B 医学一般
1 個体の構成と機能
(1)細胞の基本構造と機能
一般目標:
細胞の微細構造と機能を理解する。
【細胞の構造】
(準備教育モデル・コア・カリキュラム参照)
【細胞膜】
到達目標:
1)細胞膜の構造と機能を説明できる。
2)細胞内液・外液のイオン組成、浸透圧と静止(膜)電位を説明できる。
3)膜のイオンチャネル、ポンプ、受容体と酵素の機能を概説できる。
4)細胞膜を介する物質の能動・受動輸送過程を説明できる。
5)細胞膜を介する分泌と吸収の過程を説明できる。
6)細胞接着の仕組みを説明できる。
【細胞骨格と細胞運動】
到達目標:
1)細胞骨格を構成するタンパク質とその機能を概説できる。
2)アクチンフィラメント系による細胞運動を説明できる。
3)細胞内輸送システムを説明できる。
4)微小管の役割や機能を説明できる。
【細胞の増殖】
到達目標:
1)細胞分裂について説明できる。
2)細胞周期の各期とその調節を概説できる。
3)減数分裂の過程とその意義を説明できる。
(2)組織・各臓器の構成、機能と位置関係
一般目標:
細胞集団としての組織・臓器の構成、機能分化と方向用語を理解する。
【組織・各臓器の構造と機能】
到達目標:
1)上皮組織と腺の構造と機能を説明できる。
2)支持組織を構成する細胞と細胞間質(線維成分と基質)を説明できる。
3)血管とリンパ管の微細構造と機能を説明できる。
4)神経組織の微細構造を説明できる。
5)筋組織について、骨格筋、心筋、平滑筋の構造と機能を対比して説明できる。
6)胞・組織の再生の機序を説明できる。
【器官の位置関係】
1)位置関係を方向用語(上下、前後、内・外側、浅深、頭・尾側、背・腹側)で説明できる。
(3)個体の調節機構とホメオスターシス
一般目標:
生体の恒常性を維持するための情報伝達と生体防御の機序を理解する。
【情報伝達の機序】
@情報伝達の基本
到達目標:
1)情報伝達の種類と機能を説明できる。
2)受容体による情報伝達の機序を説明できる。
3)細胞内シグナル伝達過程を説明できる。
4)生体内におけるカルシウムイオンの多様な役割を説明できる。
A神経による情報伝達の基礎
到達目標:
1)活動電位の発生機構と伝導を説明できる。
2)シナプス(神経・筋接合部を含む)の形態とシナプス伝達の機能(興奮性、抑制性)と可塑性を説明できる。
7)軸索輸送、軸索の変性と再生を説明できる。
8)刺激に対する感覚受容の種類と機序を説明できる。
9)反射(弓)を説明できる。
【生体防御の機序】
到達目標:
1)生体の非特異的防御機構を説明できる。
2)特異的防御機構である免疫系の役割を説明できる。
3)体液性と細胞性免疫応答を説明できる。
【ホメオスターシス】
到達目標:
1)生体の恒常性維持と適応を説明できる。
2)恒常性維持のための調節機構(ネガティブフィードバック調節)を説明できる。
3)体温の恒常性維持の重要性とその調節機序を説明できる。
4)体液pH の重要性と緩衝系を説明できる。
5)生体機能や体内環境のリズム性変化を説明できる。
(4)個体の発生
一般目標
個体と器官が形成される発生過程を理解する。
到達目標:
1)配偶子の形成から出生に至る一連の経過と胚形成の全体像を説明できる。
2)体節の形成と分化を説明できる。
3)体幹と四肢の骨格と筋の形成過程を概説できる。
4)消化・呼吸器系各器官の形成過程を概説できる。
5)心血管系の形成過程を説明できる。
6)胚内体腔の形成過程を概説できる。
7)鰓弓・鰓嚢の分化と頭・頸部と顔面・口腔の形成過程を概説できる。
8)神経管の分化と脳、脊髄、視覚器、平衡聴覚器と自律神経系の形成過程を概説できる。
(5)生体物質の代謝
一般目標:
生体物質の代謝の動態を理解する。
到達目標:
1)酵素の機能と調節について説明できる。
2)解糖の経路と調節機構を説明できる。
3)クエン酸回路を説明できる。
4)電子伝達系と酸化的リン酸化を説明できる。
5)糖新生の経路と調節機構を説明できる。
6)グリコーゲンの合成と分解の経路を説明できる。
7)五炭糖リン酸回路の意義を説明できる。
8)脂質の合成と分解を説明できる。
9)リポタンパクの構造と代謝を説明できる。
10)タンパク質の合成と分解を説明できる。
11)アミノ酸の異化と尿素合成の経路を概説できる。
12)ヘム・ポルフィリンの代謝を説明できる。
13)ヌクレオチドの合成・異化・再利用経路を説明できる。
14)フリーラジカルの発生と作用を説明できる。
15)ビタミンの種類と機能を説明できる。
16)空腹時(飢餓)、食後(過食時)と運動時における代謝を説明できる。
(6)遺伝と遺伝子
一般目標:
遺伝子からタンパク質への流れにもとづいて生命現象を学び、遺伝子工学の手法と応用やヒトゲノムの解析を理解する。
到達目標:
1)遺伝子と染色体の構造を説明できる。
2)ゲノムと遺伝子の関係が説明できる。
3)DNA の合成、複製と修復を説明できる。
4)DNA からRNA を経てタンパク質合成の至るタンパク質への遺伝情報の変換過程を説明できる。
5)プロモーター、転写因子などによる遺伝子発現の調節を説明できる
6)PCR の原理とその方法を説明できる。
7)ゲノム解析にもとづくDNA レベルの個人差を説明できる。
2 個体の反応
(1)生体と微生物
一般目標:
各種微生物の基本的性状、病原性とそれによって生じる病態を理解する。
【ウイルスの基本的性状と病原性】
到達目標:
1)ウイルス粒子の構造を図示し、各部の機能を説明できる。
2)構造と性状によりウイルスを分類できる。
3)DNA ゲノムとRNA ゲノムの複製・転写を一般化し、説明できる。
4)ウイルスの吸着、侵入、複製、成熟と放出の各過程を説明できる。
5)ウイルス感染細胞に起こる変化を説明できる。
6)ウイルス感染の種特異性、組織特異性と病原性を説明できる。
7)主な感染様式の具体例を説明できる。
【ウイルス感染に対する生体反応・予防】
到達目標:
1)ウイルスに対する中和反応と細胞性免役を説明できる。
2)ワクチンによるウイルス病予防の原理を説明できる。
3)ワクチンの種類と問題点を説明できる。
【各種のウイルスの特徴と病原性】
到達目標:
1)主なDNAウイルス(CMV、EBV、アデノウイルス、パルボウイルスB19 、ヒトヘルペスウイルスとB型肝炎ウイルス)が引き起こす疾患名を列挙できる。
2)主なRNAウイルス(ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス)が引き起こす疾患名を列挙できる。
3)レトロウイルス(HIV)の特性と一般ゲノム構造を説明し、分類できる。
【細菌・真菌】
到達目標:
1)細菌の構造を図示し、形態と染色性により分類できる。
2)細菌の感染経路を分類し、説明できる。
3)細菌が疾病を引き起こす機序を説明できる。
4)外毒素と内毒素について説明できる。
5)グラム陽性球菌(ぶどう球菌、レンサ球菌)の細菌学的特徴とそれが引き起こす疾患を列挙できる。
6)グラム陰性球菌(淋菌、髄膜炎菌)の細菌学的特徴とそれが引き起こす疾患を列挙できる。
7)グラム陽性桿菌(破傷風菌、ガス壊疽菌、ボツリヌス菌、ジフテリア菌)の細菌学的特徴とそれが引き起こす疾患を列挙できる。
8)グラム陰性桿菌(大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌、チフス菌、ペスト菌、コレラ菌、百日咳菌、腸炎ビブリオ菌、緑膿菌、ブルセラ菌、レジオネラ菌、インフルエンザ菌)の細菌学的特徴とそれが引き起こす疾患を列挙できる。
9)グラム陰性スピリルム属病原菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)の細菌学的特徴とそれが引き起こす疾患を列挙できる。
10)抗酸菌(結核菌、非定型抗酸菌)の細菌学的特徴とそれが引き起こす疾患を列挙できる。
11)真菌(アスペルギルス、クリプトコッカス、カンジダ、ムコール)の微生物学的特徴とそれが引き起こす疾患を列挙できる。
12)スピロヘータ、マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアの微生物学的特徴とそれが引き起こす疾患を列挙できる。
【寄生虫】
到達目標:
1)原虫類・蠕虫類の分類および形態学的特徴を説明できる。
2)寄生虫の生活史、感染経路と感染疫学的意義を説明できる。
3)寄生虫感染宿主の生体防御の特徴を説明できる。
4)日和見寄生虫症と寄生虫症の重症化を。
6)人畜共通寄生虫症を説明できる。
7)寄生虫症の診断、治療と予防の概要を説明できる。
5)各臓器・器官の主な寄生虫症を説明できる説明できる。
(2)免疫と生体防御
一般目標:
免疫系の機構を分子レベルで理解し、病原体に対する免疫反応、主な自己免疫疾患、先天性および後天性免疫不全症とがん細胞に対する免疫系の反応を理解する。
【免疫系の一般特性】
到達目標:
1)生体防御機構における免疫系の特徴(特異性、多様性、寛容、記憶)を説明できる。
2)免疫反応に関わる組織と細胞を説明できる。
3)免疫学的自己の確立と破綻を説明できる。
4)自然免疫と獲得免疫の違いを説明できる。
【自己と非自己の識別に関与する分子とその役割】
到達目標:
1)MHC クラスI とクラスII の基本構造、抗原提示経路の違いを説明できる。
2)免疫グロブリンとT 細胞抗原レセプターの構造と反応様式を説明できる。
3)免疫グロブリンとT 細胞抗原レセプター遺伝子の構造と遺伝子再構成にもとづき、多様性獲得の機構を説明できる。
4)自己と非自己の識別機構の確立と免疫学的寛容を概説できる。
【免疫反応の調節機構】
到達目標:
1)抗原レセプターからのシグナルを増強あるいは減弱する調節機構を概説できる。
2)代表的なサイトカイン・ケモカインの特徴を説明できる。
3)Th1/Th2 細胞それぞれが担当する生体防御反応を説明できる。
【疾患と免疫】
到達目標:
1)ウイルス、細菌と寄生虫に対する免疫応答の特徴を説明できる。
2)先天性免疫不全症と後天性免疫不全症を概説できる。
3)免疫寛容の維持機構とその破綻による自己免疫疾患の発症を概説できる。
4)アレルギー発症の機序を概説できる。
5)がん免疫に関わる細胞性機序を概説できる。
(3)生体と放射線・電磁波・超音波
一般目標:
医学・医療の分野に広く応用されている放射線や放射線以外の電磁波などの医学への応用について理解する。
【放射線と生物】
到達目標:
1)放射線と放射能の種類、性質と単位を説明できる
2)放射線の人体への急性効果と晩発効果を説明できる。
3)種々の正常組織の放射線感受性の違いを説明できる。
4)放射線の細胞への作用と放射線による細胞死の機序を説明できる。
(4)生体と薬物生体と薬物生体と薬物生体と薬物
一般目標:
薬物・毒物の生体への作用について、個体・細胞・分子のレベルにおける作用機序と、生体と薬物分子との相互作用を理解し、的確な薬物療法を行うための基本的な考え方を学ぶ。
【薬理作用の基本】
到達目標:
1)薬物・毒物の濃度反応曲線を描き、その決定因子を説明できる。
2)薬物の受容体結合と薬理作用との定量的関連性を理解し、活性薬と拮抗薬を説明できる。
3)薬物・毒物の用量反応曲線を描き、有効量・中毒量・致死量の関係を説明できる。
【薬物の動態】
到達目標:
1)薬物・毒物の吸収、分布、代謝と排泄を説明できる。
2)薬物の生体膜通過に影響する因子を説明できる。
3)薬物投与方法を列挙し、それぞれの薬物動態を説明できる。
【薬物の評価】
到達目標:
1)薬物の評価におけるプラセボの意義を説明できる。
3 原因と病態
(1)遺伝子異常と疾患・発生発達異常
一般目標:
遺伝子・染色体異常と発生発達異常や疾患の発生との関連を理解する。
到達目標:
1)胚(生殖)細胞と体細胞、それぞれにおける遺伝子異常が引き起こす疾患の相違点を説明できる。
2)メンデル遺伝の3 つの様式を説明し、代表的な疾患を列挙できる。
3)多因子遺伝が原因となる疾患を列挙し、その特徴を説明できる。
4)染色体異常による疾患の中で主なものを挙げ、概説できる。
5)個体の発達異常における遺伝因子と環境因子の関係を概説できる。
6)ミトコンドリア遺伝子の変異による疾患を例示できる。
(2)細胞障害・変性と細胞死
一般目標:
細胞障害・変性と細胞死の原因と細胞・組織の形態的変化を理解する。
到達目標:
1)細胞障害・変性と細胞死の多様性、原因と意義を説明できる。
2)細胞障害・変性と細胞死の細胞と組織の形態的変化の特徴を説明できる。
3)ネクローシスとアポトーシスの違いを説明できる。
(3)代謝障害
一般目標:
糖質、タンパク質、脂質などの代謝異常によって生じる多様な疾患について理解する。
到達目標:
1)糖質代謝異常の病態を説明できる。
2)タンパク質・アミノ酸代謝異常の病態を説明できる。
3)脂質代謝異常の病態を説明できる。
4)核酸・ヌクレオチド代謝異常の病態を説明できる。
5)無機質代謝異常の病態を説明できる。
(4)循環障害
一般目標:
循環障害の成因と病態を理解する。
到達目標:
1)虚血、充血、うっ血と血行静止の違いとそれぞれの原因と病態を説明できる。
2)出血の原因と止血の機構を説明できる。
3)血栓症の成因と病態を説明できる。
4)塞栓の種類と経路や塞栓症の病態を説明できる。
5)梗塞の種類と病態を説明できる。
(5)炎症と創傷治癒
一般目標:
炎症の概念と感染症との関係、またそれらの治癒過程を理解する。
到達目標:
1)炎症の定義を説明できる。
2)炎症の分類、組織形態学的変化と経時的変化を説明できる。
3)感染症による炎症性変化を説明できる。
4)創傷治癒の過程を概説できる。
(6)腫瘍
一般目標:
細胞の増殖・分化の機構とそれらの異常を学び、腫瘍の定義、発生機構と病態を理解する。
到達目標:
1)組織の再生と修復や肥大、増生、化生、異形成と退形成を説明できる。
2)良性腫瘍と悪性腫瘍の違いを説明できる。
3)上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍の違いを説明できる。
4)腫瘍細胞の異型性と多型性を説明できる。
5)局所における腫瘍の増殖、局所浸潤と転移を説明できる。
6)腫瘍発生に関わる遺伝的要因と外的因子を概説できる。
7)癌遺伝子と癌抑制遺伝子を概説できる。
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