血,溶血性貧血 KBack→球後神経炎
I消化管→胃腸障害
▲小児結核の特徴
・初感染での発症 ・家族性発生
・空洞形成少ない ・粟粒結核多い
・無気肺多い ・リンパ節腫脹多い
■ 栗粒結核症 YnI-60 YnAtlasP.209
【概念】
大量の結核菌が血流内に入って起こる重篤な血行性斑腫性結核症で、少なくとも二つ以上の全身の臓器に栗粒大あるいはそれに近い結節性散布巣を作る。約30%は髄膜炎を発症する。
★結核菌が血行性に全身播種したもの
・肺,肝,骨髄,脾に粟粒状の結節性病巣を形成する
・抵抗力の弱い小児に多い.髄膜炎を合併することが多い
・誘因・・・血液疾患などの免疫低下状態,ステロイドetc.
【症状】
@悪寒を伴う発熱(稽留熱)
A類白血病反応(末梢に赤芽球出現)
【診断】
<ツ反>陰性(しばしば)
<喀痰培養>陽性(30%)
<骨髄生検>菌の検出(20%)
<眼底検査>結核結節(20%)
<肝生検>結核結節(70%)・・・陽性率高い
<胸写>全肺野に粟粒状陰影→びまん性小結節〜斑状陰影
【診断】
@血液疾患、悪性腫瘍、膠原病、副腎皮質ステロイド、
免疫抑制剤、血液透析、妊娠等の免疫不全患者に ←誘引
A悪寒を伴う係留熱、全身倦怠感が見られ
B赤沈↑、CRP↑、WBC↑、ALP↑ ←炎症所見+乾性肉芽腫所見の反映
leukoerythroblast(末血に赤芽球が出現)、ツ反陰性化を伴い、
C胸部X線で両肺野にびまん性小結節〜斑状影が見られたとき、
→栗粒結核 を疑う。
□栗粒結核に対する最も有効で確実な検査法
(1)眼底検査・・・・・肉芽結節を認める(陽性率20%以下)
(2)肝生検 ・・・・・結核結節を認める(診断率は高い)
(3)骨髄生検・・・・・菌の検出
(4)TBLB ・・・・・・結核の病理組織(乾酪性肉芽腫)
【治療】
抗結核剤を中心とする対症療法→INH,RFP,SM,EB
■クラミジア性尿道炎 YnH-56
【概念】
近年、トラコーマクラミジア(C.trachomatis:CT)による生殖器感染症が蔓延しており、欧米・本邦での正常妊娠での頚管CT保有率は5〜10%である。また、若年男性の尿沈査白血球(+)の最多の原因はクラミジア尿道炎(CTU)である。
【診断】
@性交渉後1〜3週で
A排尿時灼熱痛、尿道口より膿汁排泄が見られ、
Bβ-ラクタム剤で治癒しないとき、
→クラミジア感染による尿道炎 を疑う。
・確定診断は尿道分泌物or尿道スメアより起炎菌の分離・同定を行うか、
あるいは尿道スメアの酵素抗体法による
【治療】
・テトラサイクリン系のミノサイクリンやドキシサイクリンがfirst choice
■ 後天性免疫不全症候群 YnH-72 YnAtlasP.198
【概念】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染による細胞性免疫不全を主な病態とする疾患である。その感染ルートは血液製剤、汚染注射針、性行為が主であるが、母子感染もある。感染源は血液・精液・膣分泌物が重要!!
・HIV(HTLV-V)の感染により体内のヘルパーT細胞(T4)が破壊され,細胞性免疫不全をひきおこす
・同性愛者,血液製剤,母子感染が感染経路で,血液・精液の感染力が強い
・HBVに比べれば感染力は弱く,滅菌は容易(オートクレーブにより不活化)
【症状】
@発熱,体重減少,全身リンパ節腫脹,下痢・・・数年の潜伏期の後
A日和見感染・・・ニューモシスチス・カリニ肺炎,口腔カンジダ症,
クリプトコッカス髄膜炎,サイトメガロウイルス肺炎,非定型抗酸菌症
Bネフローゼ(HIV腎症)・・・FGSに似た組織像
【検査】
・スクリーニング・・・ゼラチン粒子凝集法(PA),ELISA
・確認検査 ・・・蛍光抗体法,Western blot
【診断】
@HIV感染者との性行為後6〜12週して、
A感冒様症状、HIV抗体陽性化 ←HIV感染急性期
Bhelper Tcell(CD4+)↓ 免疫不全の進行
CD4+/CD8+比↓
C発熱、体重減少、下痢、リンパ節腫脹 ←ARC発症
D日和見感染(カリニ肺炎、サイトメガロウイルス感染症等) ←AIDS発症
悪性腫瘍(カポジ肉腫等)、腎症、痴呆等が見られ
EAIDS発症のマーカーを確認すれば
→AIDS を考える。
【治療】
*発症予防およびHIVの増殖防止のために下記の薬剤を用いる
AZT(アジドチミジン),シダノシン
→HIV感染を治癒することはできない
【予後】
発症後2年以内に死亡
■カリニ肺炎 YnH-74 YnAtlasP.201
【概念】
・日和見感染
・抗癌剤,免疫抑制剤,ステロイドによる免疫不全状態の患者に発生
・基礎疾患:悪性腫瘍,白血病,膠原病,AIDS
・間質性形質細胞性肺炎
・CMVや真菌との混合感染が多い
【症状】
乾性咳嗽,呼吸困難,発熱,チアノ−ゼ
※聴診所見は少ない
【検査】
<血液>PaO2↓・・・早期からのalveolar-capillary blockによる
<胸写>スリガラス〜斑状陰影(間質性陰影)
<BAL,TBLB>cystの検出 <Gaシンチ>high uptake
<生検>グロコット染色によるPneumocystis carinii(原虫)の検出
【診断】
@HIV抗体陽性ないし免疫抑制剤、抗癌剤投与中の患者が、
A運動時の呼吸困難、乾性の咳を呈し
B胸部X線で、肺門を中心に両肺野に間質性ないし肺胞性浸潤影が急速に進展し、
CPaO2<70Torr、AaDo2の開大
D抗生物質が無効で細菌性肺炎が否定できるとき
→カリニ肺炎 を疑う。
・喀痰or気管支ファイバースコープによるBAL、TBLB等にてカリニ原虫を確認すれば、診断を確定できる。
【治療】
ST合剤(first choice)、ペンタミジン
▽ Q168. ニューモスチスカリニ肺炎の特徴
借りに@するとA、テーブルのB黒いCボールDペンでEサインFした
@カリニ肺炎 AST合剤が有効 BTBLB CTBLB,BAL染色で黒く染まる
DBAL Eペンタミジンが有効 Fサイトメガロウイルスとの混合感染
■ マラリア YnH-79 YnAtlasP.200
【概念】
マラリア原虫はハマダラカによって伝播され、人体内に進入、潜伏期を経て発熱を主徴とする諸症状を呈する。4種類のマラリアが存在するが、頻度の高いのは3日熱マラリア、熱帯熱マラリアである。死亡例の出ている熱帯熱マラリアはアフリカ旅行者に多く、三日熱マラリアは東南アジアに多い。
・三日熱マラリア,四日熱マラリア,熱帯熱マラリア,卵形マラリア
・日本では,三日熱マラリアと熱帯熱マラリアのみ
・ハマダラカによって媒介 ・末梢血塗沫標本で原虫を証明
・患者数:58 ・東南アジアへの渡航歴etc.
【分類】
@三日熱マラリア
・良性マラリアで,潜伏期10〜14日
・発熱(48時間毎の間欠熱)
・貧血,脾腫(感染赤血球,溶血赤血球をとりこむため)
・クロロキン(発熱発作に対して),プリマキン(根治)
A熱帯熱マラリア
・悪性マラリアで,潜伏期5〜10日
・発熱(不定),巨大脾腫,ついには脳症(昏睡),腎不全,DICで死亡
・尿が黒色化する(黒水熱)
・キニーネ,ファンシダール(クロロキン耐性↑),プリマキン(再発予防)
B四日熱マラリア
・潜伏期は12〜21日
・発熱(72時間毎の間欠熱),軽度貧血,脾腫
・10〜20年経てから再発あり
C卵形マラリア
・症状は,三日熱マラリアと同じ
【診断】
@熱帯、亜熱帯からの帰国後に、
A間欠熱を示し * はtrias
BCRP(+)、赤沈亢進を伴い、
軽度の貧血、巨大脾腫が見られれば ←溶血による
→マラリア を疑う。
・確定診断は、抹血塗抹標本(ギムザ染色)にて、赤血球内にマラリア原虫を認めることによる(ring form)
血清診断による血中抗体の証明も行われる。
【治療】
1.発熱発作には、クロロキン、サルファ剤と
ピリメサミン合剤(MP錠、ファンシダール)
2.解熱したら再発予防に、プリマキン15mg/日を14日間内服させる。
ただし、最近は薬剤耐性種が増加してきている。
*マラリアに対する抗血清はない
【予防】
流行地に入ってから帰国後4週間まで、クロロキン300mg/回
■ コレラ YnH-41
【概念】
コレラ菌は、腸管粘膜への進入は起こさせず、毒素(コレラトキシン)が腸管粘膜上皮細胞のレセプターに結合し、急性下痢を来たす。
・コレラ菌(エルトール型,弱毒株)による
・小腸に好発 ・法定伝染病
・80%は外国から ・年間患者数:105
・ときに汎流行(共通の伝播体による)
※エルトール小川型がエルトール稲葉型に比べ多くなっている
【症状】
★潜伏期:1〜3日
@米のとぎ汁様下痢→代謝性アシドーシス
Aコレラ顔貌・・・眼球陥凹,頬骨突出,洗濯婦の手
B疼痛性腓腹筋痙攣
※発熱はあまりみられない
【診断】
@東南アジアからの帰国直後に、(潜伏期1〜3日)
A発熱はあまり見られないが、
B‘米のとぎ汁様下痢’を頻発し、
C眼球陥凹、頬骨・鼻梁突出(‘コレラ顔貌’) 脱水による
皮膚に深いしわが見られたとき(助産婦の手)
→コレラ を疑う
・確定診断は次の2つによる
(1)便・吐物により菌の証明:アルカリペプトン水に発育し、
TCBS寒天で黄色コロニー、ビブリオ寒天で青コロニーを形成する。
(2)コレラ毒素の証明:ELISA,PCR法等にて確認する。
【治療】
脱水の治療、電解質バランスの維持が治療の根本!!
@輸液・・・脱水の治療,電解質バランスの維持
Aクロラムフェニコール,テトラサイクリン・・・重症時
→排菌期間を短縮する
▽ Q155 テトラサイクリンが有効
下手な細工に@「コAラB!マCリDッEクF!」
@テトラサイクリン Aコレラ Bライム病 Cマイコプラズマ Dリケッチア
Eツツガムシ病 Fクラミジア(オウム病)
▲副作用
・クロラムフェニコール→再生不良性貧血,gray症候群(乳児)
・テトラサイクリン →歯牙黄染,骨障害,Fanconi症候群,催奇形性,光線過敏
・エリスロマイシン →胆汁うっ滞型肝障害,胃腸障害
▽Q155 クロラムフェニコールの副作用
クロ@より軽いA、グレーのB不良C
@クロラムフェニコールの副作用 A顆粒球減少症 B新生児grey症候群
C再生不良性貧血
▽Q155. テトラサイクリンの副作用
テントの@火A事BはCまぶしいD
@テトラサイクリン A肝障害 B腎障害 C歯の発育障害、黄染 D日光過敏症
■ アメーバ赤痢 YnH-77 YnAtlasP.199
【概念】
赤痢アメーバ症は、赤痢アメーバの経口感染により、主に大腸に壊死性潰瘍性大腸炎をきたす。輸入感染症としてと同時に最近はSTD(性行為感染症)としても注目されている。多くの感染例は臨床症状をあらわさず、一部の例が大腸炎や肝膿瘍として発症する。そのため、臨床症状を示さない保菌者が存在し、感染源となりうる。
・盲腸,直腸に多く,経門脈的に,肝・肺・脳に膿瘍形成
・潜伏期1〜3カ月と長いのが特徴
【症状】
・アメーバ性大腸炎→イチゴゼリー様下痢
・アメーバ性肝膿瘍→チョコレート膿瘍 →YnH-77
【診断】
@熱帯ないし、亜熱帯の海外渡航歴後1〜3ヶ月で、 ←潜伏期1〜3ヶ月
A頭痛、回盲部やS状結腸部の圧痛
イチゴゼリー様膿粘血便、下痢
しぶり腹を呈し(壊死性潰瘍性大腸炎) ←tenesmus=しぶり腹B大腸内視鏡検査で、直腸・S状結腸を中心に、潰瘍・タコイボびらんが多発し、
糞便検査で、ハイデンハイン染色で赤痢アメーバの胞子を確認したとき、
→赤痢アメーバ症 と診断する。
・さらに大腸粘膜生検にて、粘膜固有層に、好酸性の類円形を呈し、
内部に小核を有する虫体が散見される
*肝膿瘍の合併の有無を調べるため、腹部エコー、CTを行う。
【治療】
・メトロニダゾール大量による治療
▽Q.164 赤痢アメーバ症
アメ・チョコ・イチゴゼリー・メロン
(アメーバ、チョコレート膿瘍、イチゴゼリー便、メトロニダゾール)
▽Q164. メトロニダゾールの適応
メトロの中で@ママとAあめをB取りC取りDしましょう
@メトロニダゾールの適応 Aマラリア Bアメーバ赤痢
Cトリコモナス Dトリパゾーマ
■腸チフス・パラチフス YnH-42
【概念】
・チフス菌(Salmonella typhi),パラチフス菌(Salmonella paratyphi)による
・経口感染により発症
・回腸末端に好発
・腸チフスでは,腸管から持続排菌するキャリアが存在
・法定伝染病
・患者数:腸チフス:129,パラチフス:46(減少傾向)
※パラチフス:伝染病予防法の対症はA菌だけ.B,Cはサルモネラ症
【症状】
★潜伏期10〜14日 ★腸チフスの方が重症
@稽留熱・・・39〜40℃が2週間続く ※発汗(-)
Aバラ疹・・・体幹に多い B比較的徐脈 C脾腫 ←3徴
D腸穿孔・・・回腸末端に好発し,腸出血をみる
【検査】
<血液>WBC↓・・・4,000とかに.とくに好酸球↓
<SS培地,Kligler培地>ガス産生(+),運動性(+)
・Widal反応 ・血液培養→尿・便培養→胆汁培養
※喀痰培養は無効
【診断】
@東南アジア等の海外旅行後、 ←潜伏期は10〜14日
A階段状の発熱、下痢(しばしば血便)
(1)比較的徐脈 (2)バラ疹 (3)肝脾腫があり、 はtrias
BWBC↓、好酸球(−)の時、
→腸チフス を疑う。
・確定診断は、菌の検出、Widal反応(+)による
【治療】
*有熱期には絶対安静!、重篤な合併症(腸出血、腸穿孔)を予防する
クロラムフェニコール(1st choice)
■カンピロバクター YnK-9
【概念】
カンピロバクター属の菌は、家畜の腸管に高率に生息し、C.fetusは敗血症や髄膜炎を、C.jejuni,C.coliは胃腸炎や食中毒を起こす。分離培養に適した選択培地の開発・普及により、その感染症例発生の実態が急速に解明され、現在では食中毒菌としてサルモネラと並んで重視される。急性下痢症の原因菌として最も多く、約40〜60%を占める。
・患者数:948
・潜伏期2日 ・人畜共通感染症
・冷食肉による ・S字状に弯曲したG(-)桿菌
【症状】
急性下痢症の中で最多・・・腐敗臭,胆汁色水様便+発熱
【診断】
@家畜からの汚染食品(肉類、生乳等)摂取後、 ←人獣共通疾患
A2〜7日で ←潜伏期長い
B腹痛、下痢(水溶性粘血便)、発熱があり、 ←trias
C糞便の鏡検で、コンマ状のグラム陰性桿菌の
コイル状の螺旋運動が見られる時
→カンピロバクター感染症 と診断する。
*便からの培養にはスキロー培地を使用する。
【治療】
多くはペニシリン、セフェム系に耐性
→マクロライド系(エリスロマイシン)を使用する。
※適応は発熱、腹痛などを伴う重症感の強い例のほか、高齢者、小児や免疫不全例。
■細菌性赤痢 YnH-41
【概念】
・赤痢菌(Shigella dysenteriae,sonnei.弱毒株)による
・下行結腸に好発 ・法定伝染病
・50%は外国から,残りは輸入魚介類から感染
・患者数:1,120(横ばい傾向) ・糞便中に排菌される
・接触感染流行(食物による流行)のときに家族集積性あり
【症状】
★潜伏期:2〜5日
@悪寒,発熱を伴うトマトジュース様下痢
Aテネスムス
B左下腹部痛・・・排便時,下結腸部の圧痛およびS状結腸の圧痛性索状物の触知
※赤痢菌の保菌者は14日まで隔離することがある
【検査】
<SS培地,Kligler培地> ガス産生(-) 運動性(-)
→サルモネラとの鑑別点
【治療】
@アンピシリン,カナマイシン・・・耐性菌↑なために,これが第1選択
Aニューキノロン系 ・・・肺炎球菌,MRSAなどの耐性菌あり
禁忌kidsP.154→非ステロイド系抗炎症薬とニューキノロン系抗菌剤の併用は禁忌!!
■サルモネラ菌 YnK-8
【概念】
・患者数:6,954
・潜伏期12時間
・ネズミが病原体を保有する人畜共通感染症
・ウシ,ブタ,ニワトリ,カメetc.の食肉,卵,乳製品
【症状】
急激な発熱(38℃以上)、下痢、腹痛
【治療】
クロラムフェニコール
【診断】→サルモネラ食中毒or細菌性赤痢
@38℃以上の発熱、粘液を伴う頻回の下痢,血便、テネスムスがあり、
AS-S寒天培地でコロニー検出する時
→サルモネラ食中毒or細菌性赤痢のいずれか を疑う。
・この二つの鑑別診断はKlingler培地にて行い、
ガス産生(+)、硫化水素産生(+)、運動性(+)ならサルモネラ食中毒を
この3つが(−)なら細菌性赤痢 と診断する。
【治療】
輸液等による全身状態の改善と
多剤耐性が多いため、ニューキノロン系等の抗生剤投与を中心に行う。
▽ Q229 食中毒の潜伏期間と原因起因菌
ぶどう@売るA美B貌のCサルもD大EカFエルG
@ブドウ球菌 ←当日 Dサルモネラ
Aウェルシュ ← 〃 E大腸菌 2日以降
Bビブリオ ←翌日 Fカンピロバクター
Cボツリヌス ← 〃 Gエルシニア
■サルモネラによる感染性腸炎
【診断】
@夏季、食肉類、マヨネーズ、卵等を摂取後、
6〜48時間で ←潜伏期:平均12時間
A急激な38℃以上の発熱、腹痛、
下痢を呈し、(水溶性〜渋り腹を伴う粘血便までさまざま)
B食品中or糞便よりSS培地で菌検出が認められた時、
→サルモネラによる感染性腸炎 を考える。
【治療】
・対症療法(輸液)と同時に抗生剤(クロラムフェニコール)を使用する
■ブドウ球菌性食中毒 YnK-4
【概論】
・患者数:1,349
・潜伏期3時間 ・エンテロトキシンによる
・手指の化膿創が汚染源 ・耐熱性→食前加熱無効
【診断】
@弁当、握り飯、シュークリーム等を食べて、 ←食品中で毒素産生
A1〜6時間後(平均三時間) ←細菌性食中毒で最短
B激しい嘔吐、急激な腹痛、下痢があり、発熱がない時
→ブドウ球菌性食中毒 を疑う。
・糞便・吐物・血液および疑わしい食品から細菌培養、毒素の検出を試みる
【治療】
対症療法
*毒素だから抗生剤無効
■ボツリヌス中毒 YnK-5
【概論】
・患者数:5
・潜伏期12時間〜2日 ・嫌気性菌
・北海道・東北に多い ・魚肉(いずし),蜂蜜,辛子れんこん
【症状】
・クラーレ様の外毒素(易熱性)・・・眼症状,麻痺症状,分泌障害
・神経麻痺→神経末端からのアセチルコリン遊離障害
眼症状 →複視、眼瞼下垂など
球麻痺の進行→発音困難、嚥下困難
麻痺症状 →四肢麻痺、呼吸筋麻痺→死亡
・消火器症状→腹部膨満、便秘、下痢、悪心など
【診断】
@いずし、からし蓮根、蜂蜜、真空パック製品等を摂取したあと、←病原巣は土壌に分布
A12〜24時間で ←潜伏期
B複視、眼瞼下垂、散瞳、差明を訴え、 ←眼症状
次いで発音困難、嚥下困難が出現し、 ←球麻痺症状
四肢麻痺、呼吸麻痺が次第に増強する ←神経症状
C意識は正常で、発熱は伴わず、 ←意識清明
嘔吐・下痢はないかごく軽度で、 ←消化器症状
D筋電図にて、低頻度反復刺激で漸減(waning)
高頻度反復刺激で漸増(waxing)が見られた時
→ボツリヌス食中毒 を考える。
【治療】ふぐ中毒と同じく、適切な人工呼吸管理がすべて!!
・24時間以内、まず催吐を行い(初期治療で最も重要)、次いで胃洗浄
24時間以上経過、活性炭と下剤の投与を行う、浣腸も必要
同時に抗毒素血清、5万Uを投与する。
効果がなければさらに20万Uを追加投与する。
※呼吸不全が死亡の主因となるので、呼吸管理が重要である。
抗菌薬は無効。
▽ Q230. 高熱にならない感染症
コネのない@ボAブB緊急CバイトD百日EコッFクでG働くH
@高熱にならない Aボツリヌス Bブドウ球菌食中毒 C肺球菌症
D梅毒 E百日咳 Fコレラ Gクラミジア H破傷風
■ツツガムシ病 YnH-58
【概念】
・Rickettsia tsutsugamushiによる
・節足動物(ダニ,ネズミ)に寄生している
・胸腹部,腋窩,陰部の皮膚を刺入されることで感染
・届出伝染病 ・患者数:712
【症状】
★潜伏期5〜10日
山菜採りに行った=C植林に従事する≠ネどの生活歴あり
@発熱,頭痛,ときに意識障害
A発疹 ・・・粘膜,皮膚に有痛性紅斑,黒色皮膚に覆われた刺入口
Bリンパ節腫脹 ・・・刺入口付近
【検査】
<Weil-Felix反応>OX-K型に対する抗体価が上昇
<血液>CRP(++),好酸球↓
【診断】
@野外活動後、5〜10日で
A発熱、頭痛、全身の紅斑、丘疹があり
B虫によるさし口が胸腹部・腋窩・陰部に見られ、(通常一ヶ所のみ)
C所属リンパ節が有痛性に腫大し
Dβ−ラクタム剤が無効な発熱が続いた時、
→ツツガムシ病 を考える。
【治療】
@テトラサイクリン(first choice) Aクロラムフェニコール
【予後】
治療が遅れるとDICを合併し、主な死因となる
▽ Q153. ツツガムシ病
ワイの@利口なAツツガムシはB熱帯C林のDクロいEトラをF刺すG
@ワイルーフェリックス反応(+) Aリケッチア Bツツガムシ病
C熱発 Dリンパ節腫脹 Eクロラムフェニコールが有効
Fテトラサイクリンが有効 F皮膚の刺し口が見られる
■エキノコッカス症 YnH-88
【概念】
本症は狐・狼・犬を終宿主とする幼虫が、肝・肺・脳・眼窩に寄生し、嚢胞を作り、さまざまな症状を呈する。
【診断】
@北海道に居住歴があり、
A犬、キタキツネ、狼等の犬科の動物との接触機会があり、
B血痰、胸膜炎症状があり、 ←肺包虫症
C胸部X線上、肝に卵殻状石灰化、 ←肝嚢胞
腹部エコー、CTで肝にSOLが認められる時、
→エキノコッカス症 を疑う。
・確定診断は、病巣部の穿刺液よる包虫砂の検査あるいは血清学的な補体結合反応、ELISA法が有効である。
【治療】
・包虫を外科的に摘出する以外にない(内容を漏らさないように)
■オウム病 YnH-57
【概念】
・Chlamydia psittaciによる
・グラム陰性の運動性のない細胞内寄生体
・オウム,インコの排泄物から感染する
・塵埃感染をおこす
【症状】
@発熱,腰痛,筋肉痛
A乾性咳嗽(間質性肺炎,異型肺炎)
B比較的徐脈
【検査】
<血液>WBC正常 ESR正常
<胸写>スリガラス様陰影
【診断】
@鳥との接触があったあと1〜2週間で
A激しい乾性咳が始まり、
B胸部X線でスリガラス状or浸潤性陰影の肺炎像が見られたとき
→まず、オウム病 を疑う。
・補体結合反応による血清補体価の上昇が見られ、or/and
血液・喀痰によりPCR法、DNA-プローブ法による核酸検査にて
Chlamydia psittaciが同定されれば、診断は確定する。
【治療】
テトラサイクリン
*ペニシリンは無効
軽症例で、自覚症状の軽い場合には10日程度で軽快する。
▽ Q166 クラミジア感染症
くじら@とらAねずみBおおむCの順に非力D
@クラミジア Aトラコーマ B鼠径リンパ節腫脹 Cオウム病 D非淋菌性尿道炎
■Weil病(黄疸出血性レプトスピラ症) YnH-55
【概念】
・レプトスピラ(スピロヘータ科)による
・ネズミ(尿),ウシ,ブタ,イヌによる感染
・経皮,経口的に感染
・農業,下水道作業,牧畜業に従事するものに多い
【症状】
★潜伏期7日
@発熱期(1〜10日) :発熱,球結膜充血,蛋白尿,腓腹筋痛
A発黄期(10〜14日):黄疸,出血傾向,髄膜炎 ※発熱(-)
B回復期(14日以降) :発熱
【検査】
<血液>BUN↑ GOT,GPT,TTTには著変なし
Plt↓(軽度) WBC↑(左方移動) ESR↑
<血液,髄液検査>レプトスピラの検出(第2病週以降は尿中から)
【診断】
@ 農業・工業従事者、鮮魚商、調理師、下水工事夫に
A 突然の高熱、結膜充血、腓腹筋筋痛、黄疸、肝腫大があり、
B 出血傾向(血小板減少) ←出血時間は延長しない
C 蛋白尿、BUN↑が見られる時、 はtrias ←腎機能障害
→Weil病 を考える。
【治療】
ストレプトマイシン(早期に治療しないと予後不良)
▽ Q.151 Weil病について
ワイルドな@プロのASMB,ケツCかじり血出しD筋肉痛でE黄色信号F
@Weil病 Aプロテイン→蛋白尿 Bストレプトマイシンが有効
C結膜充血 D出血傾向 E腓腹筋痛 F黄疸
■胃アニサキス症 YnH-85 YnAtlasP.202
【概念】
・クジラを終宿主とするアニサキス属幼虫による幼虫移行症
・サバ,ニシン,イカetc.の海産魚の生食後5〜6時間で発症
・30歳代の男性に多い
【症状】
・心窩部痛を主とする急性腹症 ・血性吐物のみられることあり
・激しい浮腫のため腹部腫瘤を触れることあり
【検査】
・血 液:白血球増多は顕著でない.好酸球はあまり変化なし
・内視鏡:激しい浮腫.虫体の確認,内視鏡的除去
・胃にいなかったら注腸して確認
【診
断】
@シメサバ、イカ、カツオの生食後、 ←新鮮魚介類の生食
A数時間をおいて ←節食後4〜8時間で発症
B激しい腹痛、嘔吐を呈した時
→胃アニサキス症 を疑う。
・確定診断は、胃内視鏡にて虫体を確認することによる。
【治療】
内視鏡的に虫体を除去すれば、症状は劇的に改善する。
■肝吸虫症 YnH-86
【概念】
・第1中間宿主のマメタニシ,第2中間宿主のフナの生食
・胆道系に病変を生ずる
【症状】
肝腫大,下痢,好酸球↑
【診断】
@淡水魚の生食後、右季肋部痛、下痢があり
A血液検査で、好酸急増多が見られ、
B糞便ないし胆汁検査にて虫卵を確認した時、
→肝吸虫症 と診断する。
【治療】
プラジカンテル,ビチオノール
■伝染性単核症 YnH-64 YnAtlasP.196
【概念】
・Epstein-Barr virus(ヘルペス科,DNAウイルス)による
・10〜20歳代に多い
・kissing disease=ィ経口感染
・Bリンパ球内で増殖→Bリンパ球抑制,反応性にTリンパ球増殖
※EBV→Burkitt lymphoma,上咽頭癌
【症状】
★潜伏期5〜7日
@発熱,咽頭痛,リンパ節腫脹
A肝脾腫
B発疹 ・・・ペニシリン投与後にみられることが多い
【合併】
●髄膜炎 ●脳炎
●Guillan-Barre症候群 ●脾破裂(予後不良)
●ITP
【検査】
<血液>WBC↑(特にリンパ球↑) Plt正常
異型リンパ球出現 GOT・GPT↑
EBV抗体↑
<Paul-Bunnel反応>ヒツジ赤血球に対する凝集素↑
【診断】
@ 若年者(10〜20代)で、 は3徴
A 弛張熱、肝脾腫、
咽頭痛と頚部リンパ節腫大を呈し、 ←全身リンパ節の系統的な腫脹
全身に種々の紅斑
B WBC↑、末梢血中の異型リンパ球↑、血小板↓
GOT・GPT↑、黄疸が見られる時、 ←肝機能障害
→伝染性単核症 を疑う。
*確定診断にはEBウイルス抗体価の測定が必要である。
VCA-IgM抗体の上昇が確認されれば診断は確実となる。
【治療】
基本的には対症療法と安静
※ペニシリン系は禁忌 →発疹 セファロスポリン系は無効
禁忌kidsP.153→伝染性単核症にアンピシリンは禁忌!!
*抗ウイルス剤を使用する必要はない
【予後】
良好.2カ月以内に完治
▽ Q163. 伝染性単核症
ポール@、アツアツのA立派なBエビとC貝DいりEますか?
@Paul-Bunnell反応 A発熱 B全身リンパ節腫脹 CEB virus
D肝脾腫 E異型リンパ球増加
▲Paul-Bunnel反応
・血清中のヒツジ赤血球凝集素価が上昇することを診断に応用したもの
・病原体と関係のない異好抗体
・血清病や,稀に白血病やリンパ肉腫でも上昇することがある
★鑑別→煮沸モルモット腎と煮沸ウシ赤血球による吸収試験(Davidsohn)
■破傷風 YnH-46
【概念】
・破傷風菌(Clostridium tetani.嫌気性G(+)桿菌)の神経毒素による
・皮膚創傷面から感染 ・終生免疫は得られない
・臍部切創により新生児に発生する率が高い ・届出伝染病
★潜伏期4〜20日(平均7日)
★潜伏期の短いほど予後不良
★開口障害〜全身痙攣が48時間以内 →致命率高い
【症状】
@発熱(微熱)・・・1〜2日続いた後,
A創部付近の知覚異常 B開口障害(trismus)
C後弓反張・・・背筋が硬く張る
D痙攣,痙笑(tetani)・・・顔面から躯幹,四肢に及ぶ(下行性)
※意識障害はきたさない
【診断】
@外傷後、4日〜3週間を経て、 ←潜伏期:平均7日
A開口障害、痙笑、 ←咬筋痙攣のため
嚥下障害、全身の強直性痙攣、後弓反張が見られ、
B意識清明の時、
→破傷風 を疑う
・外傷部からの病原体証明にて確定診断とする
【治療】
*適切な処置を行わないと致命的になる。
→まず気道確保!!
@抗毒素血清(破傷風免疫ヒトグロブリン;TIG)
・・・2,000〜3,000IU筋注.早期使用が望ましい
AペニシリンG
Bジアゼパム(鎮静剤)
C光・音刺激の遮断 ※高圧O2療法は禁忌
【予防】
トキソイド(任意接種)
▽tetra T
T trismus (開口障害)
T tetani (痙攣)
T toxoid
T tranquilizer (ジアゼパム)
■クロストリジウム性ガス壊疽 YnH-46 YnAtlasP.193
【概念】
ガス壊疽とは、ガスを産生する細菌により、皮下組織や筋肉に壊死を起こす感染症の総称である。Clostridium perfringens(Welsh菌)による物が多い。
【診断】
@創傷周囲の浮腫があり、
A創部より悪臭のある膿汁排泄が見られ、
B創部圧迫により捻發音が聞かれ、
C創部単純X線にて皮下から筋層に及ぶガス像が見られた時
→クロストリジウム性ガス壊疽 を疑う。
【治療】
・高圧酸素治療、創開放・debridement・洗浄、ガス壊疽馬抗毒素血清、
同時にペニシリン大量投与、必要に応じ切断(amputation)
*クロストリジウム以外のものには高圧酸素療法は無効
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