G 臨床実習
1 全期間を通じて身につけるべき事項
(1)診療の基本
一般目標:
受持ち患者の情報を収集し、診断して治療計画を立てることを学ぶ。
【問題志向型システム・科学的根拠にもとづいた医療科】
到達目標:
1)基本的診療知識にもとづき、情報を収集・分析できる。
2)得られた情報をもとに、問題点を抽出できる。
3)病歴と身体所見等の情報を統合して、鑑別診断ができる。
4)診断・治療計画を立てられる。
5)科学的根拠にもとづいた医療(EBM)を実践できる。
【医療面接】
到達目標:
1)礼儀正しく患者(家族)に接することができる。
2)プライバシーへの配慮し、患者(家族)との信頼関係を形成できる。
3)医療面接における基本的コミュニケーション技法を実践できる。
4)病歴聴取(主訴、現病歴、既往歴、家族歴、社会歴、システムレビュー)を実施できる。
【診療記録とプレゼンテーション】
到達目標:
1)診療録をPOMR形式で記載できる。
2)毎日の所見と治療方針をSOAP形式で記載できる。
3)受持ち患者の情報を診療チームに簡潔に説明できる。
(2)身体診察
一般目標:
受け持ち患者の基本的な身体診察ができる。
【全身状態とバイタルサイン】
到達目標:
1)身長・体重を測定し、栄養状態を評価できる。
2)血圧・脈拍を測定できる。
3)呼吸数を測定し、呼吸パターンを観察できる。
4)体温を測定できる。
【頭頸部】
到達目標:
1)頭部の診察ができる。
2)眼(視野、瞳孔、眼球運動、結膜、眼底)の診察ができる。
3)耳(外耳道、鼓膜、聴力)の診察ができる。
4)口腔・鼻腔の診察ができる。
5)甲状腺を含めた頸部の診察ができる。
【胸部】
到達目標:
1)胸部の視診、打診、触診、聴診ができる。
2)呼吸音を正しく聴診できる。
3)心音と心雑音を正しく聴診できる。
4)乳房を診察できる。
【腹部と泌尿生殖器】
到達目標:
1)腹部の視診、聴診、打診と触診ができる。
2)反跳痛と筋性防御の有無を判断できる。
3)直腸(前立腺を含む)指診ができる。
【神経】
到達目標:
1)意識状態が判定できる。
2)脳神経を診察できる。
3)腱反射、病的反射、筋トーヌスを診察できる。
4)小脳・運動機能を診察できる。
5)感覚系の診察ができる。
6)髄膜刺激所見がとれる。
【四肢と脊柱】
到達目標:
1)四肢と脊柱を診察できる。
2)関節(関節可動域を含む)を診察できる。
3)筋骨格系の診察ができる。
【小児と高齢者の診察】
到達目標:
1)新生児と小児の全身診察ができる(発達状況の評価も含む)。
2)高齢者を診察でき、総合機能評価(CGA)ができる。
(3)基本的臨床手技
一般目標:
基本的臨床手技を学ぶ。
【一般手技】
到達目標:
1)静脈採血の手順、部位と合併症を列挙し、正しく採血できる。
2)末梢静脈の血管確保を見学し、介助ができる。
3)中心静脈カテーテル挿入を見学し、介助ができる。
4)動脈血採血・動脈ラインの確保を見学し、介助ができる。
5)腰椎穿刺を見学し、介助できる。
6)胃管の挿入と抜去ができる。
7)尿道カテーテルの挿入と抜去ができる。
8)ドレーンの挿入と抜去を見学し、介助ができる。
9)注射の種類、各々の特徴と刺入部位を説明できる。
【外科手技】
到達目標:
1)手術や手技のための手洗いができる。
2)手術室におけるガウンテクニックができる。
3)基本的な縫合ができる。
4)創の消毒やガーゼ交換ができる。
5)骨折時の良肢位と外固定を見学し、介助できる。
【検査手技】
到達目標:
1)12誘導心電図を適切に記録できる。
2)尿検査(尿沈渣を含む)を施行し、観察できる。
3)末梢血塗沫標本を作成し、観察できる。
4)微生物学検査の検体の採取と保存ができ、グラム染色を行い、観察できる。
5)妊娠反応検査を施行できる。
2内科系臨床実習
(1)内科
一般目標:
基本的内科疾患を受け持ち、病態、症候、診断、治療と予後を学ぶ。
到達目標:
1)主要な疾患、症候や病態を診察し、診断と治療計画の立案・実施に参加できる。
2)他科へのコンサルテーションが必要かどうか判断できる。
3)複数の疾患をかかえる患者を診察し、診断と治療計画の立案・実施に参加できる。
実習形態:内科系病棟・外来
症 例:頻度の高い悪性新生物(肺癌、肝癌、悪性リンパ腫、白血病)
脳血管障害
パーキンソン病
肺炎
気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
狭心症・急性心筋梗塞
心不全
高血圧症
消化性潰瘍
肝疾患(急性肝炎・慢性肝炎・肝硬変)
腎不全
尿路感染症
甲状腺機能亢進症
糖尿病
高脂血症
慢性関節リウマチ
鉄欠乏性貧血
(2)精神科
一般目標:
基本的な精神症状の評価の仕方、面接法を学ぶ。
到達目標:
1)精神科以外の一般診療科においても診療機会が多い精神障害に対する診断と治療の初期対応ができる。
2)精神症状をもつ患者の診療を行う上での、法と倫理の必須項目を列挙できる。
3)精神症状・精神障害の初期症状と、どのような場合に専門医へのコンサルテーションが必要か判断できる。
実習形態:精神科外来・病棟
(一般診療科においても診療機会が多い精神障害を学ぶために、外来、あるいは他科からの
リエゾン・コンサルテーションを中心とするなど、実習形態を考慮することが望ましい)
症例(症候):気分障害
ストレス関連・身体表現性障害
症状性・器質性精神障害
精神分裂病
抑うつ・不安
睡眠障害(不眠)
せん妄
(3)小児科
一般目標:
基本的小児科疾患を受け持ち、症候、診断、初期治療を学ぶ。
到達目標:
1)新生児、乳・幼児期、学童期、思春期の患者およびその家族と良好な関係を築いて、漏れのない正確な情報を取ることができる。
2)小児の身体診察を適切に実施できる。
実習形態:実習形態:実習形態:実習形態:小児科病棟・外来
症 例:てんかん・けいれん
発疹性疾患
上気道感染・肺炎
気管支喘息
先天性心疾患
白血病・悪性腫瘍
運動・精神発達の遅れ
成長障害・低身長
脱水・下痢・嘔吐
3外科系臨床実習
(1)外科
一般目標:
基本的外科疾患を受け持ち、病態と、治療としての外科処置を学ぶ。
到達目標:
1)外科的処置の適応を判断し、リスク評価ができる。
2)外科の基本的診療手技を実施できる。
3)基本的な術前術後管理ができる。
実習形態:外科系病棟・外科系外来・手術室
症 例:外科的適応のある悪性腫瘍(胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌)
急性虫垂炎
腸閉塞
腹膜炎
鼠径ヘルニア
痔疾患
胆石症・胆嚢炎
脊髄損傷
関節痛・関節腫脹
自然気胸
前立腺肥大
(2)産科婦人科
一般目標:
基本的産婦人科疾患を受け持ち、女性の健康問題、疫学、予防、病態、診断、治療と予後を学ぶ。
到達目標:
1)正常の妊娠、出産と産褥の基本的な管理ができる。
2)主な疾患、症候や病態を診察し、診断と治療計画の立案・実施に参加できる。
実習形態:産科婦人科病棟・外来・手術室・分娩室
症 例:【産 科】正常妊娠・分娩・産褥
流産
早産
異常分娩
妊娠中毒症
【婦人科】子宮・卵巣の腫瘍
骨盤内炎症性疾患
性行為感染症
子宮内膜症
子宮筋腫
更年期障害・不正性器出血
月経異常
不妊症
避妊指導
4 救急医療臨床実習
一般目標:
緊急に対応すべき疾患の病態、診断と治療を学ぶ。
到達目標:
1)救急病態の救命治療を介助できる。
2)初期救急病態を鑑別し、初期治療を介助できる。
3)外傷の処置を介助できる。
4)救急医療体制を説明できる。
実習形態:救急系外来・病棟、集中治療室など
症 例:(重症救急病態)救命治療に参加する。
心肺停止
ショック
急性中毒
広範囲熱傷
多発外傷
(初期救急病態)鑑別ができ初期治療に参加する。(E 参照)
発熱
脱水
けいれん
意識障害
頭痛
めまい
動悸
胸痛
呼吸困難
喀血
腹痛
嘔吐
吐血・下血
下痢
血尿
ナスカ
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