ヒメオオクワガタ累代

ここ数年の間に挑戦しているヒメオオクワガタの産卵〜幼虫飼育についてですが無事成功しまして
4頭の幼虫を回収し3頭の個体を羽化まで飼育することに成功しました〜

とは言え、産卵に関しては難関種なので、成功率が高いとはいえませんが・・・
ここ数年の間、多少なりともヒメオオの幼虫を回収することができるようになってきたので
これからヒメオオの産卵〜幼虫飼育にチャレンジする方々にとって成功のヒントになるような事が
書ければと思います。

今回の種親になった♀ですが、2007年度に自己採集した個体で、産地は北海道札幌市近郊産の34mmで
何とレッドアイの♀から幼虫を回収しました。
何とこの時組んだ産卵セットの写真が偶然にも残っていたので、画像を交えて説明していこうと思います。

ヒメオオの産卵ですが間違いなく「材産み」種ですね!! 回収した幼虫は全て材からの割出しでした。
産卵した♀についてなんですが、2007年度の採集個体で、採集した年は産卵させずに越冬させて
翌年に産卵セットに投入しています。
採集した時期にもよりますが・・・8月中旬以降の採集で「スレ」のない個体は新成虫だと判断出来ますから
越冬させて翌年春にペアリング〜産卵セットという流れになると思います。

今までの経験から言うと、採集した年に産卵する個体はまずいませんでした。
採集した状態で新成虫だと判断できたら、翌年に産卵セットを組んで産卵させる方法をお勧めします。

引続き産卵セットについてです。

まず、産卵セットの内容ですが・・・中ケースにかなり発酵が進んだ微粒子のマットを3〜4センチ位プレスして
底をガチガチに固めます、この時使ったマットですが、ニジイロクワガタの産卵セットをバラした時の発酵マットで
それを更にフルイにかけ微粒子にしたマットを使いました。

銘柄は「北斗オオクワ」さんの「クワガタマット」です、このマットですが道産ブナ100%使用の発酵マットなので
ヒメオオ幼虫飼育にもイケるかな〜と考えて使っています。
この時のマットの状態ですが発酵は進みまくりで土に近い臭いがしていました。
マットの水分ですが、握るとしっかり固まる感じで「やや多いかな?」ぐらいの加水量です。

産卵木はコナラのカワラ材×2本を使用しました。
この材ですが・・・コナラB材なので、芯があり雑菌や雑虫が入った跡があったりと・・・決して良質の材とは言い難い
感じの材です。
いつもストックしている普通のコナラ産卵木の中にかなり堅い産卵木があったので、材を柔らかくするために
カワラ菌床ブロックを使い自分で植菌した材です。

2ヶ月ほどかけてカワラ菌を廻したのですが、その後特に使う予定もなかったため、来期まで長期保存する目的で
一旦乾燥させてから保存していました。

材はそのまま使用するのではなく大口径材だったのもあって、材を割ってから加水しました。
いくらかカワラ菌が生きている状態の方が良いかな〜と思ったので熱湯処理はせずに水のみで加水しています。
水は近郊の取水口から汲出した天然水を使用しています、加水時間は約6時間ほどですね。
その後、丸一日水切りをしてから使用しました〜 ちなみに材の写真はこんな感じです。

材の堅さについてですが・・・カワラ材としてはかな〜り堅目です、ガチガチといっても良い位の材です。
加水の加減についてはかなり多めで、材を強く押すと「ジワッ」と水分が浮いてくる位です。


ガチ詰めしたマットの上に材を並べるように置いて、材と材の間に隙間が出ないように指で押し込みながら発酵マットを
入れていき、材が全部隠れるまで埋戻ししました。

後は転倒防止の木片、樹皮などを入れて産卵セットは完成です〜 できあがりはこんな感じです。

産卵セットに♀を投入してからその後、♀は10月末頃に★になりました・・・
その後割出しもしないまま、正直2ヶ月以上放置してました、だって産んでいるとは思わなかったんですよ〜(爆

で、11月に入って気温も下がり、オオクワの越冬準備をしている時なんですが
「多分産んでないだろうなあ〜・・・産卵セットも片付けないとなあ〜」と思いつつ11月10日に産卵セットをひっくり返すと・・・
材に食痕がっ!! それもヒメ特有の細かい食痕がある〜〜!! で、産卵木を割るといたんですよね〜(^^)
幼虫回収成功です!! ちなみに割出し時の写真はこんな感じです。


産卵セットをバラした時に気がついたのですが、どうやらヒメオオの♀は材と材の隙間に体をねじ込み、材の表面が
割と平坦になっている部分を好んで囓り、そこに卵を産み付けていたようです。
幼虫が付けた喰痕を探すと、材の平面の部分から喰痕が始まっているのが見て取れることから、このことが推測できます。
それと、ヒメオオにとって産卵材の太さはあまり関係ないような気がしますね。
と言うのも、割出し時に直径4センチほどの材にも囓って産卵している形跡がありました。
この事からも産卵条件に謎が多い種だというのがわかりますよねえ〜

また産卵セット中、特に大事な部分だと思うのは温度管理だと思われます。
通常のクワガタのように、一定の温度管理の条件下では産卵しにくいと考えるのが当てはまるような気がします。
どちらかと言えば、朝晩に寒暖の差が出るような感じと言うんでしょうか!?

今回の場合、幼虫の大きさから考えると10月上旬頃に産卵したと思われます。
♀は10月末頃に★になっていますので、明らかにそれ以前の時期ですね。
私の住む地域では、外気温が急激に寒くなったのが9月下旬〜10月上旬頃なのでこの頃に産卵したのだと推測しています。
この時の産卵セットの管理温度ですが、日中25〜26℃、朝晩17〜18℃と結構な温度差があった時期でした。

これは私の私見になりますが、ヒメオオ産卵の条件をまとめて言うのならば

・使用する♀は1度越冬させて、翌年からセットする。
・長期セットに耐える堅めの材(カワラ材か一般のコナラ材)を割って使う
・長期セットしても雑虫が出ない発酵が進んだ良質のマットを使う。
・全体的に材もマットも加湿は多めにする。
・管理温度は寒暖の変化が起きやすい時期を狙ってセットする。

以上の点がヒメオオクワガタを産卵させるポイントのような気がしますね。

国産クワガタの中では特に産卵させることが難しい種ですが、普通種レベルまで産卵させる条件が判明していけば
飼育の敷居が下がり、もっと人気の出る種になるんじゃないのかなあ〜と思ったりしています。



   ージヘ

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