Act.3 2月28日・銚子電鉄1日散歩&トラブルまみれの帰還

 この日、起きたのは朝6時半過ぎだった。前日寝ついたのが日付が変わった後だったこともあって、猛烈に眠かった。が、そんなことも言っていられない。この日は銚子電鉄に乗るために銚子まで行くのだ。オレは洗面所で顔を洗って口をすすぐと、即座に着替えてチェックアウトした。 まずは上野駅へ向かい、前日と同じちゃぶぜんで朝定食をオーダーし、朝食をとった。それから京浜東北線に乗って秋葉原へ向かい、ここで総武線各駅停車に乗り換えて錦糸町へ向かった。実は銚子まで、特急「しおさい1号」を使う予定でいたのだ。錦糸町で一度改札を抜けて、改めて Suicaで銚子までの特急券と乗車券を購入。再びホームに上がり、「しおさい」の到着を待った。

 この日、総武線快速は横須賀線の遅れのあおりを食らって若干の遅れが出ていた。「しおさい」は定刻では7時44分の発車なのだが、この日は約3分ほど遅れて到着した。オレが乗車したのは自由席である。車内はビジネス客で割合混んでいた。錦糸町を発車した後は千葉までノンストップで 飛ばす。この間、車内販売の巡回がありオレは早速SL南房総号のD51型チョロQを購入した。この間、船橋や津田沼を通過したのだがホーム上に人が溢れていて「ぶつかりゃしねェんだろうな」と少し不安になった。8時10分近くに千葉に到着。2分くらい停車して発車したのだが、車内はまだ混んでいる 感じだった。千葉をでるとしばらくは住宅街が続くのだが、四街道あたりから景色は一変する。宅地の割合が減り、田畑の方が多くなっていき一気にローカル色が濃くなった。この辺は東京駅から50キロ以上離れているので、当然といえば当然なのだがびっくりした。

 8時24分、佐倉駅到着。ここから先は割合空いていた。が、ここでもオレはびっくりした。「しおさい」が走る総武本線は、この佐倉からなんと単線になるのだ。佐倉から左に分かれていく成田線が複線で、「本線」である総武本線が単線という落差の激しさに 正直びっくりだった。「しおさい」は八街、成東、横芝、八日市場、旭とこまめに停車して乗客を降ろしていった。車窓はこの間、田園風景と猿田‐松岸で丘陵越えがあった程度である。銚子駅に着いたのは9時半。改札口そばの1番線だった。オレは早速、荷物を担いで跨線橋を渡って銚子電鉄線乗り場へ向かった。 既に銚電乗り場には、外川行きの電車がスタンバイしている。大急ぎで銚子駅の構内、銚電乗り場駅舎と銚電ホームを撮り、電車に飛び乗って車掌から一日乗車券「弧廻手形」を購入した。関東の中小私鉄では土・日・祝日限定のフリーきっぷを出しているところが多いが、銚子電鉄では通年販売なのでこれは使い勝手がいい。 9時40分、外川行き電車はゆっくりと銚子駅を出発した。

 さて、今回オレが訪問した銚子電鉄であるが、実は2006(平成18)年11月に車両修繕費用確保のためにぬれ煎餅の購入を公式サイトで呼びかけ、それが発端で全国各地からぬれ煎餅の注文が殺到したことで有名な鉄道会社である。オレも衝動的にオンラインショップで発注をかけていた(笑)のだが、やはり一度訪問して 乗ってみたいというのもあって今回訪問に至ったわけである。銚子を発車した電車の中はだいたい20人くらいの乗車で、午前のまったりとした雰囲気が流れていた。仲ノ町、観音と停車した電車は続いて本銚子に停まった。オレはまずここで下車。外川行きを見送り、まずは駅を撮影。この駅は単線の無人駅で木造の待合室があるだけなのだが、 どういうわけか改札柵があるのが意外であった。この駅で家に電話を入れたのだが、風の強さまで家に届いてしまった(笑)。それから今度は銚子行きで観音まで向かい、同駅で下車。観音の駅舎はメルヘンチックな建物で、駅にはファーストフード売店まであった。売っているのはタイヤキ、たこ焼き、フライドポテトである。オレはここでたい焼きを注文し、 仲ノ町駅へ向かう道中で食べた。味は出来立てということもあってなかなかうまかった。実はオレ、タイヤキを食ったのは32年半生きてきてこれが初めてである(笑)。
 観音駅から仲ノ町までは線路沿いの路地を歩いて向かったのだが、途中線路の枕木交換工事現場に出くわした。実は銚子電鉄、設備老朽化のため国土交通省から業務改善命令を喰らっており、そのため必死で改修作業を続けているとのことである。そういえば、外川行きに乗ったときも仲ノ町‐観音間でスピードを落として運転していたが、車窓からは小型のパワーショベルや 工事作業員の姿が見えた。歩くこと10分程度で仲ノ町駅に到着し、まずは駅舎を撮影。待合室に入ってみたのだが、中はダンボールの山(^^;)。すべて発送待ちのぬれ煎餅だというのは分かったのだが(笑)。仲ノ町駅の待合室には銚子電鉄応援ポスターが掲示されており、支援の輪が広がっているということを改めて感じた。
仲ノ町駅の銚子電鉄応援ポスター
 仲ノ町からは再び外川行きに乗車し、向かった先は犬吠駅。途中、笠上黒生(かさがみくろはえ)で列車のすれ違いがあった。それと同時に、銚子から乗っていた車掌もこの駅で上り列車に乗り換えるのだ。故に、銚子電鉄が本当にワンマン運転をしているのは笠上黒生‐外川間という形になっている。笠上黒生から先はどちらかというと田園風景が広がって車内もまったりムードが強くなっていった。 駅も西海鹿島、海鹿島、君ヶ浜とホーム1本の簡素な駅が続く。が、犬吠に着いた瞬間のどかな感じはいっぺんに消し飛んだ(笑)。犬吠の駅舎は観音と同じようにメルヘンチックなつくりになっているのだ。とはいえ、潮風の影響で外壁が痛々しい状態になっているのだが……。この駅には女性の駅長がおり、改札や発券、グッズ販売などの業務を行っている。またこの駅には売店もあり、ぬれ煎餅の実演販売や 銚電で造っているお酒「でんでん酒」などの土産物販売も行っているまさに中核駅といえる駅である。まずは荷物をコインロッカーに預けて、犬吠の駅舎を撮影。そのあと、売店で出来立てのぬれ煎餅を試食してみた。食べてみると、なかなか美味い。土産に買うことに決め、先に折り返しの電車で海鹿島駅へ向かった。海鹿島駅は簡素な待合室があるだけの無人駅だったが、この待合室内にも有志の銚子電鉄応援ポスターが 掲示されていた。電車の中吊り広告にも応援ポスターが掲示されており、中には北海道からの応援ポスターもあった。

 海鹿島を撮影した後、オレは犬吠駅へ戻りぬれ煎餅、でんでん酒、キーホルダーなどの土産を買った。そして、駅長に近くに郵便局がないか聞いてみたのだが「外川に行かないとないんですよ」と言われてしまった。そこで、銚電の終点・外川へ向かうことにした。やって来た外川行きに乗り込み、わずか2分ほどで外川駅到着。駅舎は木造駅舎で、かなり年季が入っている。で、オレは外川駅を撮影した後近くにあるという外川郵便局へ 向かった。旅行貯金をするためである。外川の街の中は案内によると碁盤の目になっているとのことだが、路地は札幌と比べるとなまら狭い。だが路地の合間から太平洋が見え、漂う潮の香りにこの街が港町だということを実感させてくれた。外川郵便局で旅行貯金を済ませたオレは、折り返しの銚子行きに乗ってそのまま銚子へ向かった。銚子駅で撮影&土産物購入を済ませ、いざ千葉行きで戻ろうかとしたときに総持寺君からのメールが来た。 犬吠埼のアナゴ天丼が美味いという情報である。
 一瞬どうしようか迷ったのだが、オレは次の瞬間電車を降りて再び銚子電鉄ホームに向かっていた。そして、再び犬吠へ。途中、例によって笠上黒生ですれ違いがあった。この隙を利用して笠上黒生駅を撮影。そのまま犬吠へ向かい、犬吠埼まで歩いてどこのホテルか探したのだが、看板が出ていない。それに、この日は最低でも6時には羽田空港にいなければならないのだ。焦ったオレは、1回目に降りたときに駅近くに回転寿司屋があったのを思い出した。 結局、昼食はその回転寿司屋でとったのだがこれが獲れたてのネタを使っているもんで非常にうまい。ただその分、一般の回転寿司よりは値が張ったが(笑)。回転寿司で満腹になったオレは、犬吠から銚子まで戻り銚子駅で運転士に頼んで記念撮影をしてもらった。
銚子電鉄は、本当にいい鉄道だった。また機会があれば、乗りに行きたいと思う。

 銚子からオレは、東京行き特急1012M「しおさい12号」で東京に戻った。行きの1号は9両だったのに、今度は最新型とはいえたった5両である。おまけにオレが乗った先頭車はがら空き。時間帯のせいもあるのだろうが、あんまりな感じがした。午後2時17分、発車メロディーが鳴って発車。朝来た総武本線を戻っていく。どうやら「しおさい」は銚子からガラガラでも途中の旭、八日市場、成東あたりからの乗客が多いようで成東をでる頃にはオレが乗った車両もそこそこ埋まってきていた。 佐倉から先は複線になり、それまでの鈍足が嘘のように快調に飛ばす。そして午後4時1分、東京駅総武2番線に到着した。オレは東京駅についてからすぐに丸の内地下北口そばのコインロッカーに荷物を預け、メトロ大手町駅へ向かった。せっかく東京に来たので、靖国神社を参拝しておきたかったのだ。大手町から九段下までは東西線に乗り、4時半前には靖国神社に着いた。時間の都合上、本殿前での参拝だけで終わってしまったが、次参拝した時はもう1度遊就館を見学したい。 靖国神社参拝を済ませたオレは、急ぎ足で九段下駅に戻り、半蔵門線と丸ノ内線を経由して東京駅へ戻った。東京駅から今度は京浜東北線で浜松町へ向かった。ここで東京モノレールに乗り換えるのだ。モノレールの浜松町駅は世界貿易センタービルの5階にあるため、エスカレーターで向かう形になる。オレが乗ったのは各駅停車の羽田空港行きである。混んでいるだろうと思ったのだが、そんなことはなく終始余裕があった。だが乗っていて気になったのは、
昭和島駅のホームのべらぼうな狭さだ。空港へ急いでいたため写真を撮っていないのだが、快速運転にそなえて退避設備を作ったせいで恐ろしく狭いホームになったらしい。この旅行記が発表された頃にはもうとっくに快速列車の退避が行われているが、どんなざまになっているのやら(笑)。
 さて、羽田空港第2ビル駅でモノレールを降りてエア・ドゥのカウンターで搭乗手続きを済ませたオレは、指定の搭乗口へ向かった。オレが乗るのは午後6時50分発エア・ドゥ23便である。搭乗開始までまだ間があったので、売店で夕食用の空弁とお茶を購入。そして喫煙所で一服しながら搭乗開始を待ったのだが、本来なら搭乗開始時刻であるはずの6時半を過ぎても全然搭乗開始にならない。搭乗口からのアナウンスによると、あろう事か折り返しとなる機材が遅れているとのことであった。 午後6時45分頃、ようやく新千歳からの便が到着。大急ぎで機内整備を終え、午後7時過ぎにようやく搭乗開始となった。今度の席もまた通路側だったので、トイレに行くには非常に都合が良かった。

 午後7時10分くらいだったろうか。搭乗が終わり、23便はボーディングブリッジを離れ、誘導路を走り始めた。そして滑走路に到着したのだが、今度は一向に飛び立つ気配がない。アナウンスでは、離陸の順番待ちをしているとのこと。確か前回エア・ドゥに乗ったときも離陸の順番待ちで渋滞していたような……。そして午後7時半頃。ようやくテイクオフ。あっという間に首都圏を過ぎ、シートベルトランプが消灯されてクルーが機内サービスを開始した。オレはこの時、待ってましたとばかりに空弁を 平らげた。しばらくは何事もなかったのだが、雨雲の中に突っ込んだ時機体がガタガタと揺れ、シートベルトランプが点灯したので慌ててシートベルトを装着。だがそれもすぐに消えた。そしてようやく千歳空港に着陸。この時既に午後8時50分を廻っていた。ターミナルビルに降り立った時には既に午後9時。もういい加減疲れていたので、麻生行きの高速バスを使うことにした。運転手に出発時刻を確認したところ、午後9時35分頃の出発予定だという。しばらくは総持寺君とメールをしながら過ごしたのだが、 あっという間に電池切れ(T▽T)。何もすることなく、発車を待つしかなかった。待っている間にも、次々と乗客が乗り込んでくる。そして午後9時35分、ようやくバスは発車した。オレが乗ったバスは途中、大谷地駅を経由して麻生へ向かった。もっとも、途中の高速恵庭や高速輪厚での下車はなかったが(笑)。乗車約1時間で麻生駅バスターミナルに到着し、もういい加減疲れていたのでタクシーで帰宅した。

 今回は2泊3日でより多くのところを廻ろうとしたためかなり濃い日程になった。次回は北海道&東日本パスの使える時期に行って、いろいろ見てみたいと思う。そして、鹿島鉄道をじっくりと廻れてよかった。鹿島鉄道は去る3月31日で83年の歴史に幕を閉じたが、沿線の景色はいつまでも変わらずにあって欲しいと思う。そして銚子電鉄も、いつまでも走り続けて欲しいと願っている。できれば再訪したいと思う。

前へ戻る
ミッドナイト・エクスプレスへ戻る
ナスカ無料ホームページ無料オンラインストレージ