研修テキスト

● 自立生活プログラム基本理念
ピアカウンセリングを経て、障害の受容ができ自分を好きになり自信を取り戻し、それから実践的なプログラムを行う。目標はもちろん一人暮しが出来るように導いていき、セルフマネージメント出来るように導きたい。
またもう一つここで付け加えたいことは、いろいろな経験を通していかに自分の思いを周りの人に言えるようになれるか、そして思い通りの生活をしていけるようになることも理念の一つです。もちろん本人の気持ちを確かめながら慎重に行う必要であり、本人を信じあきらめないことが大切です。
プログラムを遂行する者の条件としては、現在自立生活をしている人でピアカウンセリング経験している人が望ましい。

● 自立前の集団ILP・ピアカウンセリング
地域の通所施設や入所施設の障害者に呼びかけ、今の自分の生活に満足しているかを問いかけ、ピアカウンセリング講座や長期自立生活集団プログラム(10回〜12回コース)を行います。今までにない経験を通して自分を見つめ自信につなげ、自立生活の楽しさを実感してもらい、自分の行き方を考えてもらうのが目的です。
内容としては、調理実習、フィールド・トリップ、制度、ほめセッション、人間関係、介助者集め、金銭管理など思考を凝らしたものを行っています。
そこで本当に自分に自信がつき、何か出来るかもしれないと可能性が沸いてきた人に個人プログラム向けていけるようにしたいです。

● 自立希望後の個人ILP
おぼろげに本人に自立生活したいとか、出来るかもという気持ちになった時に始まります。
個々の場合によって違いますが、まずもっと自信をつける必要があります。そのために、簡単な課題を与え、自分で出来たという喜びを味わってもらい、実践的な体験プログラムを組んでいきます。
内容としては、調理実習、フィールド・トリップ、制度、ほめセッション、人間関係、介助者集め、金銭管理などのほか、日常生活一般(掃除・洗濯・近所付き合いなど)より自立生活のイメージが沸くようなものも取り入れていきます。

● 介助者を使ってみる(週1回から/施設の場合は外出介助に)
施設や家で、職員や家族の中で暮してきた障害者にとって、介助者と何か目的を持って行動するという経験は今まであまりないことで、これは欠かすことの出来ないプログラムです。具体的な事につながっていきます。
たとえば、ここである程度介助の必要性の認識、介助者の探し方、介助者との付き合い方など、基本的な経験をしてもらう絶好のチャンスと言えましょう。
内容としては、外出、調理実習、買い物、娯楽、入浴介助など、割と違和感の少ないところか入っていくと良いのかもしれません。

● 宿泊体験
いよいよ宿泊体験です。文字通り保護者のいないミニ自立生活です。1泊、2泊、1週間、一ヶ月と徐々に泊まる期間を伸ばしていき、次第に自信を付けてもらいます。
内容としては、外出、調理実習、買い物、娯楽、入浴など、基本的な生活を介助者と経験していく事によって、総合的な自立生活の力をつける。それと同時に細かく今まで行ったプログラムを実践していきます。
そして介助者の見つけ方、制度のことなどを詳しく行い自分の生活がどうなるのという不安から出来る限り解放しましょう。

● 自立時期が決まった後の個人プログラム
だいたいの自立生活のイメージ作り、部屋の広さはどのくらいあれば良いか、どのくらい住宅の改造が必要か、どこで住みたいか、どのような生活スタイルにするかなど、現実的なことになる。もちろん今までの復習は行っていきます(個人差による)。

● 自立生活前のCILの準備・介助者の募集広告時期など
CILの準備としては、本人の介助者不足が予想されるので、介助者派遣のための人材確保、良い不動産屋の情報を得ておく事が必要です。後は本人が使える制度の確認と準備を当事者と一緒に行うことも大切です。特に生活保護を使う時は関係者も含めて慎重な準備を行います。
介助者募集の時期については、宿泊体験を計画する時から次第に行っていきます。本格的には、自立時期が決まった後にいろいろな方法で募集をして行きます。

● アパート探し〜契約
アパート探しを始める前に本人になかなか見つからない事を覚悟させる事が大切です。これを言う事によってくじけない様にします。まだまだ障害者に理解してくれる不動産屋さんや大家さんは現状としては数少ないので、いつ見つかるかわかりません。中には不動産屋を40件以上回る人も少なくありません。本人の希望によりますが、探している間に物件の条件を変えたりすることも頭においてください。同時進行で契約時の保証人を用意しておくことも忘れないでください。
そして漸くアパートが見つかり契約の運びとなります。契約時には住宅改造の確認をしっかり行うことが一番大事です。そのほかに電動三輪車や車椅子の置き場の確認など細かいしせつかところまで話をしておきましょう。

● 介助者の募集広告など
今までも徐々に介助者を入れていくために募集のビラをつくり、介助者を探してきましたが、いよいよ自立生活がスタートします。当然、介助内容や介助時間が変ってきます。より一層日常生活をイメージして介助者募集のビラを作り、駅や大学などでビラ配りをする一方で、アルバイト雑誌に入れ込んだり、地域の広報や福祉関係の雑誌に公募したり、考えられるあらゆる方法で募集していきます。

● 自立直前の個別プログラム
主に日常生活面でのアドバイスを行います。引越し後の片付け、掃除・洗濯といった生活面の基本的なプログラムを行います。もう一つ忘れてはならないことは、本格的な介助料の運用の仕方についてレクチャーします。

● 自立開始・制度申請・ヘルパー時間数交渉申込み
施設から自立生活を始めるにあたり、制度申請の項目が非常に多くあります。それを本人と整理をしながら必要な順序を話し合いながら手続きをしていきます。
主な申請項目を挙げてみましょう。
@ 介助料制度(全身性介護人派遣事業など)
A 年金・手当て(特別障害者手当てなど)
B 生活保護
C ヘルパー制度申請
など、まだまだ色々個別的には申請項目があるので注意してください。特にCヘルパー申請に関しては、出来る限り必要な日数・時間を認めてもらうことが大切です。

● 自立後1週間の個別プログラム
始めの1週間は本人にとって非常に不安なものです。いくら訓練をしているとは言え、実践になると勝手が違うもので、近所付合いにしても介助者にどの程度頼めば良いのだろかなど色々迷ってくるのです。そのときに支援者がこまめに様子を見にいく事もあります。
引越しの後片付けのアドバイスも必要に応じて聞かれた時に答えるという感じで良いのではないのでしょうか。

● 住宅改造・福祉機器・リフト・生活福祉資金
快適な生活をするために住宅改造・福祉機器・リフト・生活福祉資金を考えていく必要があります。住宅改造については、あらかじめ大家さんに話をしておき、必要な改造は認めてもらい専門家との連携で事を運びます。障害に応じて福祉機器の導入やリフトの設置も申請し、制度支給額で足りない場合は生活福祉資金を申請するなどの対策をしていきます。

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