Act.2 Don't Cry

 風呂から上がり、僕達は寝室のベッドに横たわった。
「何か、ドキドキするね」
「ああ……」
 僕は緊張のあまり、それしか言えなかった。
「でも、あたし嬉しい。初めての人がお兄ちゃんで」
「どうしてだい?」
「だって、一番身近な人と結ばれるんだもん。あたし、本当に幸せ。お兄ちゃんもそうだよね」
 同意を求めるような視線を、由香理は僕に向けた。
「僕だってそうさ。おまえは僕にとって、一番大切な存在なんだから」
 自分で言いながら、どうも照れくさかった。由香理は、
「お兄ちゃん、大好き。愛してる」
と、瞳を潤ませながら僕の耳元で囁いた。
「僕もだよ、由香理」
 僕達は互いを求め合った。互いの口、胸、そして秘部……。僕は由香理の花弁を、由香理は僕の分身を愛しんだ。そして。
「由香理、入れるよ」
「うん、来て、お兄ちゃん」
 僕は分身を、由香理の花弁に静かに入れた。
「痛い!」
 由香理が叫び声を上げた。僕の分身が、由香理の花弁の奥の何かを突き破ったらしい。
「大丈夫か?」
「うん。痛くても、がまんするよ……」
 そして僕は、ゆっくりと腰を動かし始めた。動かしてゆくにつれ、由香理は嬌声をあげ始めた。そして、由香理も腰を動かし始めた。
「気持ちいいかい、由香理……?」
「う、うん。すごく、気持ちいいよォ……」
 僕の問いに、由香理は歓喜の声をあげていた。次第に動きが激しくなって、僕も由香理も弾け飛びそうになった。
「ゆ、由香理、僕、もうダメだ……」
「あ、あたしも……。お、お願い、あたしの中に出して……」
 一瞬、僕はたじろいだ。
「な、何で……」
「あたし、お兄ちゃんの赤ちゃん欲しいの! だから、お願いだから……」
「本気なの?」
「そうだよ! あたし、本気だよ!」
「わ、分かった。じゃあ、出すよ……」
 僕は由香理の中で弾け飛んだ。同時に由香理も、大きな嬌声をあげ、果てた。

「お兄ちゃん……」
「何だい?」
「ずっと、あたしと一緒にいてね。寝る時も、ごはんの時も、お風呂の時も……」
 由香理は僕の胸に顔を埋め、瞳を潤ませながら言った。
「ああ。僕達はずっと一緒だよ。おまえは、僕だけのものなんだから」
 僕は由香理を抱き寄せ、キスをした。

 それから二ヵ月後。
 仕事を終え、帰宅した時だった。
「お兄ちゃん、あのね……」
 出迎えた由香理の顔は真っ赤だ。
「どうした?」
 僕が訊いても、由香理はおどおどしている。」
「あのね、赤ちゃん、出来てた……」
 うつむきながら、由香理は言った。
「ほ、本当?」
「うん。お兄ちゃんと、あたしの赤ちゃんだよ」
 その瞬間、僕は由香理に抱きついていた。
「やったな! 僕も父親だ!」
「うん! あたしもママになるんだー!」
 僕達は玄関で、強く抱きしめあった。
「由香理、泣いてるの?」
 由香理はいつの間にか、大粒の涙を流していた。
「だって、嬉しいんだもん。お兄ちゃんの子供、ずっと欲しかったんだ……」
 僕は指で由香理の涙を拭った。
「泣くなって。おまえと子供は、僕が一生守る。だから、もう泣かないで」
 僕は由香理の頭を撫でながら言った。
「お兄ちゃん、今日も……」
 僕達は熱いキスをした。

 月日が流れ、僕と由香理の間には二人の子供が出来た。今では上の子が17歳、下の子が15歳になった。二人とも元気に育っている。
「あいつら、いつもくっついてるな」
 肩を寄せ合ってテレビを見ている子供達を見ていると、かつての僕たちを思い出す。何となくだが、微笑んでしまう。
「いいじゃない。あたし達だって、今でもそうでしょ、お兄ちゃん!」
 由香理は僕にもたれかかりながら微笑む。
「ああ。そうだね」
 僕は由香理の肩を抱いた。
「パパとママ、いっつもアツアツだねー」
 上の子の由美が僕たちに視線を向けて、笑い声をあげた。
「お姉ちゃんとオレだって、負けてないよ。お姉ちゃん、オレのお嫁さんだもんね」
 下の子の雅樹がにっと笑う。由美も雅樹に微笑んでいる。
「え!? おまえ達もか……?」
 親子そろって兄妹、姉弟で夫婦か。自然と笑みがこぼれた。
「由美、もう初体験はしたの?」
 由香理はうきうきした様子で尋ねた。
「うーん、まだだよね、雅樹」
「そうだね。でもオレ達さ、風呂も寝るのも一緒だし、寝起きと寝入りにはキスしてるぜ」
 由美と雅樹はあっけらかんと答えた。
「おまえ達、僕らよりすすんでるな」
「あたし達に赤ちゃん出来たら、パパとママはおじーちゃん、おばーちゃんだね」
「ははは、おじいちゃんか。恥ずかしいな」
 僕は照れ笑いを浮かべた。
「じゃあ、ママから。あなた達は、これからずっと、お互いを愛し続ける事を誓いますか?」
 由香理が二人の顔を覗き込みながら尋ねた。由美と雅樹の表情も、真剣なものに変わっている。
「もちろん。あたし、雅樹が大好き。どんなときでも一緒だもん」
「オレだって。お姉ちゃんは、オレが一生守るんだ」
 二人とも、毅然とした態度だ。
「よし、ならいい。お父さんもな、お母さんにちゃんとそう言ったもんだよ」
「父さん、少し照れてるな」
 雅樹に突っ込まれ、僕は狼狽した。
「コラ雅樹! なんて事言うんだ!」
「いいじゃない、お兄ちゃん」
 由香理はそう言うと、唇を重ねてきた。
「うお、父さんと母さんアツアツじゃん」
「雅樹、あたし達もキスしよ」
「うん」
 僕たちがキスを重ねている傍らで、子供達も熱いキスを交わしていた。
「お姉ちゃん、大好きだよ」
「あたしもよ。愛してるわ、雅樹……」
 求め合う言葉が僕達の耳に入った。
「こらこら、深く愛し合うのは部屋に戻ってからにしなさい」
 この場で求め合いそうになっていたので、僕はストップをかけた。
「はーい。じゃ、続きは部屋でね」
「うん。行こう、お姉ちゃん」
 二人は手をつなぎながら部屋に戻っていった。

「ふう……」
 二人きりになった居間で、僕はため息をついた。
「あの子達、結ばれた頃のあたし達みたいだね」
 由香理はグラスに麦茶を注ぎながら言った。
「あれから、だいぶたったな。由香理、今、幸せか?」
 今更言うまでもないだろうけど、僕はさりげなく訊いてみた。
「お兄ちゃん、訊く方が野暮じゃない。あたし、ものすごく幸せだよ」
 由香理はにっこり笑う。
「僕もだよ。おまえと結ばれて、本当に良かった。愛してるよ、由香理」
「あたしもよ。愛してるわ、お兄ちゃん」
 僕達はしばし見つめ合い、また熱いキスを交わした。

Fin

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